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石川貴康の超合理的不動産投資術

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金融機関との上手な付き合い方と絶対にやってはいけないこと

目次

さて、第2回目の「管理会社を間違えないために押さえておくべき6つのポイント」に続いて、今回は「金融機関との付き合い方」です。継続投資には、融資を受けることが必須です。融資をしてくれるのは、もちろん金融機関です。金融機関あっての不動産投資と考えて、金融機関をパートナーとしてお付き合いをしなければなりません。しかし、最初に金融機関と付き合うと言っても敷居が高いものです。どのように付き合っていくのか、述べてみます。

金融機関は保守的な組織なのでトリッキーな付き合いを避ける

私が持つ15棟はすべて金融機関からの融資を受けて購入しています。1年に1棟は購入するという私の目標のためには、金融機関の存在が欠かせません。

金融機関はとても保守的な組織です。不動産投資の融資を受けるにしても、とても厳密に評価されます。投資対象の不動産評価はとても保守的に行いますし、投資家自身の属性も厳密に評価されます。

1回目のコラム「最初の物件で失敗しないことが不動産投資成功の鉄則」でも書いたように、かなりリスクを考慮した担保評価をします。人物の属性も厳密に検証します。金融資産もチェックされますし、不動産等の資産、借金、年収などのチェックも厳密です。

一時期、不動産を一気に増やすためにトリッキーな手法が使われました。ひとつは金融資産を膨らませて見せる手法です。銀行預金通帳を複数作って、預金を移しながら、残高が高いコピーを提出して、さも、金融資産があるように見せるトリックのような手法です。このような手法は人を騙すに等しい手法です。ばれたら、一切信用をなくし、継続融資はなくなります。詐欺的行為ですから絶対にやめましょう。

また、同時に購入を進める不動産を隠したり、法人化して購入した不動産や借入金を非開示にしたりして融資を申し込み、借り入れる手法も悪用されました。要は、資産と負債を隠して、金融機関に正しい評価をさせないという手法です。こちらは、金融機関側も回避策を持っていますので、こうした手法での投資は信用を失います。

「巻直し」といって不動産業者と組んで、売買契約金額を膨らませて多めの融資を受け、あとで契約書の金額を減額する行為もありました。よほど正当な理由がない限り、こうした行為は詐取にも等しいトリッキーな行為ですから、厳禁です。

金融機関への「飛び込み」の融資相談はムダ撃ちになる可能性大

「金融資産を膨らませて見せる」、「重要な情報の非開示」、「まき直し」などは融資申し込みができてからのトリッキーな行為です。厳に慎まなければなりません。一方、融資申し込み前の段階でも、金融機関にとっては詐欺的な行為ではないものの、融資を出したくなくなる行為があります。

それは、金融機関を開拓しようと金融機関窓口に「融資担当を紹介して欲しい」と飛び込み営業をかけることです。

金融機関はなによりも信用を重視します。信用の要件のひとつは計画性です。飛び込み客はよほどあせっているか、計画性がないと判断されます。しかも、店舗窓口はそもそも優良客の通過すべきゲートではないのです。

金融機関は「紹介」から付き合いを始めるべし

では、金融機関の信用を最初から得るにはどうすればいいのか、というと、「紹介」です。既にその金融機関を使っている大口の顧客からの紹介であれば、無碍にはできませんし、そもそも優良顧客の紹介は信用できるとなるわけです。

したがって、大口顧客が不動産業者ということも当然あります。不動産業者も融資を受けてビジネスをしているわけですから、その紹介でも問題ないわけです。

私は、ほぼすべての融資申し込みを不動産業者の紹介から始めています。紹介であれば門前払いもありません。きちんと評価してくれます。紹介であれば、金融機関も前向きな姿勢になりますから、話も早いのです。

実は、かくいう私も、最初は金融機関に飛び込みをしていました。しかし、やはり「一見の客」には対応してくれませんでした。ムダ撃ちが多いので、結局いまはやめました。

それに、紹介で一度融資を受けることができれば、その後きちんと信用を積み上げることで、同一金融機関で次から次へと融資が受けられるのです。
信用はレバレッジです。まず、紹介者の信用をレバレッジにして付き合いを始め、後は自分の信用を積み上げていくことが、金融機関との付き合いのポイントです。

とはいえ、政策金融公庫へのアプローチは別物

 民間金融機関とは別に、政府系金融機関である政策金融公庫を使うメリットもあります。審査が民間ほど厳しくなく、一度実績を作るとその後の融資がスピーディーになります。デメリットは、さほど大きな金額を貸してはくれず、融資期間が短く、かつ、自己資金を民間より多めに入れなければならない点でしょう。しかし、融資を受けるという点では、良い金融機関です。

政府系の金融機関である政策金融公庫への最初のアプローチは民間の金融機関と違います。あくまで、融資申込者が直接窓口に行き、相談を開始します。門前払いはありませんが、民間の金融機関同様の物件の担保評価、借主の信用力のチェックを行ったうえで融資をしてくれます。
 
