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特別連載『融資地獄 』

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第11回 さらなる返済地獄に落ちないよう、熟練弁護士に適切な判断を求めよう

目次

スルガ銀行、レオパレス21……。名だたる企業が今ニュースに登場し、惨憺たる不動産業界の現状が露呈しています。しかし、これらは不動産業界において公表されていなかった氷山の一角に過ぎません。本連載では、全ての不動産投資家がこれらを対岸の火事として受け止めず、自らが融資地獄への一途を辿らぬよう、事件の発端を振り返りながら、万が一の際の救済方法を伝授します。

※本連載は2019年4月、幻冬舎より発売予定の書籍『融資地獄「かぼちゃの馬車事件」に学ぶ不動産投資ローンの罠と救済策 』の内容を一部抜粋・改編したものです

一刻も早く融資地獄を抜け出すには、経験のある弁護士へ相談を

融資地獄にハマってしまったら、一刻も早く抜け出すための行動を起こさなくてはいけません。相談先は経験あるプロの弁護士。この一択です。

そもそも弁護士法で定められているとおり、弁護士以外は法に関わる相談にのることはできません。弁護士以外がそうしたことをすると「非弁行為」として処罰対象となります。

ネット上で「任意整理のプロ」「再生請負人」など、さまざまなキャッチコピーを謳っている「自称専門家」が散見されますが、実態は他士業やコンサルタント、ファイナンシャルプランナーなどが、うまく広告を活用して、顧客誘引をしているケースも珍しくありません。
本当に弁護士かどうかは直接聞いて確認する必要があるでしょう。

騙すつもりの人間は言語道断ですが、騙すつもりはなくても無知・無自覚によって依頼者に迷惑をかける場合の被害は大きいものです。頼む側も人生の大事を委ねる相手がどういう素性か、注意深く観察することが必要です。

実際、非弁行為で逮捕される人もいます。司法書士も一定の範囲(140万円以下の事件)では、弁護士同様の法律事件を扱えますが、サラリーマン大家さんの事件はこの規模では収まらないので、ほとんどが非弁行為に該当すると思われます。

知っておきたい弁護士の探し方・選び方

弁護士は国家資格として統一的能力は担保されているものの、基本的には独立自営業者であり、経験もスキルもそれぞれです。

さらに言えば、個性豊かで多士済々です。人によって相性は異なりますので、相性がよく、できるだけ親身になって耳を傾けてくれる弁護士がいいでしょう。

できれば優秀かつ誠実で経験があり、コミュニケーション能力に長けた弁護士へ依頼するのが一番です。
優秀な弁護士というのは情報の取捨選択や、正しい解釈も含めた状況認知・状況解釈を含めて支援してくれるものです。

また、弁護士を選ぶとき「経験年数」は一つの基準になります。もちろん若い人であっても熱心な弁護士もいるので、一概に「若い人は避けるべき」というわけではありません。

ただ、経験と場数の豊富さは、実際の事件を行う場合の引き出しの多さや、うまくいかない場合のゲームチェンジ能力と直結します。事件の経済的サイズが大きい場合や、複雑な処理を前提とする場合、弁護士選択上のポイントになりえます。

加えてホームページで「しっかり経歴を載せているか」どうかも確認しましょう。信頼できる弁護士ほど、日本弁護士会などの「委員会活動」をしているものです。
本業だけでなく、公益に関わる仕事をしているということは、お金儲けを最優先にするわけではない、公職としてのプライドを持った弁護士という判断もできます。

弁護士会としても委員会の委員として選任する以上、「変なことをしていないか」「問題を起こしそうな人物ではないか」という「身体検査」をしますから、信頼性の判断に使えます。

また、著書を出版しているかどうかも重要なポイントです。インターネットの情報は誰でも書けますが、知識を体系化してまとめた著書を出すとなれば、研究もさることながら、一定の経験がないと責任ある執筆はできないため、信頼性や経験判断の一助になります。

相談のタイミングは、早ければ早いほど効果がある

弁護士の選定のほか、相談するタイミングも重要です。ここで絶対的に言えることは、「弁護士に依頼するタイミングは早ければ早いほうがいい」ということです。

人間には楽観バイアスや正常性バイアスという、認知や解釈の歪み(端的に言えば脳をバカにする働き)があります。

どう考えても、もうローンは払いきれないのにも関わらず、「きっと、なんとかなる」と無理やり自分を納得させてしまうのです。

この種のバイアスを克服するためには、「不安に感じる」ことが大切です。破産に関していうと、「人生において何度も破産したことのある、黒帯級の破産前歴のある百戦錬磨の破産経験のプロ」という人はまずいません。要するに、何もかもが初めてで、意味がわからず訳が分からない世界なわけです。

何も分からない状況で自分の常識で考えたら、事態をさらに悪化させるリスクもあります。

インターネットの情報もあるにはありますが、言葉はわからないし、話もわからない。自分のことかどうかすら不明な状態です。
まずは自分が知らなくてはならない情報を発見・特定し、正しく解釈し、自分にあてはめ、なるべく早く自分の状況を正確に把握する必要があります。

その上で、置かれた環境や手持ちの武器、手札を前提に、描ける現実的なゴールを設定します。
スタート(現状)とゴールの間の障害や課題を特定し、これを乗り越えるための選択肢を抽出します。そして試行錯誤を繰り返しながらゴールに近づき、うまくいかなければゲームチェンジやゴールチェンジをしていくことになります。

ゴールや選択肢というのは、時間が経てば経つほど増えていくケースと、減っていくケースがあります。
返済トラブルを始めとした法律上のトラブルは、たいていは後者であり、最初は20個くらいあった選択肢が最後には3つになってしまい、しかも3つとも地獄ということが当たり前のようにあります。

早いタイミングで弁護士に相談をするほど選択肢が残り、改善ないし解決する確率は圧倒的に高くなります。

したがって、楽観バイアスを克服して不安を感じることが第一であり、不安を感じたら自分の常識で対処しようとせずに、即座に弁護士に相談しましょう。
「なんでもっと早く来なかったの?」という弁護士はいても、「早すぎるし、迷惑だ!」という弁護士はいません。万が一早すぎたら、それならよかったと安心すればいい話なのです。

【執筆協力】
畑中 鐵丸
【法律監修】
弁護士法人畑中鐵丸法律事務所

 
埋まらない空室、度重なる修繕、重いローンの負担……。
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著者紹介

小島 拓
小島 拓

一般社団法人首都圏小規模住宅協会 代表理事
大学卒業後に不動産会社の営業職に従事し、以来10年以上にわたって、不動産投資のプロとして個人投資家の資産形成をサポートしてきました。しかし不動産投資の初心者を狙った悪質な業者の話を耳にすることや、自身が勉強不足なまま、先行き不安な物件に投資しようとする人を目の当たりにするにつれ、投資用不動産業界をもっとクリーンで、多くの人が正確な知識を持って安全に投資できるようにする必要があるという思いが募り、2018年度より、不動産業者としての立場に一旦区切りをつけ、投資用不動産業界の健全化を目的とした「一般社団法人首都圏小規模住宅協会」を発足しました。不動産投資による被害や失敗を減らしていく取り組みを随時行ってまいります。

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