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「ホテルの仕組みを導入すれば、賃貸はもっと便利になる」~ OYO LIFEの誕生につながった「賃貸ビジネス」への疑問とは?

目次

OYO LIFEは「全く新しい賃貸のカタチ」をコンセプトに掲げる、まったく新しいタイプの賃貸事業として注目されている。面倒な契約もなく、初期費用不要。家具・家電付きの部屋が豊富に揃い、全室に水道・ガス・電気、Wi-Fiも完備され最短で申込の翌日からでも生活を始めることができるという画期的なシステムは、これまでの賃貸物件の常識を覆すほどのインパクトをもたらしている。従来の賃貸ビジネスとの明確な違いはどこにあるのだろう? ホテルと賃貸のいいとこ取りを実現する事業の仕組みと特徴について、OYO LIFE CEOの勝瀬博則氏にうかがった。

ホテル感覚で利用できる!? 日本初の賃貸サービスとは

――OYOは本国インドやアジア各国でホテルチェーンを展開しているグローバル企業として知られています。グループブランドであるOYO LIFEはどのような事業を展開しているのですか。

勝瀬博則CEO(以下敬称略) OYOは世界トップクラスの規模でホテルチェーン事業を展開していますので、一般的にはホテルの会社だと思われている方が多数です。ただ、実はホテルにとどまらず、生活空間に関わるあらゆるサービスを行っている会社でもあります。その根底にあるのは「クオリティリビングスペースの提供」という企業のビジョン。ホテルという業態にこだわらず、便利で、高品質な居住空間を適切な価格で提供している点が大きな特徴です。

OYO LIFEもそのビジョンに則った事業の1つで、インドと日本で、長期滞在用の物件を提供しています。物件を借りたい人が、ホテルに泊まるような感覚で利用できる新しいタイプの賃貸サービスです。

――従来のいわゆる一般的な賃貸物件とは、どのような点で異なるのでしょう。

勝瀬 まず部屋の中に家具や家電*がそろっています。電気、ガス、水道なども入居時から開通していますし、インターネットもつながっています。また、敷金礼金も必要ありません。通常、引越する際には敷金礼金と前家賃を含め、家賃の5ヶ月分くらいのお金を準備しなければなりません。OYO LIFEにはそのような金銭的な負担はなく、入居時や入居後の煩雑な手続きもいらず、思い立ったらすぐに住むことができるのが特徴です。
*家具・家電なし物件もあります。

――初期費用や手間がかからない環境はまさにホテルと同じですね。なぜそのような環境の提供が可能なのでしょうか。

勝瀬 我々がオーナーから物件を借り、快適な環境に整えたうえでエンドユーザーに提供しているためです。敷金礼金などは借り手である我々がオーナーに支払います。電気、ガス、水道の手続きも行い、家具や家電もそろえ、ホテルのように泊まれる環境にしてからエンドユーザーに提供するわけです。

物件選びの労力も削減! 賃貸に付き物の「内見」の必要がないワケ

――従来の賃貸物件との違いとして、スマートフォンで物件情報を確認し、契約できるという簡便性があります。ユーザーから見ると、物件を内見せずに借りるという流れが大きく異なります。

勝瀬 はい。従来の賃貸物件は借りる前に内見するのが当たり前でした。引越には、ある程度まとまった額のお金が必要です。もし借りた物件が気に入らなかった場合、また費用を準備して別の物件に引っ越さなければなりません。

そうしたリスクを最小限に抑えるために、どのような物件であるかをあらかじめ確認する「内見」の必要があったのです。一方、OYO LIFEの物件は入居も退去も簡単です。内見をする必要がないので、手間、時間、費用がかからないのです。

――旅行先のホテルを内見する人がほとんどいないのと同様、OYO LIFEの物件も内見する必要がない仕組みになっているということですね。

勝瀬 そうです。仮に旅行先のホテルが気に入らなかったとしても、ほとんどの人は短期だから我慢しようと考えるでしょう。賃貸も同じで、2年間住むとなると、物件選びに慎重にならざるを得ませんが、OYO LIFEの物件は1ヶ月単位での契約ができるため、気軽に借り、気軽に出ることができます。

外(そと)の業界から入ってきた人間だからこそできる「常識にとらわれない発想」とは?

――OYO LIFEは、借り手にとっては新たな住まいの選択肢として定着しそうですね。

勝瀬 むしろ、これまでホテルと賃貸という業種で明確に分けていること自体が不思議でした。私はOYO LIFEと関わるまで不動産とは関係のない業界で仕事をしてきましたので、素人感覚として、ホテルと賃貸不動産は物件を貸して収益を得るという点で(は?)どちらも一緒ではないかと思っていました。

しかし、この2つは所管の法律が異なるだけでなく、利用するための環境も大きく違います。一例をあげると、ホテルは1日単位で利用でき、一部を除いて後払いです。一方の賃貸は月単位で前払いです。また、ホテルはスマホで予約もキャンセルもできるくらいIT化されていますが、賃貸物件はアナログで、部屋を借りるためには、その都度不動産屋に出向かなければなりません。

賃貸物件を借りるための審査があり、収入や家族構成などを伝え、保証人を用意します。そんなホテルはありません。業界外から見ていて、ホテルで当たり前に行われていることがなぜ賃貸ではできないのだろうという疑問が常にあったのは確かです。

――その疑問がOYO LIFEの事業化につながっていくわけですね。

勝瀬 はい、そうです。疑問を持ったのはホテル予約サービスのブッキングドットコムで仕事をしていたころで、その後、handyというホテル向けスマートフォンの無料レンタル事業を手がけました。

いずれもホテル関連で詳しいだろうと思われたことと、handyがソフトバンクへの第三者割当増資を実施し、一方でソフトバンクがソフトバンクビジョンファンドを通じてOYO本体に出資したこともあり、孫正義さんやOYO創業者のリテシュ(アガルワル)さんと面会する機会に恵まれました。そこでホテルと賃貸事業の共通点の話や、IT化されていない賃貸住宅市場がホテル市場の10倍くらい大きいことなどを話した結果、日本で一緒にビジネスをやろうということになり、OYO LIFEが立ち上がることになったのです。

インタビュー記事「中編」:「人口が減少で、賃貸物件は変革期を迎えている」~供給過多の市場で勝ち残るための戦略とは?

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著者紹介

不動産投資塾編集部
不動産投資塾編集部

投資への関心が高まる中で、高い安定性から注目を集める不動産投資。しかし不動産業界の現状は残念ながら不透明な部分が多く、様々な場面で個人投資家様の判断と見極めを要します。一人ひとりの個人投資家様が正しい知識を身に付け、今後起こり得るトラブルに対応していくことが肝要です。私たち一般社団法人首都圏小規模住宅協会は、投資用不動産業界の健全化を目指す活動の一環として本サイト「不動産投資塾新聞社」を介し、公平な情報をお送りいたします。

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