政策金融公庫は、その後きちんと返済を重ねると信用評価が高まります。政府系金融機関のため、民間のような支店長や担当との関係性で融資の難易度が変わることはそう大きくないので、これから書くような民間の金融機関との付き合いをそのまま実行する必要はないでしょう(もちろん、やって悪いことはありませんが、どれほど意味があるのかわかりません)。

私も数件借りていましたが、1件を除き返済が終わりました。それでも、時々新規購入検討時には相談に行くことがあります。

信用を積み上げるための金融機関とのお付き合いの方法:融資時

まず、最初の融資申し込み時には、一切のウソ、ごまかしをせず、すべての資産・負債状況と収入を明らかにすべきです。金融機関はウソを嫌います。正直に資産・負債内容や収入を明らかにします。書類提出を求められたら、漏れなく、期日を守って提出します。

その上で、担当者や支店が融資を通しやすいストーリーに沿って、対応をします。たとえば、固定金利、変動金利で時期によって融資のし易さに違いがあるときがあります。できれば自分の希望を通したいところですが、難航して買い逃しになったりすると困りますから、妥協も必要です。

金融機関が融資の見返りの条件に出したらアウトですが、私自ら申し出て定期積金や定期預金をするようにしています。最近は必ず家賃収入から一定額を定期積金に回すようにしているのです。修繕のための準備金と言う名目です。大家としても修繕費を積み立てるのは安心ですし、金融機関にとっても安心です。

このように、金融機関には正直にすべてを開示し、かつ、最初の融資時にも信用を積み上げることに注意を払います。

一度融資を受けたからと言って、金融機関との付き合いはそれで終わりになるわけではありません。返済期間中、ずっとお付き合いをすることになります。継続融資をお願いすることも多々出てきます。最初の融資後、金融機関に対し、信用を積み上げていくことが重要です。金融機関が評価する信用の積み上げ方をしていくことが大切です。

信用を積み上げるための金融機関とのお付き合いの方法:融資後・返済中

融資後は、確定申告や会社の決算が終わったら必ずタイムリーに確定申告書や決算書を届けることです。賃貸の状況や業績は最も知りたいところです。必ず、提供しましょう。

また、私の場合は、近くに行ったら定期的に融資窓口に顔を出すことにしています。確定申告書や決算書を手持ちで持っていくこともありますし、本を出したり、雑誌に寄稿したり、取材を受けた記事が公開になれば、そうしたものを持っていくこともあります。

定期的に会いながら、お互いのことを知れば、信用度も上がり、次の融資もスムーズです。いろいろ相談もできますし、先方から相談を受けることもあります。

信用を積み上げるためにすべきことは、都銀、地銀、信金・信組、ノンバンクでも同じです。金融機関の求めに応じ、信用を高めるために必要とされることは積極的に行って、末永い付き合いにしたいものです。

金融機関は不動産投資のパートナー

もちろん、金融機関も定期異動があります。担当が変われば、付き合いにくくなることもありますし、融資をしたがらない担当もいます。また、支店長次第で融資姿勢ががらりと変わることもあります。それでも、引き継いだ担当や新しい支店長には必ず挨拶にいき、会って人となりを知ってもらう努力はすべきです。

あまり付き合いの良くない人が担当になっても、また、次の人が来ます。要は相性のいい人から、また融資を受ければいいのであって、継続的に関係性をつなぎながら、良い人が回ってくるのを待つことも大事です。

金融機関も組織ですから、組織の論理で動く上に、人によって姿勢のブレが出るのは仕方がないことです。そうしたことは織り込み済みで、地道に金融機関とは付き合って、お互い良きパートナーとなって行きましょう。

継続的に付き合えば、その記録も残っていきます。今では「融資をしたいので、良い案件があったら、当行で融資をお願いしたい」という営業を良くます。きちんと返済し、金融機関が求める書類をタイムリーに提出し、定期的に訪問しているからでしょう。

金融機関も人が営む営利組織ですから、収益をあげなければなりません。彼らの収益は融資をすることから生まれるのです。我々が良い顧客になって金融機関の収益を高めることに協力すれば、上顧客に扱われます。一方、融資が受けやすくなれば、投資をするときに我々が助かるわけです。

金融機関と投資家は、お互いが、お互いのビジネスパートナーなのです。末永く付き合い、お互いが栄えるように、努力をしていくことが重要です。

著者紹介

石川 貴康
石川 貴康

外資系コンサルティング会社、シンクタンクに勤務し、現在は独立の経営コンサルタント。大手企業の改革支援を今も続ける。対製造業のコンサルタントでは業界第一人者の一人。会計事務所も経ており、経理、資産評価、相続対策にも詳しい。2002年から不動産投資を始め、現在は15棟153室ほか太陽光3箇所、借地8箇所を経営する。著書に『いますぐプライベートカンパニーを作りなさい! 、サラリーマンは自宅を買うな(東洋経済新報社)』『サラリーマン「ダブル収入」実現法 、100円ちゃりんちゃりん投資、(プレジデント社)』など

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