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大家連載コラム石川貴康の超合理的不動産投資術

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融資は締まっているか? 銀行融資を受けた印象と対策

目次

元号が平成から令和に変わり、今年ももうすぐ半分が終わろうとしています。

私は今さらですが、実は株の世界に足を突っ込もうとしているのです。「株も今や高騰、いつ下落をするのか?」と、みんなが思っている矢先に、「株に向かうとは、判断を間違っているのか、どうなのか?」と我ながら思います。
とはいえ、不動産においては、いい物件は出てくるので、それを拾えばいいと思っています。

今回は、評価が出ずに融資がつかなかった茨城県M市物件、最近購入した茨城県T市物件の投資のプロセスを振り返ります。
さらに、最近売り出している私の茨城県M市物件の売却難航について振り返り、今後の不動産投資、特に融資の先行きを占ってみましょう。

評価が出ずに融資がつかなかった茨城県M市物件

2019年に入って、M市の中心地で一棟マンションが売りに出ていました。価格は1億円強。さっそく内見に行きました。

その地域は私が生まれ育った中心街で、思い入れも強い場所でした。M市は、多くの地方都市と同様に、昭和のモータリゼーションや平成の自治体投資によって中心街が空洞化しました。

しかし近年、高齢化で郊外での車生活に困難を感じる高齢者層をはじめ、富裕層が中心街の再開発マンションに回帰してきています。

そうなると、再び中心街もかつての活気を少しは取り戻すのではないかとも思いますが、中心地は地価も高く、引きずられる形で固定資産税も高く、家賃も高いままです。

残念ながら、居住者の増加や商店街の再活性化は起きないでしょう。

売買も賃貸も、もう一段、二段落ちて、さらに固定資産税評価額を自治体が下げない限り、中心街の復活はないでしょう。

とはいえ、復活はなくても、もともと住みやすい場所であるからこそ中心街になったので、それなりに価値は高いはずです。

私が狙った物件のある場所は、すぐそばに地銀の本店があり、M市ゆかりの上場企業が数社本店を構える地域でもあります。駅は徒歩圏で、大きな病院もあり、便利な場所です。

私は早速買い付けを入れ、価格交渉で折り合い融資を申し込むと、どの金融機関も渋い様相でした。

まず、金融機関は担保価値評価ですから、私が申し込んだ複数の銀行は、共に評価が出ません。どこもせいぜい6,000万円でした。

金融機関は担保評価額に掛け目をかけ、さらにリスクを見ます。たいていは7掛けするので、6,000万円では4,200万円が融資可能額です。

通常、フルローンで買うことが多い私は、自己資金を6~7割出すよう言われると購入できません。この物件購入はローン特約も付けたので、結局購入を断念しました。

このM市物件の購入断念時に感じたのは、金融機関の不動産投資融資への消極的な姿勢でした。特に地方都市に対して消極的な姿勢が強くなっている気がしました。

理由として垣間見えるのは、以下のような背景だと考えます。

 ①不動産投資への金融庁の監視強化の影響

不動産への融資残高がバブル期を超え、過熱気味だとの金融庁の警告で、不動産投資への融資は監視が強化されています。

今後も大きな問題になるのは、おそらく田舎に建てられたアパートでしょう。

地方は企業の融資ニーズもなく、住宅ローンも競争で融資先がない中で、相続対策を含むずさんなアパート建設が続きました。収益の低さや空室、家賃保証のトラブルはすでに問題化していたり、これから問題化したりすると思います。

社会問題化することを懸念した金融庁からの監視で、金融機関の不動産投資への融資が厳しくなっています。明確には言わないまでも、「不動産投資への本店の目がうるさくなっている」のは、複数の金融機関担当者と会話しているとわかります。

②地方都市は人口減少が影響し、不動産投資リスクが高まる想定

少子高齢化により、地方都市は軒並み人口減少に見舞われています。さらに、ビジネスが縮小しています。

自然に人も法人も減少し、経済が落ち込んでいきます。民間の需要が伸び悩み、お金が回っていません。

当然、不動産市場は縮小の予想がされているので、最近極端に厳しい見方をされています。

③銀行ビジネスの行き詰まりとビジネス判断ノウハウの欠如

銀行は融資をしてナンボであるにもかかわらず、融資先が少なくなりました。

国債を買うぐらいしか手がありません。銀行は苦しい台所事情により、仕方なく手数料ビジネスに手を染め、投資信託などを売っています。

今後フィンテックによりさらに収益を削られていくでしょう。今まで、本店頼みで融資のリスクばかり見てきた金融機関には、融資の良し悪しを見抜くノウハウがありません。

融資すべきかどうかの判断がマニュアル通りなのです。

本店次第の仕事のやり方で、地方を知らないままでいると、ますます融資ができなくなっていきます。

金融機関が融資すべきビジネス判断ノウハウが欠如していては、融資が活発化するはずもありません。

ということで、暗い話が多くなりましたが、要は不動産投資、特に地方の不動産投資に対する融資は厳しくなる一方だと私は判断しています。

 

ほぼフルローンに近かった、最近購入した茨城県T市物件

さて、撃沈したM市の一棟モノ以外に、最近茨城県T市の物件を決済しました。こちらは、第二地銀での決済です。

通常、こちらの金融機関はいつもフルローンやオーバーローンで融資がつくので、今回も同じ勢いで融資を申し込みました。

いつもは、「喜んで!」といった感じで対応してくる担当者ですが、今回はいつもと対応が違いました。とはいえ、なんとか上申はしてくれたようです。

しかし、最初から「フルローンは厳しい。いくらか手付金を入れてもらうことになると思います」とのジャブ打ちが来ました。ここ数年、こんなことはなかったので、ちょっと先行きに不安を感じました。

