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加藤隆が実際に体験した不動産投資の罠

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団体信用生命保険で気を付けておきたい落とし穴

目次

1982年(23歳)にサラリーマンとなった私は、そのままサラリーマンとして働きながら1986年(28歳)に東京の新築区分所有マンションから不動産経営を始めました。

その後、東京・博多・札幌と区分所有マンションを21戸購入していきましたが、2005年6月(46歳)、博多駅近くに、そして、同9月(47歳)、名古屋駅近くに、土地を購入し、アパートを新築して、一棟物に進出することとなりました。価格は博多が5,400万円、名古屋が6,200万円です。

今回はその時に経験した、団体信用生命保険(団信)についてのお話をします。

誰も教えてくれなかった団信の限度額

これまでの21戸の物件では、すべて団信を付与していました。一棟物でも団信は付与できると聞いていましたから、いつものように付与を確認した上で、その予定で進んでいました。

案件としては名古屋のほうが先に進んでいたのですが、建築許可等諸般の事情で、博多駅のほうが先に進むことになりましたが、それ以外は概ね順調に進んでいると思っていました。

その証拠に、博多駅のほうは、順調に、土地購入、建築と、進んでいました。

ところが、名古屋駅のほうですが、土地購入直前になって、不動産会社から、団信が付かないという連絡が入ってきたのです。なんでも、1個人当たり上限が1億円だということが判明したとのことです。

ノンリコースローンだったので事なきを得る

不動産会社の話では、既に、博多駅で5,400万円の枠を使っている為、残りの枠は4,600万円しかなく、6,200万円の名古屋駅のほうは、団体信用生命保険付与は不可能とのことだそうです。下手をすれば、通常、融資の際、団信が必須の場合もあり、融資自体も不可となりかねません。

不幸中の幸いで、某外資系T銀行のノンリコース(不遡及型)ローンを活用しており、団信は必ずしも必須ではありませんでした。

ノンリコース(不遡及型)ローンとは、欧米では一般的ですが、物件を売却等で手放せば、売却価格が残債に足りなくても、残債は免除されるというものです。その分、貸主のリスクは大きくなるため、金利は上乗せされるのが特徴です。

逆に、日本では一般的なリコース(訴求型)ローンの場合には、売却価格が残債に満たない場合、他から工面してでも支払わなければならないため、借主が破綻するリスクがつきまといます。

ところで、名古屋駅のほうの6,200万円中4,600万円分のみ団信付保(1,600万円分が付保なし)というやり方も提案してみましたが、その場合、T銀行の審査がやり直しとならざるを得ないとのことでした。

そうなると、本件の土地売買・建築のスケジュールに間に合うかどうか分かりません。そもそも、融資承認の保障もありません。今回の名古屋駅近くの新築は、団信の付保はなしでいかざるを得ないと判断しました。その後、不安もありましたが何とか順調に進んで無事に運用できるようになりました。

団信枠で付保がなかった4,600万円分は、次回の別件で活用しようと考えました。

ところが、その後、不動産会社S社・T銀行ノンリコースローンのスキームは、なくなってしまいました。T銀行は、このスキームを辞めてしまったのです。そうなると、あえてT銀行から融資を引く必要もなくなり、その後の案件で付き合う機会もなくなってしまいました。結局、4,600万円の団信枠は使わずじまいで終わってしまったのです。

団信の審査で知っておきたい特徴

団信は一般的な制度ですが、意外と知られていない審査の特徴があったりします。

団信の審査は、通常、告知書といって健康状態に関する質問を答えるだけの書類を提出する義務があります。この告知書で、もし自分の健康状態について不利になるような病気を隠そうとしても、その後の調査で分かってしまうので正直に書くようにしましょう。

ただし、5,000万円以上の団信に加入する場合に、金融機関指定の診療所で、健康診断を受診しなければなりません。
それ自体は特に問題はないのですが、2013年(55歳)の時、JR京都駅近くの一棟マンション購入の際は、診療所を探しているうちに時間が逼迫してしまい、走って行った直後に血圧を測らされ、高い数値が出てビックリしたものです。もしそのまま診断結果に反映していたら、高血圧どころの問題ではなくなっていたかもしれません(笑)。もちろんそんなことにはならず、落ち着いてから測り直させてもらいました。

