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特別連載『融資地獄 』

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第12回 2019年からはサラリーマン大家候補生は区分マンション投資に注意

目次

スルガ銀行、レオパレス21……。名だたる企業が今ニュースに登場し、惨憺たる不動産業界の現状が露呈しています。しかし、これらは不動産業界において公表されていなかった氷山の一角に過ぎません。本連載では、全ての不動産投資家がこれらを対岸の火事として受け止めず、自らが融資地獄への一途を辿らぬよう、事件の発端を振り返りながら、万が一の際の救済方法を伝授します。

※本連載は2019年4月、幻冬舎より発売予定の書籍『融資地獄「かぼちゃの馬車事件」に学ぶ不動産投資ローンの罠と救済策 』の内容を一部抜粋・改編したものです

都心の新築区分マンション投資にひそむ闇

失敗の線引きが難しい面はあるものの、新築区分マンションで失敗したと感じている人も多く見かけられます。

サラリーマン大家候補生の方々が、持っているだけで赤字を垂れ流す物件を「年金や保険代わりになる」という売り文句で、元気のいい若い営業マンに売りつけられているようです。

都心の新築区分マンションは今なお活発に取引されているようですが、実は闇深い業界でもあります。この業界には同業者間でのお友達の紹介をベースとした提携ローンというものが存在します。

一部の銀行が扱っており、不動産価格が高騰している現在では、1Kのマンションに新築シェアハウス顔負け(ちょっと大げさで、そこまでではないですが)の強気な融資をするケースもあります。

また、今回のテーマである「かぼちゃの馬車」とつながりがあることもあります。業者に言われるがまま収益が上がらない新築区分マンションを複数戸持ってしまい、月々数万円の持ち出しのせいで生活が苦しいなか、収支の改善に最適な物件として新築シェアハウスを紹介され、購入した方も多数いるようなのです。

すがるような思いで新築シェアハウスに手を出したつもりが、とんだトラップだったということになってしまいました。

相場からかけ離れた「満室賃料」は危険

これらは、私が実際に相談を受けたり体験したりしている事例です。強くお伝えしたいのは、問題は「かぼちゃの馬車」だけではないということです。不動産投資にはいくつかの手法があります。

私のもとへ相談に訪れる方はさまざまな物件に投資されていますが、それぞれ失敗のケースは異なります。勉強不足により、当初想定していた収益を得ることなく、赤字状態に陥っている方は後を絶ちません。

ここで知っていただきたいのは、「満室想定賃料」という言葉のワナです。

多くの場合、物件資料に書かれている「満室想定賃料」というのは不動産会社が独自に決めているものです。その金額に対して、例えば「半年間の満室保証」を売り文句にして販売しているのですが、その期間が過ぎたり、あるいはその家賃で入居が付かなかったりした場合は、当初計算していた表面利回りは全くアテにならなくなります。

相場よりも高く家賃を設定することは特段珍しいことではなく、「かぼちゃの馬車」では数万円程度、家賃が上乗せされ算出されています。

いずれにせよ「満室想定賃料」が本当に現実的な数字なのかは、必ず疑う必要があるでしょう。

不動産投資の失敗を回避するためには

「かぼちゃの馬車」事件から派生したさまざまな実態が明るみになることにより、ネガティブなイメージで不動産投資が広まっていきました。少し前まではここまで不動産投資の危険性が、日本社会全体に認知されるとは思ってもいませんでした。

ここで、改めて現在の業界の問題点を整理して、今後の不動産投資業界についての展望をお伝えしたいと思います。

まず「かぼちゃの馬車」事件をきっかけに、融資基準が変化しました。属性がよくても自己資金を持ち出したり、それなりの経験者でなければ融資が受けられなくなっています。

これは本来の不動産投資のあり方に回帰しているといえるでしょう。

「かぼちゃの馬車」の事件以前も、私はお客様に対して「オーナーとしての勉強を自ら進んで行い正しい知識を持ち、自己判断で投資をしていきましょう」ということを繰り返しお伝えしてきました。
市況がどう変化しようとも、投資家としてブレない自己基準が求められます。

一般的に「融資が出るチャンスにどんどん買っておくべき!」などの売り文句が多用されていますが、自分の身の丈に合った商品をその都度購入していれば、大きな間違いは犯さないはずです。

問題となった業者に限らず、有名な不動産会社も提携銀行とともに、これまでのようなビジネスを展開できなくなっています。
そのスキームにおいては、年収700万円程度の人でも融資を受けられなくなるでしょう。そうなると不動産会社だけでなく、銀行側も窮地に追い込まれる可能性があります。

買い主も売り主も、取引に携わる人間も、もっと知識を身につけて公正な取引が行われるように、業界内のレベルの底上げが必要です。

「かぼちゃの馬車」事件にしても、一部の経営サイドの人間は別として、現場にいた営業レベルであれば、「人を貶めよう」という悪意ではなく、職務にまじめに取り組んでいただけというケースが多いように感じます。

これは、それ以外の失敗投資にも共通するのではないでしょうか。人を騙そうとしていれば、感じとることができるかもしれませんが、「投資家のためを思って」また「自社の商品(失敗物件)」を本当に素晴らしい物件と思い込んで販売しているとなれば、サラリーマン大家がその本質を見抜くのは難しいでしょう。

このように考えた場合、買い主であるサラリーマン大家の皆さんにもっと不動産投資の知識があれば、自衛ができたのではないかと思います。
ちょっと知っていれば買わない物件というのもたくさんあります。

ですので、これから不動産投資を行おうと考えている方は、身を守るために知識を増やしてください。そして新しく不動産マーケットに参加する方々については、「不動産を買うなら買うで、きちんと不動産について最低限のことは勉強し、騙されないような知恵をつけ、賢く買ってください」「特に、借金をして買うのなら返済シミュレーションを行い、返済能力の範囲内で借りてください」というメッセージを伝えたいのです。

そうすれば、取り返しのつかない失敗投資を回避することができます。

 
埋まらない空室、度重なる修繕、重いローンの負担……。
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著者紹介

小島 拓
小島 拓

一般社団法人首都圏小規模住宅協会 代表理事
大学卒業後に不動産会社の営業職に従事し、以来10年以上にわたって、不動産投資のプロとして個人投資家の資産形成をサポートしてきました。しかし不動産投資の初心者を狙った悪質な業者の話を耳にすることや、自身が勉強不足なまま、先行き不安な物件に投資しようとする人を目の当たりにするにつれ、投資用不動産業界をもっとクリーンで、多くの人が正確な知識を持って安全に投資できるようにする必要があるという思いが募り、2018年度より、不動産業者としての立場に一旦区切りをつけ、投資用不動産業界の健全化を目的とした「一般社団法人首都圏小規模住宅協会」を発足しました。不動産投資による被害や失敗を減らしていく取り組みを随時行ってまいります。

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