不動産投資の最新動向
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2021年2月1日(月)
不動産営業は給料が高い!? 独自の給与体系が悪質営業マンを生む
「不動産会社の営業マンは稼げる!」――そんなイメージをもつ人は多いと思いますが、その実態はどうなっているのでしょうか?
実際のところ、不動産業界の給与体系は他の業界と異なっており、特殊な給与システムが存在します。そしてそれこそが、悪質な営業マンを生む温床になっているのです。
不動産業界独自の給与システムと、お金欲しさにお客さんを騙す悪質営業マンの手口について解説しましょう。
不動産営業の平均給与は、他業種よりも高いわけではない
「高給取り」というイメージがある不動産業界ですが、実は平均給与だけを見れば、ほかの業界とほとんど変わりません。
国税庁の「民間給与実態統計調査(令和元年分)」によると、日本人の給与は平均436万円ですが、不動産業の平均年収は424万円です。
しかし、不動産業のジャンルによっては、年収1000万円を超える不動産営業マンが存在します。
業種ジャンルごとの営業マンの給与実態を見てみましょう。
業種ジャンルで比較! 高収入な不動産営業社員とは?
不動産営業職は、業種によって給与の仕組みが大きく異なります。
職務の違いと年収の違いを、具体的に見ていきましょう。
業界で最も薄給? 賃貸営業
入居者向けに賃貸のマンションやアパート、一戸建てなどを案内する営業職です。自分で部屋探しをした経験がある人は、賃貸仲介営業と関わりを持ったことがあるでしょう。
具体的な仕事内容としては、インターネット(不動産情報サイト)やチラシなどの広告に物件情報を掲載したり、来店したお客さんに物件紹介と内覧案内をしたり、内覧した物件を気に入ったお客さんと賃貸契約を取り交わしたり……。賃貸物件の仲介にまつわるさまざまな業務を行ないます。
賃貸営業マンの年収は300万〜400万円あたりで、不動産営業のなかでは給与が低い傾向にある職種です。
大手ならば比較的高待遇な住宅営業
建設会社やハウスメーカーに勤務し、住宅を販売する営業が「住宅営業」です。
お客さんのライフスタイルや価値観、予算に合わせて理想的な住まいを提案するのが仕事。見込み客の集客や商談、契約締結、施工・引き渡し、アフターケアなど、物件販売にかかるさまざまな業務を行ないます。
取り扱う住宅の種類には、注文住宅に建売住宅、あるいは住宅のリフォームなどがあります。注文住宅の営業は、どんな家を建てるかのプランニングから商談が始まるのに対し、建売の場合は既に完成した物件を売るだけ。リフォームは、既に住宅を持っている人を対象にする、といった違いがあります。
住宅営業職の年収は、平均して400万〜500万円くらい。ただし、歩合制を採用している会社もあり、実力や営業スキル、結果次第では給与を増やすことが可能です。
大手ハウスメーカー勤務なら、一定の成績をあげれば年収800万円程度は稼げます。ひと握りのトップ営業マンならば、年収1000万円以上も夢ではありません。
1億円プレイヤーになれる!? 投資用不動産営業、収益不動産営業
資産運用を検討している個人向けに、賃貸住宅や賃貸ビルを売り込む営業が「投資用不動産営業」「収益不動産営業」です。
販売するのは、新築や中古のマンション・アパートのワンルームや1棟もの、オフィスビルなどが中心です。「安定した家賃収入を得たい」「節税対策をしたい」「将来的に収益性が高まる物件を確保したい」などといったセールストークで物件を売り込みます。おもに、経営者や医師、外資系企業のサラリーマンなどの高収入な人たちをターゲットにしています。
投資用不動産は1件の金額が数千万〜数億円の取引になることが多く、営業で一定の成績を残せば、平均700万円程度の年収を得ることができます。基本給に加えて歩合制でインセンティブを支給する会社が多く、20代でも年収1000万円以上を達成する営業マンや、1億円クラスの年収をたった1人で稼ぐトップ営業マンも存在します。
一定の経験を積んだら、年収アップのためにさらに条件が良い会社へ転職したり、独立起業したりする営業マンも多いです。
年収1000万円を稼ぐ不動産営業マンについては、以下のコラムでも詳しく解説していますので、ぜひあわせてご参照ください。
不動産業界独自の慣習が、悪質な営業マンを生み出す
不動産営業のなかでも、投資用不動産営業は、他の営業より稼げる可能性が格段に高い業種です。
しかし、投資用不動産ならではのこの給与体系こそが、悪質な不動産営業マンを生み出す要因になっているのです。
投資用不動産営業は、物件を販売することが唯一にして最大の目的です。マンションなどの物件を販売すればするほど、営業マンが得られるインセンティブが多くなるからです。