書類偽造にはくれぐれも関わらないようにしましょう

健康診断書を偽造してしまう悪徳業者もいます。
昨今、某金融機関と、そのお抱えの不動産会社による書類偽造事件が、社会問題にまで発展して騒がれました。

個人属性としての「源泉徴収票」・「預貯金通帳」・「所有株式一覧表」だけでなく、この「健康診断書」も偽造しているとのことです。そして、「レントロール」・「重要事項説明書」・「売買契約書」・「手付金領収書」もです。もう、毒を食らわば皿までということなのでしょう。しかも、この改ざんは借主に知らされることはなく、気が付いたら不利な条件の融資が下りていた、なんて話もかなりあったそうです。

私も、知らないうちに、「重要事項説明書」・「売買契約書」・「手付金領収書」を偽造され、知らぬ存ぜぬで、こちらのせいにされたことがありました。

このように書類の偽造は借主が知らないうちにやっており、後でトラブった場合に、知らぬ存ぜぬで、こちらのせいにしてきます。その時には裁判所では既に不利な立場に立たされてしまっているので、くれぐれも必要な書類には目を通しておいてください。そして何より、こういった金融機関・不動産会社には関わらないように、気を付けて下さい。

ほかにもある団信の落とし穴

ローンにもいろいろありますが、パッケージ型住宅・アパートローンの場合は、通常、団信が付いています。団信が付いていると、死亡・高度障害の際には、残債から免れ、支払ローンがなくなり、家賃がほとんど手残りとなります。しかし、この団信、完済年齢制限が通常80歳程度です。

例えば、私のように60歳であると、いくら新築物件で通常30年間融資が引ける可能性が高くとも、20年分しか融資が引けなくなってしまうのです。

そう、年を取ると、物件の耐用年数より、自分の耐用年数(80マイナス年齢になるでしょうか)の方が引っかかってくるのです。

このパッケージ型住宅・アパートローンの場合は、通常、年齢制限のみならず、借入総額制限もあります。金融機関によって違いますが、「1億円の壁」・「3億円の壁」・「5億円の壁」・「10億円の壁」等とも言われています。

通常、団信には補償制限があるため、1億円以上のローンで団信に入ることはできないため、融資自体が難しくなるのですが、金融機関によっては3億円以上のスキームを用意してくれる場合もあります。ただし、なまじ高額な団信があると、相続時に残債・負債がなくなり、逆に、資産のみ残ることで、莫大な相続税を取られかねません。

そこで、高齢で、借入総額が多額になってくると、事業用プロパーローンの活用を考えるのも一つの方法です。プロパーローンとは、事業用に引く融資のことで、借主の属性だけでなく、計画性などが厳しく審査されます。また、金利も高めになりがちです。しかし、上記のような属性になると、団信を付けられても借入期間が短くなったり、金利が高くなったりと、条件が悪くなりますので、プロパーローンのほうがやりやすいと感じることも多いのです。私も、2016年(58歳)から、団信ばかりでなくこのプロパーローンも活用しています。

また、敢えて、団信を付けずに融資を引くこともあります。その代り、キャッシュフローをかなり厚めにし、資産を積み上げていきます。補償がないことがどうしても心配であれば、他の物件で団信が付いているものも組み合わせる、一般の生命保険も活用するという手もあります。いろいろなスキームで自分のポートフォリオを築いていくのもいいでしょう。

今回は、生命保険(団信)についてお話しましたが、次回は、損害保険について、トラブル事例等、御紹介させて頂きます。

著者紹介

加藤 隆
加藤 隆

サラリーマンのままで、経済的・時間的・精神的自由を目標に、預貯金・外国為替・貴金属・株等の資産運用を経て、不動産経営歴31年。数々の失敗・バブル崩壊を生き抜き、リスク分散をモットーに、東京・博多・札幌・名古屋・京都・小樽・千葉に、区分所有マンション・一棟物アパート・一棟物マンション・戸建等、物件108戸を運営。総資産7億円・借入金5億円・自己資本2億円、年間家賃収入47百万円・借入金返済31百万円・キャッシュフロー16百万円。節税で、所得税・住民税ゼロ。

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