この物件は1年以上前から購入を仕込んでいた物件でしたので、買えないとなると不動産業者にも迷惑が掛かるため、ハラハラしました。

2019年2月末決済で動いていたのですが、結局金融機関の動きが悪く、なんとか2019年3月にずれ込みながらも決済しました。

キャッシュがタイトな売り主だったら、売買そのものがなくなる恐れさえあるような事態です。

焦る私と対照的に、今回の金融機関は終始、事務的な対応でした。売り主と覚書を交わし、決済タイミングをずらして無事決済しましたが、今回の条件は自己資金5%を入れ、さらに諸費用分も自己資金となりました。

金利は1.5%。フルローンではありませんが、自己資金10~30%を予想していたので、拍子抜けでした。

今まで銀行は優良貸し先の私に対して、フルローン、オーバーローンで特に問題がありませんでした。けれども今回、自己資金を要求してきたことで融資は締まってきている印象を受けました。

今年の後半か来年に、さらに投資予定の物件を仕込んでいますが、果たしてこの物件が融資対象になるのかどうか、不安なところです。

金融機関としては融資をしなければ収益が上がりませんから、融資をしないということはないでしょうが、今後融資案件と貸し先の評価が厳しくなっていくでしょう。

今までのような緩い融資がなくなるのは当然で、かつ貸し先の選別が進むでしょう。

サラリーマンへの融資は厳しくなると銀行の担当者たちは言っていました。

一方、サラリーマンでも資産があり、それなりの定期収入が継続的にあれば十分対象になるという見方は変わっていません。

ということで、貸し先の選別がきつくなり、普通の収入でこれから不動産を買おうという初心者には融資は厳しくなるでしょう。もし、借りることができるなら、慎重に、その貴重なチャンスに対応していくべきでしょう。

 

最近売り出している私の茨城県M市物件の状況

購入と並行しながら、私は茨城県M市物件を売り出しています。

3LDKを6戸、全戸駐車場付きです。道路付けもよく、見晴らしのいい物件です。現在満室で、表面利回りは10%超です。

さてこの物件、結構問い合わせもあり、内見も数件あって、最近買い付けがありました。しかし、融資が通らず断念されました。不動産業者いわく、不動産投資家の方が買い付け者で、融資も堅いといっていたのにダメだったそうです。

買い付けの申し込み者がどのような方かは実際のところ知りませんが、すでに不動産投資をしている方でも融資が厳しくなっているのでしょう。

先の私のM市物件のようなことが起きて、物件そのものの担保価値の低下が原因か、それとも買い付け申込者の属性の問題か、あるいはその両方が予想されます。

いずれにせよ、融資が締まっているのは確かで、以前ほど簡単に不動産投資ができなくなっています。

不動産投資で今後起きるのはバブル崩壊か、それとも緩やかな低下か?

加熱していた不動産投資ブームも終焉期を迎えようとしています。

バブル崩壊のような大きなクラッシュが起きるかどうかは分かりませんが、私はそうした大暴落が不動産には起きないと想定しています。逆に、普通の状態に戻るだけだと思います。緩やかな低下が起き、過熱した価格も落ち着くでしょう。

価格の低迷が起きると同時に融資がどんどん締まるので、簡単に買えなくなり不動産投資家の多くは価格低下の恩恵を受けにくくなります。こうした状況下で、買うことができる不動産投資家はいい値段で物件を拾うでしょうが、なかなか難しいものです。

結局、金融機関も慈善事業ではないので、回収が確実な融資先には貸し、そうではない融資先には貸さないという姿勢を強くするでしょう。

しかし、バブル期のようなうさんくさいキャピタルゲイン狙いの投資は少ないでしょうから、世の中的に極端なことは起きないでしょう。しかし、大きく高値で買い込んだ個人では厳しい状況に陥る人も出るでしょう。

結局、投資は地道に行い、大儲けや一発逆転を狙うのではなく、リスク対応が可能な範囲で行うべきなのでしょう。

私は最近、不動産以外にも投資をしていますが、少しキャッシュを厚めに持とうかとも思っています。一方で、株の投資も始める予定です。

私は株の初心者です。初心者が大量に参入したらその投資セクターは終焉だという教えが正しいとすると、証券投資は終わりかもしれませんね。

とはいえ、いつも私は価格の上げ下げによる収益を狙わないので、不動産投資同様、地道な投資をしていくでしょう。

投資は焦ってするものではないと思います。無理せず、ゆっくりと、資産を築いていきましょう。

ゆっくり資産を増やすことが大事だと思う今日このごろです。

著者紹介

石川 貴康
石川 貴康

外資系コンサルティング会社、シンクタンクに勤務し、現在は独立の経営コンサルタント。大手企業の改革支援を今も続ける。対製造業のコンサルタントでは業界第一人者の一人。会計事務所も経ており、経理、資産評価、相続対策にも詳しい。2002年から不動産投資を始め、現在は15棟153室ほか太陽光3箇所、借地8箇所を経営する。著書に『いますぐプライベートカンパニーを作りなさい! 、サラリーマンは自宅を買うな(東洋経済新報社)』『サラリーマン「ダブル収入」実現法 、100円ちゃりんちゃりん投資、(プレジデント社)』など

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