販売後、いかに丁寧にお客さんをフォローしても、会社自体の評価や給料アップに直結するわけではありません。そのため、残念なことに「売ったら終わり」と考える営業マンが多いのが実態です。
投資用不動産営業マンは「余計なこと」を伝えない
不動産投資は、株式投資やFXなどに比べれば相場の上下によるリスクは低いですが、日本国債投資などの極めて安定した投資に比べれば、ハイリスクだといえます。しかし一般には、「ほどほどのリスクを取ってほどほどの利益を得る」という意味で、「ミドルリスク・ミドルリターン」といわれます。
不動産営業マンは、この「ミドルリスク」という側面をアピールして成約を急ごうとしますが、その話をすべて鵜呑みにしてしまうのは非常に危険です。不動産投資とは、場合によってはハイリスクだということを、しっかり念頭に入れておく必要があります。
しかし営業マンは、「物件をできるだけ多く販売して、自分の給料を上げたい」という思惑のために、お客さんにとって不利な情報をあえて伝えないケースが多いのです。
「不利な情報」というのは、たとえば以下のような情報です。
①空室リスク
投資である以上、リスクは必ず潜んでいます。その一つが「空室リスク」です。
賃貸経営を長期間続けると、空室が生まれます。退去者が出て新しい入居者がスムーズに決まったとしても、たいていの場合は新たな入居者が入るまでに、1〜2ヶ月のブランクが出るのです。当然、その間は家賃収入が入ってきません。
くわえて、部屋のクリーニング(原状回復)などにかかる出費が生じます。営業マンが収支のシミュレーションで、「空室リスク」に触れてこない場合は、空室期間を想定したシミュレーションなのかを確認しましょう。
②サブリースの家賃保証リスク
「サブリース」とは、賃貸経営のリスクの一つである空室リスクを回避する手段の一つです。不動産オーナーに対して、サブリース業者が入居者の有無に関係なく保証賃料を支払います。
「家賃滞納や空室が起こっても、一定の収入が得られるので安心!」と感じるかもしれませんが、サブリースにはデメリットもあります。
通常は家賃のほかに、入退去時に礼金や更新料による収入が得られますが、サブリース契約をしていた場合は、サブリース業者がこれらを受け取ることになります。手数料を引かれる分、オーナーは家賃収入を最大化できないわけです。
さらに、サブリース業者が倒産するリスクも考えられます。倒産した場合、オーナーが保証賃料を取りっぱぐれる可能性もあります。
くわえてサブリースは、空室が続くと業者から家賃保証の額を下げられたり、突然解約されたりする恐れもあるのです。
サブリースのメリット・デメリットやトラブルについては、以下のコラムでも詳しく解説しています。
コラム「不動産投資では「サブリース」に注意! トラブル事例とカラクリを明かす」はコチラをクリック♪
契約を優先したフルローン
「フルローン」とは、投資家が頭金を現金で用意することなく、全額を融資でまかなう不動産ローンです。
一時期サラリーマン投資家が急増しましたが、その背景としては、高収入ではない人でもフルローンによって投資することができたという事情があるからです。
フルローンは金利が高くなりがちで、賃貸経営が破綻しやすくなるのですが、営業マンは契約を取るまでがゴールですので、賃貸経営がどうなろうとかまいません。そのため、強引なローンを押しつけてきます。
物件購入後に不測の事態が発生したときのため、不動産投資を始めるときは、最低でも物件価格の1割程度の現金を用意することをおすすめします。
強引な営業スタイルには要注意
不動産営業マンの全員が高収入というわけではありませんが、歩合給の割合が多い会社で働く人間のなかには、お金に目がくらんだ悪質営業マンがいることは、紛れもない事実です。
とにかく注意すべきは、強引な営業の餌食にならないこと。必要以上に押し売りしてくるような営業マンには気をつけつつ、少しでも違和感を感じたら別の不動産会社に問い合わせるなどして、さまざまな担当者に会ってみましょう。これだけで、悪徳営業マンの餌食になるリスクは、大きく軽減できるのです。
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著者紹介
不動産投資塾編集部不動産投資塾編集部
投資への関心が高まる中で、高い安定性から注目を集める不動産投資。しかし不動産業界の現状は残念ながら不透明な部分が多く、様々な場面で個人投資家様の判断と見極めを要します。一人ひとりの個人投資家様が正しい知識を身に付け、今後起こり得るトラブルに対応していくことが肝要です。私たち一般社団法人首都圏小規模住宅協会は、投資用不動産業界の健全化を目指す活動の一環として本サイト「不動産投資塾新聞社」を介し、公平な情報をお送りいたします。