石川貴康の超合理的不動産投資術
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2019年8月30日(金)
不動産をメインにしつつも、私は不動産投資以外に何に投資しているのか
前回のコラム「不動産投資のリターンを何に使っているのか?何に使うのか?」に、私は不動産投資のリターンを主に不動産を増やすために再投資していると書きました。それに加えて、金融投資に少々使っていると書いています。今回はその流れで、私が実際に行っている金融投資のことを、その投資成果の成否も含めて紹介しましょう。結果を先に言ってしまえば、勝ち負け混在といったところです。
メインはドルコスト平均法による積立投資①金貯蓄、プラチナ貯蓄、銀貯蓄
不動産投資以外で私が行っている投資のメインは、ドルコスト平均法による積立投資です。特になんの工夫もなくて、面白くないですかね。でも、これ、上がり下がりする相場を持つ対象には、けっこう利くと思っています。
ドルコスト平均法による積立投資は、1995年ごろにミニ株投資で行っていた経験がありました。その時のリターンが個別株よりも断然よかったので、他の資産でもやってみようと思ったのです。
ドルコスト平均法については、解説は不要かもしれませんが、念のため。ドルコスト平均法とは定期定額の積立投資のことです。価格が上下するものは、購入タイミングを分散させることで、最終的には購入価格を平均値化する投資法です。売却時に価格が上がっていて、購入単価の平均値を上回っていれば御の字という投資です。
ミニ株は売ってしまったのですが、同時に始めたのは金貯蓄。1991年から、実に今年で約28年積み立てています。当時は薄給でもあったので3,000円から始め、途中で5,000円に増額しました。
2019年1月までの損益は下記です。
(金貯蓄)
積立取得価格 :2,054円 | 投資総額:1,699,609円 |
現在価値(2019年6月30日):5,229円 | 総資産額:4,326,803円 |
投資損益:2,627,194円 |
これが、28年間地道に3~5,000円積み立てたドルコスト平均法の結果です。約170万円の投資が430万円になった計算です。金は、最近も価格が上がっているので、結果的に2倍以上になっています。まだまだ、積立ていきます。
同様にプラチナ貯蓄と銀貯蓄もやっています。積立た期間は、プラチナは2009年から10年、銀は2014年から5年です。
(プラチナ貯蓄)
積立取得価格 :4,292円 | 投資総額:447,557円 |
現在価値(2019年6月30日):3,039円 | 総資産額:316,897円 |
投資損益:-130,660円 |
(銀貯蓄)
積立取得価格 :69.27円 | 投資総額:271,872円 |
現在価値(2019年6月30日):56.27円 | 総資産額:220,849円 |
投資損益:-51,023円 |
プラチナは大負け、銀も負けです。私なりの分析は、金は資産目的や宝飾市場での伸びがあるのですが、プラチナや銀は産業利用の影響が大きく、昨今の産業情勢からすると、厳しい状況が続いてきたのだろうと思っています。
プラチナは、ディーゼルエンジンの触媒としての用途が大きいですが、フォルクスワーゲンの不正等もあり、また、パラジウムなどの代替貴金属も登場し、価格下落が続いているのでしょう。銀も産業需要が低迷しました。一時、太陽光パネルへの用途が大きくなりましたが、それも一服してしまいました。先行きは楽観できません。
そうであるなら、プラチナも銀もやめればいいものを、ここまでくるとやめられない。途中でやめるのに勇気がいるのです。一度初めてしまうとなかなかやめられないという点でも、ドルコスト平均法による積立投資は、なかなか継続性には強みを発揮してくれます。
金のように、上下しながら右肩上がりで言ってくれる場合は最強ですが、下落していく場合は大損ですので、必ず儲かるとは限らないところが味噌ですね。
メインはドルコスト平均法による積立投資②投資信託、外貨MMF
私は他に、投資信託と外貨MMFにもドルコスト平均法による積立投資を行っています。
以前はミニ株としての個別株への積立投資でしたが、面倒なので投資信託にしました。銘柄は、全世界株式、先進国株式、中国株、先進国債権、先進国リートなどの投資信託とS&P500インデックスです。
