不動産投資の最新動向
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2020年12月28日(月)
任意売却専門をうたう業者にご用心! 売却成功の秘訣とは
「任意売却」とは、不動産のローンを滞納してしまった際に、競売になる前に売却する手法です。
しかし、任意売却を考えるとき、安易に「任意売却が得意」とうたう業者を信頼しないよう、気をつけてください。
本記事では、任意売却の際の業者選びで注意すべきポイントと、任意売却成功の秘訣について解説します。
任意売却の特徴とメリット
任意売却は、競売よりも売り手側に多くのお金が残る可能性があり、売却後に残債が残った場合、返済スケジュールを金融機関に相談しやすくなります。
「通常売却」と「任意売却」の違いとは
任意売却は、通常の不動産売却とはプロセスが異なります。
【通常の売却】
①不動産会社に物件査定を依頼する
↓
②査定価格が決定後、不動産を売りに出す
↓
③買い手が決まったら売買契約を締結する
【任意売却】
①不動産会社に相談する
↓
②債権者(融資した金融機関)を交えて売却価格を協議する
↓
③売却価格が決まったら不動産を売り出す
↓
④買い手が決まったら売買契約を締結する
特に投資用物件の場合、少しローンを滞納しただけですぐに物件を差し押さえられてしまいます。
居住している不動産と違って、物件を取られても持ち主の生活にすぐさま影響するわけではないからです。
そんなときは、突然金融機関から差し押さえを進める通知が届くわけですが、この場合、任意売却は有効な解決策になりえます。
任意売却は、対応できる不動産会社が限られる
任意売却に取り組む不動産会社には、金融機関と債権について協議し、調整するスキルが求められます。
実績のない不動産会社には、そのようなスキルはなかなかありません。
一般的な不動産会社の担当者は、金融機関の対応といっても、物件購入時の審査出しくらいしか経験しないからです。
通常、ローン滞納時の金融機関対応は、オーナーが行なうものです。任意売却に際して、金融機関に最大額の返済がされるような価格を設定し、スムーズに売却することは、通常物件の売買しか担当したことのない業者には、非常に困難です。
「任意売却が得意」とうたう業者にご用心
任意売却の対応は、実績豊富な業者でなければ難しいため、スキルのある業者は、ウェブサイトなどで「任意売却が得意」と大きくアピールしています。
ただし、この「任意売却が得意」という文句が、くせものです。
「任意売却が得意」と自称する業者に頼んでも、次のような理由で、結果的に物件の売主が損してしまうケースもあります。
業者の利幅が大きすぎる
任意売却の対応は、不動産取引の中でも特殊技能であり、なによりもローン滞納をしている売り主にとっては、残された時間がありません。
逆に業者の側から見れば、混乱に乗じて大きな利益を乗せて成約させるチャンス。
結果的に、業者の取る利益が大きすぎ、売却後のローン残債を最小限にしたいという売り主の希望が満たされなくなってしまうケースがあるのです。
大手に頼んで未熟な担当者に対応されると……
任意売却にあたっては「任意売却の実績豊富!」と喧伝する大手業者に依頼するかたも多いでしょう。
しかし、大手の場合は、会社として任意売却を取り扱った実績が豊富だとしても、対応する担当者の実績が豊富だとは限りません。
なかには、入社して数年の新人に任意売却案件を押し付ける会社もあるようです。そうなれば失敗は必至です。
フランチャイズの場合は、本社と支店が別会社で、本社の実績とフランチャイズ支店の実績はまったく別物です。
実際に対応してくれる担当会社、担当者が任意売却を取り扱った経験があるのかを、必ず依頼前に確認しましょう。
成約させられない
不動産取引において、絶対に成功するということはありえません。任意売却によって物件を売り出すも、成約させられなかった……という末路を辿れば、待っている状況は悲惨です。
ローン滞納が発生してすぐの段階であれば、任意売却や競売以外の法的整理手法をとることができたようなケースでも、いったん任意売却の手続きを進めてしまってから成立せずにタイムリミットを迎えてしまえば、あとの祭り。
残された手段は競売だけで、最悪の場合は競売後に自己破産を余儀なくされることもあります。
任意売却を成功させられる業者の条件
それでは、任意売却を成功させるために良い業者を見極めるには、どのようなポイントが重要なのでしょうか。
具体的には、下記の3つのポイントが挙げられます。
①金融機関から信頼されている
任意売却は、債権者(金融機関)との交渉が重要になるので、債権者から信頼されていることが必須です。
任意売却を依頼する業者の担当者には、金融機関とどのようなコネクションがあるのか、それをふまえてどのように任意売却を成功させてきたのか、具体的にヒアリングしましょう。
②債務の処理について具体的なプランを立てられる
任意売却は、物件を売ったら終わりではありません。債務の処理と売却後の生活について一緒に考え、論理的な解決策を提案してくれる業者を選ぶべきです。
とにかく任意売却を急かしてきて、競売に比べた債務の減額幅の想定や、売却後の生活設計について一切触れてこない業者は、要注意です。
③弁護士や司法書士とのネットワークが豊富
任意売却では、債務の処理について法曹の専門家に間に入ってもらうことが不可欠です。
業者に対して任意売却に強い法曹とのネットワークを問い、提携する弁護士、士業の先生の得意分野や過去の実績などを的確に答えられる業者を選びましょう。
「提携しているのは一人だけ」といった返答であれば、気をつけたほうがいいでしょう。
業者が扱う案件数がそもそも少ないのかもしれず、顧客欲しさに「任意売却に強い」とハッタリをかましているだけの可能性があります。
「マンション系に強い」「借地の任意売却経験が豊富」など、強みの異なる3、4人程度の法曹と提携している会社であれば、信頼できる可能性が高まります。
任意売却が常にベストとは限らない
ローン滞納時の解決手段である任意売却は、競売に比べてメリットが高いように見えます。
しかし、必ずしも、任意売却が最善の債務整理手法とは限りません。
そもそも物件を売却しなくても、返済のリスケジュールや他の資産の整理などで、処理できる可能性もあるからです。
ローンを滞納してから慌てて任意売却について調べ、任意売却一択の選択肢で話を進めるのではなく、法曹のプロに相談しながら、ベストな解決策を模索しましょう。
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著者紹介
不動産投資塾編集部不動産投資塾編集部
投資への関心が高まる中で、高い安定性から注目を集める不動産投資。しかし不動産業界の現状は残念ながら不透明な部分が多く、様々な場面で個人投資家様の判断と見極めを要します。一人ひとりの個人投資家様が正しい知識を身に付け、今後起こり得るトラブルに対応していくことが肝要です。私たち一般社団法人首都圏小規模住宅協会は、投資用不動産業界の健全化を目指す活動の一環として本サイト「不動産投資塾新聞社」を介し、公平な情報をお送りいたします。