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大家連載コラム石川貴康の超合理的不動産投資術

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石川貴康が考える、「初めて大家になったらするべきこと」

目次

昭和から平成に変わるとき、私はまだ大学生でした。
平成の時代に就職し、その後コンサルタントを目指し、過労死しそうになりながら不動産投資を始め、コンサルタントとして独立しました。
そう、私のビジネス人生は、すべて平成時代のことなのです。

失われた20年、または30年といわれ、日本経済は低迷しているともいわれましたが、私自身はある分野では負けなしの、「知る人ぞ知るコンサルタント」になれました。
また、所有する不動産も160戸を超える規模になりました。書籍も本業で20冊以上、投資関連で5冊ほど書くことができました。

過労死や精神的な危機はあったものの、どのビジネスも楽しく感じていました。好きで楽しかったという思いがあったため、悪い時代ではありませんでした。

私は時代を振り返るような人間ではないし、令和になったからといって、何かが大きく変わる訳でもありません。
不動産は今後も買い続けますが、株などのちょっと今さらと思われるような投資もしてみようと思った次第です。

平成時代をビジネスマンとして生きてきた私にとって、転換点になるかもしれないこの令和になったタイミングで、「初めて大家になったらするべきこと」をアドバイスしてほしいとの要望をいただいたので、書いてみたいと思います。

その①不動産管理会社との付き合いを密にする

私が初めて大家になったのは2002年でした。

ワンルームへの投資が最初です。このときは現金買いで金融機関とは無関係でしたが、不動産管理会社とは連絡を密にしました。

というのも、取引していた不動産管理会社はそのまま不動産開発・販売をする会社だったため、追加購入と管理のやり取りが頻繁になり、結果的に付き合いが密になったのでした。

最初の物件は文京区のワンルームでした。オーナーチェンジ物件です。購入時の入居者が退去してしまい、ビビリましたが即リフォーム。すると、すぐに某有名一部上場企業の会社と法人契約して社宅扱いとなり、入居者が入りました。

しかし、なぜかその入居者は、数カ月で退去しました。即、管理会社から「フローリングの床が削られている」という連絡が来ました。

管理会社経由で契約法人にクレームを入れてもらったところ、この会社の総務部は「敷金内の金額しか負担しない」の一点張りでした。

明らかに床が削ってあったのですが、総務部の担当者は「そんなバカなことがあるか」と対応を渋るので、写真も見せました。それでも「うちの責任じゃない」と言い張ります。

経年劣化ではないし、どう考えても入居者の問題です。らちが明かず、そのうち総務部の担当者から「出るとこに出ようか?」とのやくざまがいの恫喝がありました。

私にとっては初めての物件で、愛情もあり、大事に育てたい投資物件です。管理会社とは密に連携し、この会社の総務部とやり取りしてもらいました。

しかし、結果的に巨大企業には勝てずに、諦めざるを得ませんでした。でも、このときは本当に管理会社の努力に救われました。

こうしたトラブルはよく起きます。

最近、ある管理会社が管理している物件を購入しました。この会社は、今も転貸の形で残っていて、私への入居者の契約引継ぎを拒否しました。

投資的にうまみのある物件なので買いましたが、私の管理会社はこの元の管理会社とは上手に渡り合ってくれます。

この会社からは、おかしな要求が何度か来ました。私にお金を負担しろと言うのです。意味が分かりません。私の管理会社は、その度に打ち合わせて拒否したり、あいまいな対応で無視したりしてくれました。

結果、変な要求は今ではすっかりなくなり、本当に助かりました。

不動産管理会社は、不動産投資の最も重要なパートナーです。

しょっちゅう会いに行って、どのような管理が希望かを話しながら、逆に管理すべき勘どころを教えてもらいましょう。

その②不動産管理会社の能力と誠実さを見極める

上記と矛盾するようですが、不動産管理会社と密に連携しながらも、不動産管理会社の能力と誠実さを見極める必要があります。私はかつて見極める能力が足りず、2度ほど痛い目にあっています。