また、最近、アメリカ株の好調を見て、米国全市場株インデックス、米国高配当株インデックス、ついでに全世界株インデックス、新興国株インデックスへの投資も開始しました。
長期で投資している全世界株式、先進国株式、先進国リートの各投資信託はプラスです。一方、最近までプラスだった中国株投資信託は最近の米中紡績戦争の煽りを受けて、マイナスに転じています。
先進国債権インデックスは、株式投資型のインデックスへのヘッジとして買っていましたが、あまり意味もなく、ここのところの先進国の国債の金利低下を受けてか、パッとしませんね。
S&Pは良いです。最近買い足した始めたインデックス系はダウの最高値を受けて伸びていましたが、7月末からの下落相場でマイナスです。
リセッションもささやかれているので、下げる可能性もありますが、ドルコスト平均法は上げ下げがあった方がいいので、慌てず、コツコツ積立です。
外貨MMFは、米ドル、豪ドル、ニュージーランドドル、ポンド、ユーロ、カナダドル、トルコリラ、南アランドの8通貨でした。でしたと言うのは、まず、ユーロMMFが欧州のマイナス金利を理由に強制償還されました。
また、トルコリラの長期下落に嫌気が指し、南アランドの下落を見て、この2通貨は損切しました。結局、ユーロ、トルコリラ、南アランドの3通貨では損失確定です。
残り5通貨は今も継続中です。しかし、8月頭の1ドル105円台となった円高で、一時的に含み損になっています。円に戻すともったいないので、今年に入り、米ドルと豪ドルはそれぞれの通貨建ての社債に振り替えました。
もう、何年やっているか、調べるのも面倒なので、投資期間はよくわかりませんが、10年くらいですかね。最近の円高で含み損ですが、将来円安時のヘッジとして投資し続けている感じですね。
当然、iDeco、積立NISAもやっていますが、短期的にはマイナス
当然ながら、節税も兼ねられるiDeco、積立NISAもやっています。すでに当信託のドルコストで保守的な選択をしているので、少しは冒険した銘柄を選びました。
iDecoは給与所得者のため、月額2万3千円くらいが積立限度ですが、限度額まで投資しています。新興国系と中国株、世界株の投資信託です。開始してちょうど10か月の結果が来ました。
(iDeco)
掛金 230,000円-手数料4,447円-213,776円=評価額-11,777円
と、マイナスです。この期間では仕方ないかと思います。マイナスですが、節税分を加味すると、トントンかプラスです。
仮に私が税率20%だとすると、230,000円*20%=46,000円の節税になっているので、まあ、御の字でしょう。長期投資ですので、節税と運用益のバランスがどうなるか次第ですので、短期では一喜一憂しないことですね。
さて、積立NISAは今年開始したもので、新興国株式インデックス、先進国株式インデックス、香港ハンセンインデックスにしました。こちらも、昨今の貿易戦争、香港の混乱などを反映してマイナス。
(積立NISA)
積立総額 104,625円- 98,192円=評価額- 6,433円
それにしても、積立ですから、1年もたたずに結論は出さずにいます。iDeco、積立NISAも、長期的に見ていきましょうかね。
節税できて、退職金になる中小企業共済掛金もやっています
個人で節税できるものとして、個人事業主なら節税になる中小企業共済掛金も毎月積み立てています。これは、父が実際に解約するまでやった結果を見て、やるしかないと思って始めたものです。父の例を簡単に計算してみましょう。
父は不動産所得があったのですが、ローン返済後の残金から毎月50,000円、年間600,000円を積立ていました。
(中小企業共済掛金)
20年間の積立総額 | 12,000,000円⇒20年後の利息込み資産 | 16,000,000円 |
⇒増加4,000,000円 | ||
20年間の節税額 | 父の税率10%:600,000*10%*20年 | ⇒節税1,200,000円 |
利益:5,200,000円 |
ということで、540万円の得でした。もちろん、父の時代は金利のいい時期もあるので、今もここまで行くかというと微妙です。金利はどうしようもないですからね。
