Column

UBIQSインタビュー

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なぜ、コンバージョンホテルは賃貸物件より収益性が高くなるのか

目次

無駄なマージンを一切排除し、高単価・高稼働率を実現する「ホテル投資事業」を展開する株式会社UBIQS。前編では、同社が「ホテル・民泊」に注目した理由やワンストップで行う事業の優位性等について、CEOの白川巴里氏に語っていただいた。後編では、さらに具体的な運用面、収益面を含む事業の特性や今後の展望について話を伺う。

地方と比べて東京が投資資金を回収しやすいワケ

――同じ投資物件として比較した場合、アパートなどの「賃貸物件」と民泊などの「ホテル型物件」とではどのような違いがあるのでしょうか。

白川巴里CEO(以下敬称略) 投資の観点でいえば、大きく違うのが利回りです。賃貸物件の利回りは都内で平均年4%くらいですが、旅館業・ホテル業の場合は、8%以上となるケースも珍しくありません。当社で扱った例を挙げると、世田谷区にある「コンバージョン型」の物件で、賃料相場9万円の部屋をホテルに作り変え、月27万円の売り上げを生んでいる事例があります。

このように収益性が高ければ、おのずと投資の回収期間も短くなります。例えば、東京の物件価格の割合は、建物が3割、土地代が7割くらいのバランスです。建物の価値は最終的にゼロになりますが、仮に年10%の利益が取れれば3年で回収できます。土地の価格は多少上下しますが、株価のように短期的に大きく動くことはほとんどありません。建物分を回収した後は、物件を手放すまで利益を生み続けてくれるわけです。

――UBIQSは、「東京にホテルを持つこと」をコンセプトとしています。東京に絞りこんでいる理由を教えてください。

白川 やはり「宿泊者ニーズ」が大きいからです。賃貸物件と違い、ホテルは短期の宿泊者を継続的に獲得していく必要があります。そのため、新規、コンバージョンを問わず、人が集まる場所ほど収益性は高くなります。

また、地方と比べて投資資金を回収しやすいというメリットもあります。前述の通り、東京は土地の価値が高く、減価する建物分を回収しやすいのですが、地方は建物の方が土地よりも高くなる場合が多いため、減価する建物分を回収するのが難しくなります。その点も東京に絞りこんでいる理由のひとつです。

「優雅な滞在」を楽しめるライバル施設が少ないのが強み

――観光客が多いエリアは、小規模ホテルオーナーにとってライバルとなるホテル数も多くなります。需要と供給のバランスはどう考えていますか。

白川 新規で作るホテルの場合、「ラグジュアリーなホテルである」という点で差別化できると考えています。都内のホテル数は多いものの、現状、戸建てタイプのラグジュアリーな施設はほとんどありません。優雅な滞在を楽しめるライバル施設が少なく、優位性が生まれるのです。データで見ても、都内のホテルの稼働率はビジネスホテルを含めて85%くらいが平均ですが、当社の物件の稼働率も80%前後で推移しています。

――例えば、どのような方々が利用しているのですか。

白川 新規で作るラグジュアリーな施設は、「居住環境や滞在経験を重視する欧州の人」が多い傾向があります。一方、アパートやマンションを戸建てホテルにコンバートするタイプは、「利便性やコストを重視するアジア各国からの観光客」が多いですね。

――運用面において、賃貸物件と異なるのはどんな点ですか。

白川 借り手に居住権が発生しない点が大きな違いです。賃貸では2年更新で契約した場合、当然借り手に2年間の居住権が発生します。通常の賃貸契約は基本的に借り手の権利の方が強くなるため、退去してほしいタイミングで出ていってもらえない可能性もあります。

その点、ホテルや民泊のような宿泊施設は短期利用です。例えば投資のエグジットとして物件売却を考えた時に、いつでも空室にできるという点は大きなメリットになります。また、賃貸物件は入居者が退去した後にクリニーングする必要があり、1カ月ほど収入がなくなる期間が発生します。ホテルや民泊にはその空白期間がないのもメリットといえます。