最初は、1棟モノを最初に購入したときの管理会社です。この会社は、会社とは呼べないような地場の不動産屋、つまり「町の不動産屋」でした。おじいさんとおばあさんの2人で経営されていました。

オーナーチェンジ物件で、そのまま管理を引き継いだのですが、この「町の不動産屋」の対応はひどいものでした。能力が低いうえに不誠実だったのです。

私は初めての1棟モノでしたので、入居者や過去のリフォーム、修繕履歴などを知っていて安心だろうと思ったのですが、大間違いでした。

まず、客付けができません。空室が全然埋まらないのです。どうしようもないので、私が毎週物件の掃除に行ったり、部屋にPOPやプレゼントを置いたりするなどの努力を重ねましたが、ダメでした。

仕方なく、私が周辺の別の不動産屋に客付けをお願いして回りました。

すると、この「町の不動産屋」はせっかく入居者を紹介してくれた優良な不動産屋とトラブルを起こします。

相応に話を聞くと、どう考えても「町の不動産屋」がいけません。客付け能力がないばかりか、バブル時代を懐かしむ傲慢な昔の不動産屋でしかなかったのです。

退去があったときにも、立ち会っていないことが分かりました。当時は節約のため、自分で掃除に行っていたのですが、退去者の残置物がアパートの周りにあふれていました。急きょ「町の不動産屋」に連絡し、退去者負担で処理してもらいましたが、危ないところでした。同じようなことが数度あり、この不動産屋はまともに管理をしていないということがはっきり分かったのです。

それだけでなく、いろいろと私にうそをつくことがありました。一番ひどかったのは、「入居申し込みがあったのに、その人が入居を取り消したとき」の理由でした。

最初は、「客付け業者が断ってきた」と言っていたのですが、たまたまその客付け業者に行ったときに事情を聞くと、元付にあたる「町の不動産屋」が断っていたのです。しかも、私に相談もなく・・・・・・。

「町の不動産屋」に問いただすと、「新興の不動産屋が気に入らない。あいつらと仕事をしたくない」などと言い出しました。完全に自分の好き嫌いで仕事をし、数千万の負債を負って投資している大家の私の希望はそっちのけでした。

私が客付け業者を回るという努力を、すべて無にしていたのです。この不誠実さには、本当に参りました。

結局、2年ほど我慢して管理会社を変えました。その後はほぼ満室が続き、収益力のある物件になりました。何年も空室が埋まらなかったのがうそのようです。

2度目の痛い目は、購入したばかりの別の1棟モノ。管理会社はオーナーが変わった旨を入居者に伝えず、契約の変更もしていませんでした。

この物件は、管理会社が自社所有していた物件を購入したものです。入居者との契約はこの業者がしていて、本来はオーナーチェンジ時に契約を切り替えるのが当然です。

2カ月たっても契約書の変更もなく、継承の証しとして契約書を引き継いでもくれませんでした。

数カ月たって、こちらから「契約書の変更はどうなりましたか?」と聞いても明確な返事がありません。再度問い合わせると「まだやっていませんでした」との回答が来ました。

これでは、物件の所有権が移っているのに契約内容が不透明で、入居者はオーナーが変わったことを知らず、もしなんらかの問題が起きたらオーナー、入居者とも不利益が生じる可能性があります。そのため、早急に管理会社を変えることにしました。

最初の例から学び、大家にすべてを話さず、あとでいろいろとおかしなことが出てくる不動産管理業者とは即付き合わないことにしたのです。

その③賃貸借契約書は継承するか、結び直す

大家になったら、賃貸借契約書は継承するか、結び直すことを強くおすすめします。

痛い目にあってからは、不動産賃貸借に関わる契約書はすべて大家である私が引き継ぐか、契約を結び直すかして、契約内容を明確化することにしました。

また、別の物件では契約書がなく、昔の大家が「言った、言わない」のトラブルもありました。

特に地方物件は契約がいい加減であることがあり、そうした場合は管理会社に依頼し、すべて契約書を結び直してもらうのです。

それを怠ると権利・義務関係が不明確になり、トラブル時に対応ができません。

私の2棟目は地方物件でした。契約書がない入居者がいて、家賃が遅れます。

ほかの入居者は契約書があり、月末に前家賃になっていたので、この入居者にも「月末に前家賃ですよ」と伝えてもらうと、前の大家はそんなことは言っていないと言い張ります。