さらに、解約時は退職給与になるのですが、退職金は時別な税金計算をするため、通常の所得よりも税額が抑えられるのです。
細かい計算方法は載せませんが、退職金として税を抑えられたため、父はこのお金で実家をバリアフリーにリフォームできました。足が悪くなった妻と心臓手術で障碍者1級になった自分が住みやすい家に改造することができたのです。
所得税での節税と退職給与所得なることでの節税で、ダブルで制度的に優遇されているので、私も不動産収入から中小企業共済掛金への積立を行っています。
コモディティ投資としての「金」
私は香港が好きで年に何回か香港に行くのですが、その時には金貨を1枚買ってきます。また、香港に行けないときには貴金属店で金貨を買います。金貯蓄をやっているので、不要のようにも思いますが、一応、現品としてのコモディティも持ちたいので買っているのです。
残念ながら金は利息を生むわけではないので、価格の上昇がないと儲かりません。しかし、リスクヘッジとしてたまに金貨を買っています。吉と出るか、凶とでるかわかりませんが、有事の金としてわずかながら持っている次第です。
大きなお金があればバーで買う手もあるでしょうが、さほど大金はかけられないのでコインです。コインはカンガルー金貨やウィーン金貨です。流通がきちんとしていて売り買いしやすいものとして、多少の加工費などが入っていても流動性重視で買っています。
株と債券は今更資産?結果ちょぼちょぼ、仮想通貨は大変だなあ
ついうっかり、やらないと決めていた個別株にも最近手を出してしまいました。上がっていったと思ったら、米中貿易戦争の煽りでマイナス転換。今のところ静観です。やはり、金融投資や投機には時間が使えないので、個別銘柄を買うのは無理がありますね。
外貨建債券も買った話は外貨MMFのところで書きましたが、こちらも実験的に買ってみたのです。さて、保有期間5年でどのような結果になるか見ものです。
一方、仮想通貨も持っていますが、塩漬け。ブームになるかなり前に持っていて、2017年にはびっくりするぐらい暴騰したのですが、今はマイナス。やはり、私は投機は向きませんね。静かに置いておきます。
さて、私の金融投資ですが、基本はドルコスト平均法による積立投資でほったらかしが基本です。金融投資は不動産投資と違って、自分でコントロールできるものがないので、焦ってもしょうがないし、人を出し抜こうとすると相当な時間と知恵を使わなければならないので、私にてってはどうでもいいのです。
ですから、これからもドルコスト平均法による積立投資でボチボチやっていきます。プラス・マイナスがあって、参考になったのかどうか覚束ないのですが、金貯蓄の28年間の積立はちょっと自慢です。
こんなに長く積み立てている人が周りにいないため、みんな理論的にはドルコスト平均法はわかるけど、実態はどうかというと実例を持っている人が少ないんですね。みんな、「仮にいついつから積み立てていると、いくらくらいになったはず」という話ばかりですから。プラチナの10年積立もマイナスの事例としては良いサンプルだと思います。
稼げる本業と不動産投資をメインで行っていれば、金融投資はサブの扱いです。まあまあ、お金をギリギリ失わない程度で回っていれば御の字だと思っています。仮に失っても、当時必要ではなかったお金だから積立てたと思ってあきらめれば、心も穏やかです。欲をかけば限りがないので、本来は損してもカッカしない程度で投資するのが良いのでしょうね。所詮、お金は道具であり、数字の束でしかありませんからね。
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著者紹介
石川 貴康石川 貴康
外資系コンサルティング会社、シンクタンクに勤務し、現在は独立の経営コンサルタント。大手企業の改革支援を今も続ける。対製造業のコンサルタントでは業界第一人者の一人。会計事務所も経ており、経理、資産評価、相続対策にも詳しい。2002年から不動産投資を始め、現在は15棟153室ほか太陽光3箇所、借地8箇所を経営する。著書に『いますぐプライベートカンパニーを作りなさい! 、サラリーマンは自宅を買うな(東洋経済新報社)』『サラリーマン「ダブル収入」実現法 、100円ちゃりんちゃりん投資、(プレジデント社)』など