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不動産オーナー必読!家賃の「コロナ滞納」への対応策

目次

コロナショックにより経済的に困窮する人が続出しています。そんな人々が支払いにまず困るのが、固定費の大半を占める家賃。不動産投資塾による取材でも、既に入居者の家賃滞納が出てきているというオーナーの声が上がってきました。家賃の「コロナ滞納」、その実態とオーナーが取れる対応は予め把握しておくことが賢明です。

家賃滞納で訴訟を提起するのには3ヶ月程度が必要

日本の借地借家法は、基本的に入居者の立場がとても強いものになっています。仮に入居者が家賃を滞納したとしても、家主側が訴訟を提起するのには3ヶ月分程度の滞納額が必要です。そうでなければ、裁判所が「貸主・借主の信頼関係が破綻」したと認めてはくれません。

そして、訴訟自体にも3〜4ヶ月程度がかかります。つまり、家賃滞納が始まってから7〜8ヶ月の間は、その物件からまったく家賃が入ってこない状態になってしまうのです。

家賃滞納の厄介なところは、新たな入居者募集ができないこと。空室であれば、家賃を下げる、広告料を出すといったことで改善が期待できます。しかし、家賃滞納者は部屋に住み続けるのでそれもできません。オーナーとしては非常に大きな痛手になってしまうのです。

今回のコロナショックに対する国の対応として、オーナーが支払う固定資産税の減免などが発表されましたが、ローンの支払いなど深刻な部分に対するサポートが取られる気配はありません。

猶予、減額、分割に応じるべきか?

国土交通省は2020年3月31日に「店舗オフィスの家賃に対し、家主側は寛容な対応を」と要請し、その後対象を居住用にも広げました。しかしこれはあくまで要請であり、前述のとおり国から家主へのサポートが期待できない以上、どう対応するのかはオーナー自身が判断する必要があります。

入居者からコロナショックによる家賃の猶予や減額、分割を依頼されたとします。これら賃料の支払いについては法律上の取り決めがあるわけではなく、あくまで貸し手と借り手の合意次第です。しかし、同情して猶予や減額、分割を安易に承諾してはいけません。

まず、相手をしっかりと見てください。コロナショック以前から家賃の滞納を繰り返していたり居住マナーが悪かったりした入居者の場合、温情を見せるとコロナの終息後になっても滞納を続ける可能性は十分にあります。そもそもコロナショックで収入が激減した背景にその人自身のだらしなさがあることも十分考えられ、真面目な入居者より収入回復は困難になるとも考えられるでしょう。

入居者が比較的誠実で、コロナ終息後には問題なく収入が回復できそうと判断できるのであれば、猶予や減額、分割に応じてもいいかもしれません。

温情を見せる場合にも厳密な対応を

しかし、家賃滞納に対する入居者からの相談に応じるとしても、甘い顔をしすぎるのは禁物です。

入居者の中には「コロナだから仕方ない」と居直るような態度で強気に交渉を仕掛けてくる人もいるようですが、あくまで賃料の支払いは契約上の義務です。まず、入居者が自分から相談に来ないようであればその時点で問題がありますから、すぐに内容証明郵便で督促状を送るなどの対応をとってください。

また、もしも猶予や減額、分割に応じるとしても、きっちりと期間や金額を定めた書類を取り交わしましょう。あくまでも新型コロナウイルスの影響の範囲内における措置であることを明記するのもいいかもしれません。

家賃の滞納についてはオーナーとして厳正に対処するという基本スタンスを示さなければ、入居者から「後回しにしても多めに見てくれそう」と考えられてしまう可能性があります。そうしてズルズルと滞納期間が延びてしまっては、最短で法的措置をとって退去してもらったほうが結局はよかった、ということになりかねません。

また、入居者が条件を満たせば自治体からの「住宅確保給付金」を受給して急場をしのげることもあります。まずは制度を教えてあげるなどして、契約どおりに家賃を支払ってもらう前提で入居者と交渉すべきでしょう。

家賃滞納には厳しく対応を

コロナショックの影響であるかないかにかかわらず、家賃滞納には決して甘い対応を取らないでください。入居者と顔見知りのケースもあるかもしれませんが、オーナーとしても入ってくる賃料を前提に生計を立てているはず。心を鬼にして取り立てましょう。管理会社が弱腰だとしても厳しく要求をしてください。滞納に対して適正な対応を取らず、結果として1年分以上の家賃が未回収になってしまったようなケースは数多く見受けられるのです。

家賃滞納者に対する交渉は、債権回収だと肝に銘じてください。取り立てに際して無駄な温情は禁物なのです。

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著者紹介

不動産投資塾編集部
不動産投資塾編集部

投資への関心が高まる中で、高い安定性から注目を集める不動産投資。しかし不動産業界の現状は残念ながら不透明な部分が多く、様々な場面で個人投資家様の判断と見極めを要します。一人ひとりの個人投資家様が正しい知識を身に付け、今後起こり得るトラブルに対応していくことが肝要です。私たち一般社団法人首都圏小規模住宅協会は、投資用不動産業界の健全化を目指す活動の一環として本サイト「不動産投資塾新聞社」を介し、公平な情報をお送りいたします。

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