Column

不動産投資の最新動向

1,405 view

不動産投資では「サブリース」に注意! メリットとデメリット、トラブルのリスクを解説

目次

不動産投資では、不動産会社が「サブリース」の契約を申し出てくる場合がよくあります。

「サブリース」とはなにか? そのメリットやデメリット、トラブルになるリスクに至るまで、サブリースについての実態と注意点を解説します。

「サブリース」契約を結べば、空室でも家賃が入ってくる!

「サブリース」とは、いわゆる家賃保証です。

具体的には、管理会社がオーナーから物件を一括で借り上げて入居者募集や家賃回収などを代行し、手数料を差し引いた額を毎月オーナーに支払う、という仕組みを指します。

アパート経営において避けられない「空室リスク」を回避する有効な手段です。

特に新築物件への投資では、必ずといっていいほどサブリースの利用をおすすめされます。

家賃保証と引き換えのデメリットとは?

サブリースでオーナーが得られる大きなメリットは、以下の2点です。

①空室になっても賃料が入ってくる
②家賃滞納への対応を不動産会社に任せられる

サブリースはよいことずくめのように思われますが、デメリットもあります。

それは、管理会社(サブリース会社)に対する手数料が発生するので、そのぶん利回りが下がることです。

くわえて、さまざまなトラブルに巻き込まれる可能性もありますが、これについてはのちにくわしく述べましょう。

サブリースとよく似た「集金管理代行」、どう違う?

サブリースとよく似た仕組みとして、「集金管理代行」と呼ばれるサービスがあります。

集金管理代行は、不動産会社が入居者からの家賃回収を代行し、手数料を差し引いた分をオーナーに入金するシステムで、サブリースと同じ仕組みです。

ただし、サブリースと異なり、空室になった場合にオーナーに家賃収入が入ってこなくなるという点があります。

トラブルだらけのサブリース?

先に述べたように、サブリースは投資家の不安を解消するすばらしい仕組みのように思えますが、実際にはトラブルや不祥事を招くこともあります。

悪質な入居者に部屋を荒らされるリスクも

契約条件にもよりますが、サブリースは一般的に、賃貸物件の入居者とオーナーとの間に管理会社が入る形になります。

つまり、物件の入居者募集から審査、入退去の手続きまですべて管理会社に任せることになるのです。

したがって、管理会社とサブリース契約を結んでいるオーナーは、自分の物件にどのような入居者が住んでいるのか知らないケースが多いのです。

プロに任せて安心していたはずが、悪質な入居者に部屋をめちゃくちゃな状態にして退去され、多額の原状回復費用が発生するというケースも散見されます。

サブリース契約を結んでいるとしても、自分の物件の入居者情報は、定期的に確認する必要があります。

契約書にある「賃料見直し」や「解約」の条項にご用心

サブリースの契約内容には基本的に、一定期間ごと(相場は2年程度の更新)に管理会社が保証賃料を見直したり、契約を解約したりできる条項が入っています。

「30年間家賃保証あり」といった魅力的な文言で投資家を引きつけながら、数年後の賃料見直しにより、保証額が大きく下がる……という話は珍しくありません。

つまり、サブリース業者によって当初保証される収入が永遠に続くと勘違いして契約すると、管理会社の都合ひとつで、後から思わぬ収入減に見舞われる危険があるのです。

悪質な管理会社は、サブリース契約を勧める際、契約期間や賃料見直し、解約条件について言葉巧みに濁したり、嘘をついたりするケースがあります。賃料見直しや解約にまつわるトラブルや訴訟は非常に多く、最近は国土交通省が対策に乗り出したほどです。

国土交通省による「サブリース事業適正化ガイドラインの策定」はコチラをクリック♪

特に新築のマンションやアパートの購入において、管理会社がサブリース契約を勧めてくることが多いです。

建物の築年数が新しいうちは、家賃保証をしても入居者から入ってくる賃料との差し引きで十分に儲けが出るからです。

オーナーとしては、「築年数が古くなって入居者が集まりづらくなったタイミングこそ、家賃保証をしてほしい」と思うものですが、現実にはそんなに甘くはいかないのです。

管理会社が倒産すれば被害は甚大!

多くのサブリース契約では、入居者からの家賃は、一度管理会社の口座を通ってからオーナーに入金される流れになります。

なかには、家賃入金を管理会社に任せきりで、毎月決まった額の家賃が入金されているかをいちいち確認しないオーナーもいるのです。

しかし、そのように確認を怠っていると、サブリースを任せた管理会社が倒産したときに、予想外の損害を被ることになります。

管理会社が倒産した後に、入居者から管理会社の口座に入ってきたお金は、基本的にオーナーの手許には入りません。

「何戸も物件を所有していて、数ヶ月にわたって入金が止まっていたことに後から気づいた」という状態で管理会社が倒産すると、目も当てられない状況になります。

毎月の入金をきちんとチェックするのはもちろんのこと、管理会社からの入金が遅れたり金額が減ったりといった倒産のサインには、しっかり目を光らせておきましょう。

「管理会社が倒産するなんて、めったにないだろう」と思われるかもしれませんが、不動産業界には零細企業も多く、そのような小さな会社はいつなんどき倒産するかわかりません。

大きな会社でも、無茶な取引でいきなり潰れてしまうパターンは多いので、決して安心はできないのです。

すぐにサブリースに飛びつかず、慎重に検討を

サブリースの問題点について述べてきましたが、サブリースはマンション運営において空室リスクを回避する非常に有効な手段でもあります。

その内容をしっかり理解したうえで、契約するメリットがあるかどうかを判断する必要があります。

業者からサブリースを持ちかけられたら、まずは必ず、契約書をじっくり読み込んでください。

賃料見直しや解約の可能性も含め、慎重にシミュレーションしたうえで決断しましょう。

投資用不動産業界に関する情報が毎週届く!
不動産投資塾新聞社メールマガジン登録はこちら

著者紹介

不動産投資塾編集部
不動産投資塾編集部

投資への関心が高まる中で、高い安定性から注目を集める不動産投資。しかし不動産業界の現状は残念ながら不透明な部分が多く、様々な場面で個人投資家様の判断と見極めを要します。一人ひとりの個人投資家様が正しい知識を身に付け、今後起こり得るトラブルに対応していくことが肝要です。私たち一般社団法人首都圏小規模住宅協会は、投資用不動産業界の健全化を目指す活動の一環として本サイト「不動産投資塾新聞社」を介し、公平な情報をお送りいたします。

関連記事

不動産営業マンの本音とは? 業界の実態を大暴露!

不動産投資の最新動向

6,929 view

不動産営業マンの本音とは? 業界の実態を大暴露!

アパートの大家は儲かるのか?決してラクではない、大家としての役割とは

石川貴康の超合理的不動産投資術

4,152 view

アパートの大家は儲かるのか?決してラクではない、大家としての役割とは