石川貴康の超合理的不動産投資術
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2019年4月26日(金)
不動産投資の副収入には何がある? 自販機、アンテナなどなど
不動産投資をしているなら、不動産を所有することで家賃以外の収入が入ってくることを知っている方も多いでしょう。
付帯的な収入ですが、家賃下落が激しい昨今ではこうした副収入は重要な収入源です。
今回は私が行っていることも紹介しながら、不動産所有に伴う副収入について考えてみたいと思います。
また貸しでもできる「駐輪場」や「駐車場」
不動産投資をしていて余っている敷地があるなら、自転車の駐輪場やバイク、自動車の駐車場として貸すという手があります。これらは有望な副収入です。
私が所有しているアパートでは、入居者向けに自転車駐輪場、バイク駐車場、自動車の駐車場を設けています。空いている場合は入居者以外にも貸し出すことがあります。
月額で自転車は500円、バイクは3,000円、駐車場は5,000円~1万円ほどです。
私が所有しているバイク駐車場は都内物件なので、3,000円は一般的な価格です。駐車場の値段は安く感じますが、こちらは地方にある物件だからです。
駐輪場、駐車場はいつも埋まっているわけではありませんが、余った土地や入居者が使用せずに空きになっている駐車場などがあれば、積極的に貸して副収入を得ましょう。
アパート経営をしていて知ったのですが、地方は一家で2台の車を持っていることも普通です。
私は自分が所有する物件の駐車場に空きがなく、駐車希望者がいる場合、隣家の駐車場や土地を借りて、”また貸し”しています。
”また貸し”を活用すれば、自分の物件に空きがない場合でも駐輪場、駐車場の運営ができます。
駐車場業者に土地を貸しているケースもあります。
私は土地だけ持っていて、コインパーキングを運営する業者に貸しています。敷地はさほど広くなく、4台だけの駐車場ですが、駅近のため需要が旺盛でいつも満車です。
私に土地の賃貸料を払っても、駐車場業者は相当に儲けているようです。業者は土地を所有せずに借りて、”また貸し”をして稼いでいるのです。
駐車場や駐輪場の募集は口コミか、不動産仲介業者に依頼します。仲介業者に依頼すると5%程度のマージンは引かれますが、募集、契約、集金などを代行してくれます。
土地を所有していれば有利ですが、土地を所有していなくとも駐車場は運営できます。
ただし、立地が重要なので、ニーズのあるところで行うことを心掛けないといけません。
投資不動産に「貸し看板」・「広告」設置が可能
私はやっていませんが、「貸し看板」・「広告」の設置でも副収入が生まれます。
場所、看板の大きさ、設備状況(単なる立て看板か、電飾付きか否か)によって広告向けの賃貸料は変わります。
国道沿いなどの交通量が多い土地を持っていれば、月数万円の賃貸料が取れるでしょう。
「貸し看板」・「広告設置」では、自宅を使うこともできます。場所があって、看板が出せる余地があれば、「貸し看板」・「広告」の設置も貴重な副収入です。
アパートの屋根で太陽光発電をして「売電」
アパートの屋根の日当たりが良いのであれば、太陽光発電も副収入を生んでくれます。
私も自分が所有するアパートの屋根に3基ほど設置しています。
1基目は豊島区のアパートの屋根です。まだ買い取り価格が1Kwhあたり42円固定の時代に設置しました。
2階建て8戸のアパートの屋根にパネル50枚、156w×50枚=7.8Kwです。
当時はパネルも高い時代でした。パネル込みの設置費用は355万円。当時は助成金があり、区の補助金が78万円、国の補助金が74万8,800円ありましたから、自己負担では約202万円で設置したことになります。
1基目の大体の収支ですが、3年の実績で、2015年32万2,182円、2016年29万9,082円、2017年31万7,520円でした。
2018年はまだ集計していません。表面利回り2015年16%、2016年14.9%、2017年15.8%でした。補助金なしの正味投資額で計算しても、8.0%から8.7%ですから、結構良い利回りです。
2基目は1基目に比べてあまり成績が良くありません。同じ2階立て8戸でもやや小さめのアパートです。屋根の形状も悪く230w×15枚=3.45Kwを乗せるのがやっとでした。
投資額は126万円。都の補助金が19万5,000円、国の補助金が9万3,600円ありましたから、自己負担では約97万円での設置です。
2基目の大体の収支は、2015年6万2,202円、2016年5万7,876円、2017年6万2,748円で、表面利回り2015年6.4%、2016年6.0%、2017年6.5%でした。補助金なしの正味投資額で計算すると、4.6%から5.0%です。「いまいち」ですが、それでも悪くないでしょう。
3基目は、新築の戸建ての屋根に太陽光発電を乗せました。こちらは、補助金は一切なしです。
不動産会社の利回りは8%保証で入金されていて、割戻すと475万円です。
不動産会社が間を抜いても儲かるということのようで、それ以上の利回りなのでしょう。
この太陽光発電の収入として毎年約38万円強の収入、8%の確定利回りです。
というわけで、所有している建物の屋根を使った合計3基の太陽光発電は、大まかにいって、14%(年間約30万円の収入)、4%(年間約6万円の収入)、8%(年間約38万円の収入)といった利回りで回っています。
不動産投資の副収入としては悪くないと思います。
ただしパワコンなどの設置によって、支払う電気代が上がってしまう場合もあります。私の所有物件でも若干上がっています。
その分、収支を悪化させるので、表面利回りも高めを狙えないと、持ち出しになりかねないので注意が必要です。
