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石川貴康の超合理的不動産投資術

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業務を上手に委託することで梃子の力を生み出し、時間貧乏を脱却する

目次

不動産を継続して買うためには、自分の時間を確保しておかなければなりません、自分の時間を確保するために必要なのが、お金を使って委託する力です。「気前よくお金を支払う」姿勢といってもいいでしょう。

今までは、攻めの話と守りの話をしてきました。攻めの話として、不動産管理会社を選んで管理を確実にし、良い営業マンから物件を紹介してもらい、金融機関からお金を借りて増やしていくということです。守りとしては、会計と税務の知識を持ってお金を守り、保険と保証会社によってリスクに備えることでした。攻めるにしても、守るにしても、時間がなければできません。時間の確保が不動産投資の継続には必要なのです。

今回は、攻めにも守りにも必要な「時間」を生み出すための、「委託する力」について書いていきます。

委託することによって「時間」を生み出し、継続的に物件を増やしていける

物件を増やしていくと、その管理に時間をとられていきます。物件が増えることで、どんどん時間に追われる「時間貧乏」になっていくものです。時間は有限ですから、物件を増やすにあたって制約になっていくでしょう。時間という制約をなくすには、自分でやらない、人に委託するということが必要なのです。

もちろん、物件が少ない時には、自分の時間を使った自主管理も可能でしょう。自主管理というのは物件の管理を家主自らが行うことです。管理項目としては、募集、入退去の立ち合い、設備点検、リフォームの指示、不具合の受付、修繕の指示、家賃の収受、滞納の督促などといったもろもろの雑務です。

また、掃除や除草といった環境整備も必要です。私も草取りや掃除をしていたことがありますが、大変でした。そして、会計と税務です。会計と税務の知識は必須ですが、全部自分でやると大変なのです。

こうして管理が大変になっていくと奪われるのが自分の時間です。時間が無くなると、物件が探せませんし、自分でやっている管理や作業も滞っていきます。不動産で余裕を持ちたい、豊かになりたいとの目的に反して、どんどん忙しくなっていて時間貧乏になってしまうのです。

こうした事態を避けるためにも、お金をきちんと払って、業者に委託して、時間貧乏を脱却していくことが重要です。

高い手数料を払ってでも質の高い委託業者を選ぶこと

管理を委託する不動産業者については第2回目「管理会社を間違えないために押さえておくべき6つのポイント」のコラムに書いた通りです。良い管理こそ、不動産投資成功のカギです。良い管理会社は金のわらじを履いて、自分で探して見つけるのです。

委託手数料は、私の場合、だいたい家賃の5%です。何も起きない時に5%は高いと思うかもしれませんが、これでほぼすべての面倒な管理業務が委託できます。なんといっても、不動産投資において、事業としてもっとも時間が取られ、心理的にも負担が大きい作業が委託できるのです。

委託手数料の相場は一般に3%から8%の間くらいではないでしょうか。自分の時間と精神的な安定が重要であるならば、安い買い物です。

もちろん、私は自主管理を否定するものではありません。時間があれば自主管理の方が良いでしょうし、物件や住民、環境などの事情も把握できます。きめ細かく管理するなら自主管理ですが、件数が増えると困難になります。まして、私のように本業を持っていて不動産投資を副業でする場合、本業に影響があっては本末転倒です。

また、自主管理をしていても、忙しくなりすぎて個々の問題の対応に時間が取れず、入居者に迷惑がかかるのも本筋から外れます。ある程度の規模になったら自主管理から管理委託にしていくべきでしょう。

設備点検保守を直接委託する場合と管理会社を経由する場合

 管理を委託していたとしても、一部を直接大家が行ったり、業者に発注して行ったりする場合もあるでしょう。時に設備の保守点検などは、業者の数も多く、不動産管理業者を通さない方が安くて良いサービスを受けられることもあります

エレベータの保守、浄化槽の点検・汲み取り、水道タンクの点検、受電装置の点検・保守などです。しかし、こうした設備類については、基本的に自主点検は資格の有無もあるため稀だと思います。

不動産管理業者経由であればマージンが乗る可能性があるので痛しかゆしです。しかし、管理会社が手配してくれるので、対応が楽になります。デメリットを差し引いてもメリットが大きければ、管理会社に任せましょう。価格が気になるなら直接委託すればいいでしょう。

私は自分の時間が欲しいので、今はすべて不動産管理会社を通して委託しています。

修繕やクリーニングのセルフリフォームと委託のメリット・デメリット

修繕やハウスクリーニング、美装などのリフォームも自分で行うこともできます。私も一時期は、あまり汚れていない部屋のクリーニングやちょっとしたリフォームは自分で行っていました。

しかし、時間がかかるうえに、きちんときれいにするにはやはりプロの腕には勝てません。費用対効果を考えた時に、全面的に委託することにしました。

セルフリフォームのメリットは安いことです。デメリットは時間を取られること、レベルが低いと内見にきた見込客に嫌がられることです。

委託のメリットはやはりプロとしての品質と時間の節約です。デメリットは自分で行うよりも高いこと。もちろん、プロでもいい加減な仕事をする業者もいます。私も駆け出しのころは、セルフリフォームと委託を比べて、委託した方が細部に気が行き届いていない時もあり、イライラしたものです。

