加藤隆が実際に体験した不動産投資の罠
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2018年10月22日(月)
私が出会った「モンスター借主」と「エンジェル借主」
私は不動産経営を32年間、108室行っていますが、その中で多くの借主と出会ってきました。私が遭遇したユニークな借主とユニークな体験についていくつかご紹介します。
モンスター借主の場合①水漏れトラブルの借主がホテル暮らしをはじめて宿泊費を請求してきた
築古マンションになると、劣化による水漏れトラブルはつきもの。特に寒い地域では、凍結による水道管の破裂などが原因で水漏れが発生し易くなります。
札幌での築古区分所有マンションでのこと。浴室の近辺で水漏れが発生し、入居者が風呂に入れなくなったという報告が入りました。管理会社からは風呂の取替え工事を提案されたのですが、その費用は100万円以上と高額。
気軽に言ってくれますが、100万円もあれば、札幌では築古区分所有マンションが買えてしまいます。
何とか費用を安く抑えられる業者を探していたのですが、なかなか見つからず時間がかかってしまいました。その間に入居者は、はじめは銭湯を利用していたのですが、その後連絡もなくホテル住まいを始め、なんとそのホテル代を請求してきたのです。さらに引越しをすることを決めたので、引っ越し代と新居の敷金、礼金、ついでに前払家賃も払ってほしいと要求してきました。
引き止めようとしましたが結局退去となってしまい、退去費用数十万円を負担することとなりました。さらに修理費40万円の負担もかかりました。挙句に、その後その部屋は長期の空室。
北海道で不動産投資をやることは、ボランティアと同じなのだなと、つくづく思いました。
モンスター借主の場合②ゴキブリをみたことがない北海道の人たち
北の最果ての地北海道では、気候が理由でいままでゴキちゃん(ゴキブリ)はいなかったそうです。ところが暖冬のせいか、札幌のマンションで、ゴキちゃんが出没し始めたとのこと。借主からゴキちゃんを「なんとかしてほしい。そうでなければ退去する」とクレームが入るようになったのです。
ゴキちゃんというものは、部屋ごとに対処しても、よその部屋にも生息しているため、建物全体で対応しなければいけません。しかしマンションの管理組合がどういうわけか内部紛争中で、互いに誹謗中傷の手紙を配布しあっているほど。ゴキちゃんどころではありません。とりあえず、キッチン等をきれいにすること、ゴキブリ捕獲機や駆除薬の煙によってゴキブリを駆除する某商品を教えてあげることしかできませんでした。
私の出身地である広島では、ゴキちゃんは日常茶飯事。キッチンではどこかの戸を開いた途端に、ゴキちゃん達が大騒ぎで右往左往。逃げ遅れたゴキちゃんを踏んで歩くこともありました。そんな出身地でのエピソードを聞かせ、ゴキちゃんは北海道以外では日常のことで珍しくないんだということを入居者にわかってもらい、何とか退去を思いとどまってもらいました。
エンジェル借主の場合①モンスターばかりじゃない!不動産経営を助けてくれる天使のような借主
変わった借主は多いのですが、もちろん迷惑ばかりのモンスターな人ばかりではありません。大家にとってとてもありがたい借主の方を、私はモンスター借主の反対で“エンジェル借主”と呼んでいます。
以前、小樽駅近くの2世帯用戸建て(メゾネットタイプ)を借りていただいていたご夫婦は、ご主人がお医者様でクリニックを、奥様が保健所出身でデイサービスをおこなっていました。「高齢者対策として、バリアフリーや手すり付けをしたいのですがいいでしょうか? 必要であれば退去時には原状に戻します」という申し出があり、喜んで了承させていただきました。
戸建ての場合は、入居者の方が専用で使われるため、ご自身で所有している家といった感覚に近いようで、清掃・修理・リノベーション(所有者了承の上で)をして下さる場合が多いです。私としてもバリューアップになるため助かります。このようなエンジェル借主も、なかにはいるのです。
エンジェル借主の場合②借主との理想的な関係があれば、意見はクレームではなくアドバイスに受け止められる
千葉駅近くの一棟アパートでは、古くからの入居者の方に、主(ぬし)のごとく住んでもらっています。この方とは長い付き合いのため、気兼ねなくコミュニケーションをとることができていて「どこどこが壊れているから早めに直しておいた方がいいですよ」とか「浄化槽が臭いますよ」などと早めにアドバイスして頂き、助かっています。
この方の場合、“クレーム”というよりは“アドバイス”として、受け止められるのです。アドバイスを受けて、私は即座に対応します。そのおかげで物件の価値が知らずに落ちる、ということを防ぐことができるのです。
他にも、自発的にアパートの周りの掃除をしてくださるので、何かと助かっています。個人的に、借主との理想的な関係なのだと思っています。
以上、モンスター借主やエンジェル借主といった、印象深い借主との体験談を紹介いたしました。私は失敗することもありましたが、皆さんはユニーク借主と出会っても、取り乱さずに上手に対処してくださいね。
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著者紹介
加藤 隆加藤 隆
サラリーマンのままで、経済的・時間的・精神的自由を目標に、預貯金・外国為替・貴金属・株等の資産運用を経て、不動産経営歴31年。数々の失敗・バブル崩壊を生き抜き、リスク分散をモットーに、東京・博多・札幌・名古屋・京都・小樽・千葉に、区分所有マンション・一棟物アパート・一棟物マンション・戸建等、物件108戸を運営。総資産7億円・借入5億円・自己資本2億円、年間家賃収入4,100百万円・借入金返済3,100万円・キャッシュフロー1,600万円。節税で、所得税・住民税ゼロ。