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【借地権付き建物の売買—借地権の基礎知識と売却方法を徹底解説】

目次

不動産の売買において「借地権付き建物」という言葉をよく耳にします。借地権は細かく種類が分かれており、その本質を知らないとトラブルに見舞われてしまうかもしれません。今回は借地権の基本的な知識と借地権付き建物の売却方法など、知っておいて損にならないお得な情報を紹介していきます。

◆借地権の基本知識

不動産を購入するには、土地と住宅の両方を購入するのと住宅のみ購入して土地は地主から借りるのと、大きく二つの手段があります。後者の手段に付随する土地を借りる権利のことを借地権と言います。借地権を持つことで、貸主に地代を支払う代わりに、土地を貸してもらい、購入時の費用を建物代のみに抑えることができるのです。借地権の種類は以下の通りです。

地上権

地上権とは、その土地上にある建物などの工作物を所有するため、土地を利用できるようにする権利のことです。地代を支払う代わりに借地権者が土地を所有することになるため、地主の許可なしで売却や土地の転貸を行うことができます。契約期間中は借地人が土地の所有者になるからです。

地上権は契約期間が満了し、地主からの更新が拒絶された際に消滅をしますが、よっぽどのトラブルなどがない限り基本的には借地人が権利を所有する意思があれば半永久的に権利を所有することが可能です。

賃借権

賃借権または土地賃借権とは、地上権同様に他者の土地で不動産を所有する権利ですが、それぞれ性質が異なります。大きな違いは、土地の所有者が地主のままである点です。そのため、賃借権を第三者に売却する際には地主の許可が必要です。賃借権はさらに細かく種類が分かれています。

普通借地権

普通借地権とは、存続期間が30年間と定められていますが、更新することで継続して土地を借り続けることができる借地権です。更新の期間は回数によって変わり、1回目の更新では20年の延長、2回目以降は存続期間が10年ずつの延長となります。

定期借地権

定期借地権とは、後に契約を更新できない借地権のことです。契約満了後は、土地を更地にした状態で貸主に返還しなければなりません。「一般定期借地権」は存続期間が50年以上と長いことが特徴です。

主に住宅用に利用される権利ですが、ほかに店舗や商業用に土地を借りる場合の「事業用定期借地権」と建物を地主が買い取る「建物譲渡特約付借地権」があります。事業用定期借地権は存続期間が10年以上50年未満、建物譲渡特約付借地権は存続期間が30年以上の範囲で契約締結となります。

旧借地権

旧借地権とは、建物の構造によって存続期間が異なります。平成4年(1992年)8月に新法借地権として新たな法律が制定されており、これよりも前に土地を借りた場合は、この旧借地権に該当します。建物が木造の場合は存続期間が30年で最低期間20年、更新後の期間は20年です。

鉄筋造または鉄筋コンクリートの場合は存続期間が60年で最低期間30年、更新後の期間は30年です。契約更新をしさえすれば、半永久的に土地を借り続けても問題ありません。

借地権付き建物のメリットとデメリット

これから住宅を購入して夢のマイホームに住むと考えている方には借地権付き建物は、土地と住宅の両方を購入するよりも金銭的にハードルが低い魅力的な方法です。

ただし、借地権付き建物にはメリットとデメリットがあるため、きちんと把握した上で選択をするように心がけましょう。

借地権付き建物のメリット

借地権を活用して土地を借りて住宅を購入するには以下の3つのメリットが考えられます。

マイホームの購入費用が安く済む
土地を購入しようとすると、莫大な予算を準備しなければなりません。借地権を活用することで比較的安価に購入することが可能です。一般的に借地権のみ購入の場合は、相場として土地全体の購入代金の6〜8割程度の価格になることが多いです。安く住宅購入できることはもちろん、浮いたお金でこだわった住宅を建てることもできるでしょう。

土地に対する税金がかからない
通常不動産を購入した場合は、固定資産税や都市計画税を支払う必要があります。借地権を活用することで、所有権を保有したままの地主が税金を支払ってくれるので、借地権人はこの支払いをする必要がありません。購入価格が安いだけでなく、ランニングコストも抑えられるのは大きなメリットでしょう。

更新できれば半永久的に借りることができる
更新の意思があれば、地主は正当な理由がない限りは拒否もできないため、実質借りた土地で生涯住み続けることができます。また、親から子へ相続したり、借地権ごと買取したりすることもできます。その場合は登記の変更を忘れないようにしましょう。

ちなみに、正当な理由とは建物が長期間利用されていないケース、老朽化が著しいケース、借地契約違反の行為をしているケースなどが考えられます。また、正当な理由なく拒否した場合は、借地権設定者が借地権人に多額の立退料を支払わなければならないので、よほど常識から逸脱した使い方をしてない限りは心配無用でしょう。

借地権付き建物のデメリット

借地権付き建物には上記のメリットがある一方で、以下3つのデメリットが考えられます。

毎月地代の支払いを続けなければならない
借地権を利用している場合は、土地を賃貸している状態です。そのため土地の利用料として地主に地代の支払いが発生します。住宅ローンがある場合は月々の負担額が大きくなるため、継続して利用し続ける場合は結果的に土地を購入した方が安くなる場合があることは覚えておきましょう。

建物の増改築や売買には地主の許可が必要
建物をリフォームやリノベーション、または売買する場合は地主の許可が必要です。トラブルを未然に防ぐためにも、建物を増改築や売買を検討している際には地主に相談することを心がけましょう。

銀行融資の難易度が上がる
銀行融資を受ける場合は、通常不動産を担保にしてお金を借りることができます。借地権利用の場合、担保にできるのは建物部分のみのため、土地と建物の両方を担保にする場合よりも価値が下がり、融資が下りづらいことは覚えておきましょう。金銭的なデメリットをなくすためにも、貯金をして自己保有資金を作ったり、各種支払いの滞納をしないようにしたりするなど、クリーンな実績を作ることが大切です。

借地権付き建物の売却方法

借地権は地主から土地を借りているに過ぎませんが、この借地権付き建物は売却することもできます。借地権は土地を借りている状態ではありますが、使用する権利を所有しているという考え方になるため、権利を転売し利益を得ることができるのです。

ただし、売却する場合は必ず地主に相談をしましょう。地主から承諾を得ることができても、地主に承諾料を支払う必要があることは理解しておきましょう。仮に地主の承諾を得られない場合は裁判によって承諾を得なければなりません。借地権の売却を検討した際には、借地権に詳しい専門家に任せることをおすすめします。権利関係の売買にトラブルはつきものですので、専門家に依頼することで手続きをスムーズに進めることができます。

また、借地権付き建物は「借地権」と「底地権」を抱き合わせで売却するのが賢い方法です。底地権は所有する土地を貸す権利ですので、地主が持っているのが通常です。売却できたら大きな利益になり得ますので、地主とは時間をかけて良好な関係を築いた上で交渉することがとても重要です。

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著者紹介

不動産投資塾編集部
不動産投資塾編集部

投資への関心が高まる中で、高い安定性から注目を集める不動産投資。しかし不動産業界の現状は残念ながら不透明な部分が多く、様々な場面で個人投資家様の判断と見極めを要します。一人ひとりの個人投資家様が正しい知識を身に付け、今後起こり得るトラブルに対応していくことが肝要です。私たち一般社団法人首都圏小規模住宅協会は、投資用不動産業界の健全化を目指す活動の一環として本サイト「不動産投資塾新聞社」を介し、公平な情報をお送りいたします。

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