――利回りはどのように計算するのでしょうか。

白川 当社スタッフが想定利回りを計算しますが、その部分にも賃貸物件との違いがあります。というのは、「家賃」はほとんど変動しませんが、「宿泊料」は需要に応じて変動するからです。

――例えば、東京五輪のような大きなイベントによって宿泊需要が高まると、宿泊料金が上げることが可能で、収益性が良くなるわけですね。

白川 おっしゃる通りです。23区内に当社が扱ったワンルームマンションのコンバージョン物件があります。通常1泊8000円前後の価格設定ですが、五輪開催中の期間はすでに1泊10万円の予約が獲得できています。

そのような「特需」も含め、賃貸物件より利回りが良くなることがわかっていますので、我々は土地活用の一環として物件のサブリースも行っています。通常は賃料相場の8割程度で借り上げますが、我々は1.1倍で借ります。

――相場より高く借りる、ということですね。

白川 はい。賃料相場が10万円で、賃貸のサブリースが8万円で借りるなら、我々は11万円で借りるということです。また、物件によっては1.1倍より高く借りることもあります。なぜなら、利回りが良いため、高く借りても利益が出るとわかっているからです。

「アメリカの不動産業界」は日本より10年進んでいる

――そのように高く借りることができるのも、このビジネスモデルの収益性に自信があることのあらわれですね。これらのホテル業・民泊事業の特徴などは、どのように投資家に告知しているのですか。

白川 セミナーを開催して説明しています。改正旅館業法・民泊新法によって市場がどう変わったか。そしてホテル経営・民泊経営がどういう事業かといった基本的なことから、事業スタートまでの流れ、利回り面での優位性などについて説明します。さらには、当社のサポートとして、土地探しから運用開始後の清掃、エグジットの支援まで行っていることなども伝えています。

どのような方々が参加しているかというと、不動産投資や民泊関連情報のウェブサイトでセミナー情報を見た人で、新しいものや面白そうな投資先を探しているアンテナが高い会社員の投資家が多いと感じます。学習意欲が高く、勉強熱心な人も多いため、ビジネスモデルや民泊事業の内容や優位性などもすぐに理解していただけます。

――観光立国の実現という意味でも、小規模ホテル市場・民泊市場に対する投資家の注目度を高めていくことも重要ですね。

白川 そう思います。今後、観光は日本経済の大きな柱になっていきますし、不動産も重要な産業です。私は過去にアメリカで勉強した経験があり、その時に不動産の魅力を感じました。当時からアメリカの不動産業界は日本より10年くらい進んでいました。現状でも、例えば営業マンの知識レベルや不動産テックの普及といった点で先を行っています。この差を広げられないようにするためにも、業界全体を成長させていくことが重要です。

改正旅館業法・民泊新法が施行され、いま改正旅館業・民泊は官民一体で取り組みやすい市場になっています。宿泊環境を整えることで、日本の魅力を知ってもらう絶好の機会になり、外貨が稼げる貴重な市場だとも思います。幸運にも、東京五輪という大きなイベントが直近にあります。世界一魅力的な東京という都市を周知させていく手段として、宿泊市場を成長させ、さらには不動産事業の発展に貢献したいと思っています。

インタビュー記事「前編」:投資家は「やる・やらない」の判断を下すだけ ~「ホテル型事業」投資という選択肢

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著者紹介

不動産投資塾編集部
不動産投資塾編集部

投資への関心が高まる中で、高い安定性から注目を集める不動産投資。しかし不動産業界の現状は残念ながら不透明な部分が多く、様々な場面で個人投資家様の判断と見極めを要します。一人ひとりの個人投資家様が正しい知識を身に付け、今後起こり得るトラブルに対応していくことが肝要です。私たち一般社団法人首都圏小規模住宅協会は、投資用不動産業界の健全化を目指す活動の一環として本サイト「不動産投資塾新聞社」を介し、公平な情報をお送りいたします。

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