しかし、件数が増えれば時間が取れなくなります。時にきちんと作業結果を検証しながら、品質維持を心がけた委託が必要です。

掃除の委託ではチェックリストや掃除後の写真を送ってもらうこと

少しだけ先述しましたが、リフォームは早期に業者に委託したものの、物件の掃除を自主的に行っていた期間が数年ありました。月一回の掃除でもけっこう費用が取られるので、自分で行っていました。都内の4物件を月1回巡回して掃除するのです。

しかし、夏は暑くてつらいし、冬は寒くてつらい。装備を持っていき、作業後ゴミを持って帰るのも大変でしたから、途中からできなくなり委託にしました。相場は分かりませんが、今の私の物件では都内物件が月1回の掃除、茨城の物件も月1回、福岡が月2回の掃除となっています。掃除の委託費は1万円から2万円です。

茨城の清掃業者は必ず結果の写真を撮って清掃前、清掃後の比較の報告をしてくれます。都内の業者、福岡の業者は写真での報告はありません。

どの業者も清掃項目へのチェックリストを持っていて、チェックしながら清掃しています。茨城、福岡の業者は掃除項目のチェックリストを不動産管理会社経由で開示してくれます。しかし、都内業者は物件にチェックリストがあるだけで、こちらに送ってくれません。

それでも、何度か見に行って結果としては満足しています。でも、できれば写真くらい撮ってほしいものです。

また、かつては草取りも自分でしていましたが、さすがにきついのでこちらも委託にしました。都内では1回2、3万円取られますが、毎回見積もりを取って対応しています。

コンクリートで固めて草が生えないようにする方が楽ですが、なんとなく少ない都会の土をコンクリートで埋めるのに抵抗があるので、毎年草刈りを行います。

それから、茨城にある2棟のアパートは庭木があり手入れが必要です。こちらも毎回植木屋さんに見積もりを取って対応しています。1回数万円かかります。

私は、掃除や草刈り、植木の手入れにお金を払うのは、そう悪くないと思っています。掃除は地元業者の売上になります。草刈りは近所の方のアルバイト仕事になっているようです。庭の手入れは植木屋さんにお金が落ちます。地域にお金を回すという点では、委託は良いことだと考えるようになりました。

会計と財務をどこまで外部委託すべきか

会計と税務は専門的になるのですが、第6回目のコラム「不動産投資で成功するなら簿記、会計、税法の勉強は必須」で書いた通り、会計の知識と税務の知識は必須です。しかし、こちらも相当に時間が取られます。

できれば委託したいところです。委託料金は、規模にもよりますが、最低限で月額2万円、決算と税務申告書の作成で10万円、年間20万円から30万円くらいでしょう。もちろん、私の知る範囲でもこれは最低限なのでもっとかかるかもしれません。あるいは、中にはもっと安い事務所もあるかもしれません。

良いサービスには高い報酬が普通ですが、税理士事務所や会計事務所もランクは様々ですから慎重に選びましょう。もちろん、高い価値を提供してくれるなら、たっぷり報酬を払うのは厭わないようにしましょう。

気前よく払って、みんなで豊かになる不動産投資を心がける

高い品質のサービスにはそれなりの報酬の支払いが必要になります。大家業はサービス業ですから、できれば入居者には高い品質のサービスを提供したいものです。

「安かろう・悪かろう」では、入居者も嫌になって、そのうち入居率が下がるかもしれません。良い委託業者には、きちんと支払ってあげるべきでしょう。

また、最近では委託料を払うことで地域経済に貢献しているのだと感じるようになりました。不動産は土地に縛り付けられてあるため、その土地の業者に仕事を委託することになります。地元業者にお金が落ちるのです。

であるならば、地元業者にお金を落とし、そのうえで大家も儲かるという、みんなで豊かになる不動産投資をしたいものです。

もちろん、そのためには、入居者に良いサービスを提供し、適正な家賃をもらって、大家だけで貪らず、不動産投資のパートナーたちと分かち合う姿勢が大切でしょう。継続的に物件を増やすためには、入居者はじめ、関係者全員永続的でなければなりません。

世の中に貢献できるのですから、業者に委託して、どんどん物件を増やし、どんどんお金を回そうではありませんか。

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著者紹介

石川 貴康
石川 貴康

外資系コンサルティング会社、シンクタンクに勤務し、現在は独立の経営コンサルタント。大手企業の改革支援を今も続ける。対製造業のコンサルタントでは業界第一人者の一人。会計事務所も経ており、経理、資産評価、相続対策にも詳しい。2002年から不動産投資を始め、現在は15棟153室ほか太陽光3箇所、借地8箇所を経営する。著書に『いますぐプライベートカンパニーを作りなさい! 、サラリーマンは自宅を買うな(東洋経済新報社)』『サラリーマン「ダブル収入」実現法 、100円ちゃりんちゃりん投資、(プレジデント社)』など

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