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下げるべき? 入居者から家賃交渉があった場合の対応方法

目次

コロナショックのさなか、入居者から家賃の減額を要望されているオーナーが増えています。緊急対応として認めるべきか?つっぱねて契約どおりの家賃を要求すべきか?悩みどころの家賃減額について解説しましょう。

軽い気持ちで下げてはいけない

家賃の減額を入居者から申し込まれたとき、「月1万円くらいだったらまあいいか」と軽い気持ちで減額を決めてしまうオーナーもいます。

ただ、家賃減額にはくれぐれも慎重にならなければいけません。まず、当然のことながら減額する家賃は、その入居者が退去するまでずっと減額されたまま。つまりオーナーとしては「月いくら減る」と考えるよりも、「その入居者が退去するまででいくら減るか」ということを計算しなければいけないのです。

賃貸物件の入居者が同じ部屋に住み続けるのは単身用で2〜4年程度、ファミリータイプならそれ以上に長くなります。例えば単身用の物件に入居して1年経った入居者が1万円の家賃の減額を申し出てきて、その後3年で退去したとすると、それだけで36万円も収入が減少することになるのです。もちろん、更新料も減ることになります。

減額に応じる際はきちんと書面を交わす

ただ、コロナショックという明白な原因のある状況では、契約どおりの支払いを要求しても結局は家賃滞納を招いてしまうリスクもあります。

オーナーが入居者を信頼できると判断して家賃減額に応じる場合でも、必ず期限つきの処置として書面を取り交わすようにしましょう。「新型コロナウイルスが収入に影響する範囲においてのみ減額し、○年○月からは賃貸契約どおりの家賃を支払う」といった具合です。

入居者の側は、オーナーは富裕層だからちょっとくらい家賃が減っても問題ないだろう、と勝手に解釈してたかを括ってしまいがちです。

あくまでも契約どおりの家賃を払うのが入居者の義務であるというスタンスは崩さず、緊張感を持って対応するようにしてください。

家賃減額はもちろん収入が減少することも重要ですが、怖いのは一度下げた家賃は簡単には再度上げられないことです。

しっかりと取り決めをしておかないと、後になってから再度オーナーから「家賃を元に戻してほしい」と要求したとしても入居者優位の交渉になってしまいます。

基本的に、契約した後になってオーナーが入居者に切れる交渉カードは立ち退きしかありません。滞納が続く場合と違い、下げた家賃を上げてくれないからといって立ち退きの訴訟で裁判所に認めてもらうことは難しいでしょう。

また、コロナショックに伴う国の支援策として、テナントの家賃減額分を損金として処理できることが発表されています。もし減額に対応する場合は、制度を確認して必ず損金として処理するようにしてください。

まずは家賃を払う方法を入居者と考えよう

ただ、そもそもなぜ減額したら家賃を払えるのか?と疑う視点は持っておきましょう。収入が激減してまったく家賃を支払えないのならともかく、少し減額すれば大丈夫というのは、入居者が家賃を支払うためにすべき努力を怠っている可能性もあります。

家賃滞納によって家賃保証会社の取り立てが入ると、あっさり入居者の親などが自主的に立て替えに応じてくれることがよくあります。

また、今般のコロナショックにおいても住宅確保給付金の条件が緩和され、通常3ヶ月、最長9ヶ月分の家賃の給付を受けられます。他にも緊急小口資金や総合支援資金など無利子の貸し付けもあり、当座を凌ぐための支援策は国や自治体から様々に発表されているのです。

家賃の減額を申し入れられたら、まずは入居者ができることをすべてやった上での要望なのかを話し合わなければなりません。国のコロナショック支援策を教えてあげてもいいでしょう。

家賃の支払いは優先順位が低いとみなして軽い気持ちで減額を申し入れているのであれば、断固として認めてはいけません。

なお、コロナショックに伴う国や自治体の支援策については、以下の記事を参照してください。

【無利子・無担保融資】コロナ渦での不動産経営支援案10

安易な同情は禁物

国はコロナショックに伴って不動産オーナーに、テナントに対する「柔軟な処置」を呼びかけています。あなた自身、コロナショックの影響を受けた入居者に対して同情してしまうこともあるでしょう。

しかし、不動産経営は事業であり、オーナーも家賃収入に基づいて生活を設計しています。ビジネスとして心を鬼にして、家賃減額は納得できる事情がなければ認めない、減額するとしてもその後の取り決めを書面に残す、という対応をとってください。

つい同情して温情を示し、一時は入居者に感謝されたとしても、その後困るのは入居者ではなくオーナーであるあなただということを心得ましょう。

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著者紹介

不動産投資塾編集部
不動産投資塾編集部

投資への関心が高まる中で、高い安定性から注目を集める不動産投資。しかし不動産業界の現状は残念ながら不透明な部分が多く、様々な場面で個人投資家様の判断と見極めを要します。一人ひとりの個人投資家様が正しい知識を身に付け、今後起こり得るトラブルに対応していくことが肝要です。私たち一般社団法人首都圏小規模住宅協会は、投資用不動産業界の健全化を目指す活動の一環として本サイト「不動産投資塾新聞社」を介し、公平な情報をお送りいたします。

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