いまいちと書いた私の2基目の太陽光発電は、支払い電気代が上がっているので、実質利回りでいうと2%~3%に落ちます。1基目は5%~6%です。
戸建ての3基目は8%保証ですので影響はありません。しかし、パワコンの設置などで電気代が増え、実質利回りでは表面利回りよりも1%~2%落ちるので、高めに回るようでない限り、さほどおいしくはないかもしれません。
それでも、貴重な副収入です。
もちろん、メガソーラーで大きく回している人もいるでしょう。土地は所有権か賃借か、ということもあるでしょう。
私はメガソーラーはやらないことにしているので、実態が分かりません。自然エネルギーとしてはメガソーラーも投資したいのですが、先行きがよく見えないので、今後もやらないでしょう。
土地があって道路に面していれば「自動販売機」ビジネスができる
余っている敷地に自動販売機を設置して、副収入を得る方法があります。主に飲料の自動販売機の設置になると思います。
ビジネス形態は大きく二つあります。フルオペレーションタイプとセミオペレーションタイプです。
フルオペレーションは飲料メーカーが設置、補充、売上回収、機械補修のすべてを行ってくれて、売上金額の20%ほどを還元してくれる形態です。
フルオペレーションは、すべて飲料メーカーが運営してくれるので手間がかかりません。私もフルオペレーションで飲料メーカーに土地を貸しています。
フルオペレーションでは、電気代が大家持ちのことがありますが、電気代支払いも飲料メーカーがやってくれることもあります。この形だと、本当になにもしない土地貸しだけとなります。
フルオペレーションタイプの経費としては、仕入れと電気代がかかります。電気代はだいたい月3,000円から5,000円。マージン20%であれば、月200~300本程度、日に10本くらい売れれば儲けが出てきます。
一方、セミオペレーションは自分で仕入、補充、値づけ、売上回収、機械補修をこなし、売上のすべてが手に入ります。
それなりの売上が見込めて、補充や保守などに時間が使えるのであれば、セミオペレーションはおすすめです。
ただし、手間がかかります。
セミオペレーションタイプでは飲料が選べるので売れ筋を選べますし、売値を変えて大量販売も可能にできます。
よく見かける100円自販機はこのパターンです。
本業のある私にはできませんが、私のご近所の商店主さん達は、セミオペレーションで自販機ビジネスをしています。
私のフルオペレーションの自販機の例では、飲料メーカーから私に振り込まれたお金は2015年9万9,541円、2016年8万9,313円、2017年8万8,227円でした。
これは、電気代も控除したあとの金額です。2018年はまだ集計していません。
場所は、郊外の住宅街のアパートの敷地です。さほど人通りも多くはないのですが、月に6,000円~8,000円の副収入です。
たいした額ではありませんが、何もしないで年間8万円程度の収入は悪くないのではないでしょうか。
地球温暖化を考えると積極的にはすすめにくいですが、自動販売機はちょっとした余分な土地があって、売上が見込めるのであれば有望な副収入ともいえます。
うれしい副収入、携帯電話のアンテナ貸し
携帯電話のアンテナの設置場所として、屋上を貸すことも副収入になります。
たまたま一昨年に買ったRC一棟物の屋上についていて、そのまま継承しました。携帯電話会社2社に貸しています。
年間で1社40万円弱です。このマンションは入居家賃だけでは表面9%なのですが、アンテナの賃料を入れると、表面利回りが1%ほど上がって10%を超えます。
アンテナは自分から進んで設置したのではなく、前のオーナーからの継承です。そのため、設置に向けた苦労や手間が分かりませんが、何もせずとも副収入はうれしいですね。
携帯電話のアンテナへの場所貸しがどのように検討され、設置されていくのかは残念ながらわかりません。階数が高いとか、まだアンテナが少ないといった地域なら、有望なのかもしれません。
電柱用の土地を貸すということ
不動産を購入すると、敷地内に電柱が立っていることがあります。この電柱も賃貸料を払ってくれます。
もちろん、専有面積が小さいので、微々たるものです。私の物件でも数件ありますが、だいたい1件当たりで、数年で数百円のレベルです。
それでも、なにもせずに入ってくる副収入としては、小銭でも十分うれしいものです。
電柱は自分の敷地内にあっても、再契約が後手になることもあります。もし、電柱があるのを見かけたら、すぐに電力会社に連絡したほうがいいと思います。
小銭ですが、それでも家賃ですから大切にしたいものです。
不動産投資において、副収入はちょっとしたサポート収入です。昨今、家賃下落や空室率上昇といった問題もある中で、少しでも稼ぎを多くするためにも、こうした副収入の余地があるなら試してみてもいいでしょう。
チリも積もればヤマとなる。小さなお金も大事にして、不動産投資に励んでいきましょう。
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著者紹介
石川 貴康石川 貴康
外資系コンサルティング会社、シンクタンクに勤務し、現在は独立の経営コンサルタント。大手企業の改革支援を今も続ける。対製造業のコンサルタントでは業界第一人者の一人。会計事務所も経ており、経理、資産評価、相続対策にも詳しい。2002年から不動産投資を始め、現在は15棟153室ほか太陽光3箇所、借地8箇所を経営する。著書に『いますぐプライベートカンパニーを作りなさい! 、サラリーマンは自宅を買うな(東洋経済新報社)』『サラリーマン「ダブル収入」実現法 、100円ちゃりんちゃりん投資、(プレジデント社)』など