不動産投資の最新動向
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2020年9月29日(火)
新型コロナウイルスがアメリカ不動産に与えた影響とは
新型コロナウイルスは日本のみならず、全世界にその影響を及ぼしています。特にアメリカは感染者数が657万人(9月15日時点)と、全世界2920万人の4分の1近くを占めています(各国の政府発表より)。
そうなると、不動産投資家として当然気になるのは、不動産市場への影響です。日本人でも投資している人の多いアメリカ不動産について、最新の動向を見てみましょう。
意外に安定?
2008年のリーマンショックの際、爆心地であったアメリカの不動産市場は暴落しました。
これは、投資商品として値上がりすることを前提に、本来ローン返済能力がない人にも多額のローンを貸し付けていたことが原因で、バブルの崩壊によって家を追われる人が多発。彼らのローンに絡む投資商品に関わっていた会社も壊滅的な打撃を受けました。
ではコロナショックはどうかというと、経済的な影響はリーマンショック以上と言われていながら、足元の不動産市場にはそこまでインパクトは出ていません。
住宅価格の目立った下落は起きておらず、困窮した人が物件を安値で手放すケースも生じていないようです。
その背景には、旺盛な住宅需要の割に物件の供給が不足気味ということがあります。
コロナショックによって物件の売り出しが落ち込んでいる一方で、ニューヨークやカリフォルニアといった人気の地域を中心に申し込みは依然として多いようです。
また、リーマンショックの教訓から、現在のアメリカ人は持ち家の自己所有率が高く、抵当権が設定されていないパターンが多いです。
たとえ新型コロナウイルスによって収入が激減しても、物件差し押さえで家を手放さなければいけない状況にはなっていないと見られます。
強制退去の手続きが再開
そんな中、テキサス州では5月、ジョージア州では6月に、裁判所による強制退去の審理が再開されました。
日本においては国土交通省が「不動産オーナーには寛大な処置を」と求め、家賃滞納を救済するための各種助成金が給付されるようになっています。
アメリカにおいても同様に、失業などによる家賃滞納を鑑みて、強制退去の審理を止める対応が取られていました。
アメリカの賃貸借契約は、借主を手厚く保護する日本のそれと違って、オーナーの権利が守られるものになっているのが一般的です。
日本では強制退去が認められるために数ヶ月から半年程度の家賃滞納が必要ですが、アメリカはずっと強制退去の基準が緩くなっています。
強制退去は裁判所の決が必要ですが、審理を待たずとも、家賃滞納があれば借主に立ち退き要求を出すことが認められています。
では、そんなアメリカで強制退去の審理が再開されたことで、失業者の強制退去が多発しているか……というと、そんなことはないようです。
大きな理由は失業給付がかなり手厚くなっていることで、現状、アメリカ人の家賃滞納が多発しているという情報は入っていません。
ただ、近々大規模な強制退去が行われるかもしれない、という報道は一部で出ているようです。今後の動向が注目されます。
郊外物件に売りが先行か
「新しい生活様式」「ニューノーマル」といったキーワードが日本でも注目されていますが、アメリカにおいても生活に対する考え方が変わってきています。
住まいの郊外志向が急激に進んでいるのです。
もともとアメリカ人は、収入が多い人でも皆が超都心のマンション暮らしを好むわけではありません。成功した人は広々とした豪邸を求め、戸建て住宅が人気です。
したがってニューヨークやカリフォルニアの郊外にある豪華な戸建て住宅は、以前から人気の高い物件でした。
新型コロナウイルスの蔓延によって、こうした郊外物件はますます人気が高まっており、内見せずに即決しないといけないケースも出ているようです。
大きな理由は、心理的な不安。特に高齢者を抱える家庭や妊娠中の女性などは、一刻も早く都心を脱出して郊外に行きたい、というトレンドが急加速しているようです。
築年数が経過してリノベーションが必要な物件でもお構いなしで、オーナーがここぞとばかりに賃料や売価を釣り上げているという情報も入っています。
日本でも新型コロナウイルスによる郊外志向は一部で報じられていますが、アメリカの郊外志向はよりダイナミックなトレンドになっているようです。
暴落の懸念はなしか
経済ショックというと、つい金融市場の暴落と直結して考えてしまいますが、現状のコロナショックにおいてはアメリカ不動産市場への大きな悪影響は出ていないようです。
既にアメリカの物件を保有している投資家も、しばらくは静観してみていいかもしれません。
ただ、刻一刻と状況が変化する中で情報を集め、注視することは必要です。
暴落の兆候が出たらすぐに物件を手放せる準備はしておいたほうがいいでしょう。
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著者紹介
不動産投資塾編集部不動産投資塾編集部
投資への関心が高まる中で、高い安定性から注目を集める不動産投資。しかし不動産業界の現状は残念ながら不透明な部分が多く、様々な場面で個人投資家様の判断と見極めを要します。一人ひとりの個人投資家様が正しい知識を身に付け、今後起こり得るトラブルに対応していくことが肝要です。私たち一般社団法人首都圏小規模住宅協会は、投資用不動産業界の健全化を目指す活動の一環として本サイト「不動産投資塾新聞社」を介し、公平な情報をお送りいたします。