これには参りました。遅れ遅れになって、結局滞納が始まりました。

最後の退去時に1カ月分遅れているので敷金から相殺しますと言うと、揉めました。

結局、契約書はなく、契約の結び直しもできていないので、諦めました。

初めて大家になるなら、必ず契約書を継承するか、もしくは、結び直すべきです。そうしないと、権利・義務関係が不明確になり、リスクを負うことになります。注意しましょう。

その④物件は定期的に自分の目で確認する

遠隔地であっても、初めての物件はしょっちゅう見に行ったほうが良いと思います。

例えば、清掃を委託している場合、清掃業者がきちんと清掃しているかどうかが分かります。

さらに草刈りの必要性や、ポストのごみの廃棄の要否、塗り直しや設置替え、そのほか設備の修繕や変更の要否が判断できます。

清掃会社のレベルや誠実さも測れますし、もし不動産管理会社経由で清掃を委託しているなら、管理会社の監督能力も測れます。

私も以前、所有している物件を見に行き、草がボーボーの自分の物件を見て呆然としたことがあります。「これは掃除などしていないな」と、すぐに分かります。

入居者に迷惑が掛かるので、こうした清掃業者はすぐ変えるべきです。また、草刈りの要否の提案さえしない管理会社は、定期的な物件巡回もしていないので注意すべきです。

定期的に見に行くと、粗大ごみの放置や不法投棄を発見するとこもあります。

私の所有している物件の一つに、大きなごみを捨てやすいものがあり、私が行くことで早期にごみを発見することができたことがあります。

ひどいもので、TVやベッド、バッテリー、発電機、タイヤ……果ては便器まで捨ててあったことがありました。こうしたモノがあると、入居者だけでなく近隣にも迷惑が掛かります。

おそらくごみを捨てるのは特定の人なのです。即、対応することで、「ここは常に監視しているから、いつか見つかるかもしれない」との警戒感が生まれ、その後ごみの投棄はなくなりました。

物件を定期的に見に行くことには、こうした効果もあります。

入居者に快適な暮らしを提供するためにも、清掃や管理のレベルを上げてもらうためにも、物件は定期的に見に行ったほうが良いと思います。

まとめ

ざっくりとですが、私の経験も踏まえて、初めて大家になったらするべきことを書いてみました。

不動産管理会社の能力を見極め、付き合いを密にして連携を取ること。

責任の所在を明らかにするため、賃貸借契約書などの書類関係は継承するか、結び直すこと。そして、自分自身の目で所有物件をチェックすることが大切です。

大家をしているといろいろなことがありますが、不動産投資は楽しく、きちんとすればしっかりリターンがある投資です。

初めての投資の荒波を乗り越えて、すてきな大家になっていきましょう。頑張りましょうね。

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著者紹介

石川 貴康
石川 貴康

外資系コンサルティング会社、シンクタンクに勤務し、現在は独立の経営コンサルタント。大手企業の改革支援を今も続ける。対製造業のコンサルタントでは業界第一人者の一人。会計事務所も経ており、経理、資産評価、相続対策にも詳しい。2002年から不動産投資を始め、現在は15棟153室ほか太陽光3箇所、借地8箇所を経営する。著書に『いますぐプライベートカンパニーを作りなさい! 、サラリーマンは自宅を買うな(東洋経済新報社)』『サラリーマン「ダブル収入」実現法 、100円ちゃりんちゃりん投資、(プレジデント社)』など

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