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加藤隆が実際に体験した不動産投資の罠

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海外を歩いて感じた、海外不動産と国内不動産の特徴と違い

目次

色々な体験をしたくて私は海外旅行によく行きます。サラリーマンのため、休みが取れる夏と年末年始に毎年2回旅行へ行っています。

最近行ったところは、さかのぼっていくと2019年夏にアメリカ(ニューヨーク)、2018年末~2019年の年末年始にイギリス(ロンドン・オックスフォード)、2018年夏にアラブ首長国連邦(ドバイ・アブダビ)、2017年夏にカンボジア、ベトナム(ハノイ・ホーチミン)に行きました。

これまでも、ヨーロッパからアジアなど15カ国以上旅行に出かけています。
今回は、実際に自分の足で歩いて知った海外の土地の所感や、海外不動産についてピックアップして紹介しようと思います。

アメリカ

2019年7月に、ニューヨークへ行きました。
ウォールストリートにあるニューヨーク証券取引所にも行きました。ニューヨーク株式市場は、サブプライムローン・リーマンショックを乗り越え、現在、最高値更新中です。
それに比べ、日本の株式市場は1989年末の日経ダウ史上最高値約4万円以来30年に渡って、高値更新どころか、せいぜい半額の2万円程度で、不景気が続いています。

かつて1980年後半の平成バブル期には、東京だけでアメリカが4つ買えるとか、「ジャパン・アズ・ナンバー1」などと言われ、浮かれていました。M菱地所が、ロックフェラーセンタービルを高値で購入し、その後安値で手放したこともありました。

私も1986年(28歳)から、日本で不動産経営を始めましたが、ニューヨークのマンハッタン、ハワイ(カウアイ島)の物件を購入検討していました。結果的には、日本の平成バブル崩壊もあって、購入しなかったのですが、「購入しておけば良かった」と思っています。

アメリカへは、ハワイ(オアフ島・カウアイ島・ハワイ島)、ロサンゼルス・ラスベガス・サンフランスコ、グアム、サイパンにも行きました。
アメリカは、わずか200年余りの歴史しかありませんが、世界最強(経済・軍事など)の国です。世界の覇者は、ヨーロッパ(イタリア、ポルトガル・スペイン、フランス、イギリス)から、アメリカへと移っていきました。移民を受け入れ、先進国で人口が増え続けているのは、アメリカです。アメリカは、先住民族としてインディアンが住んでおり、その後ヨーロッパから移民が住んで作った経緯があります。

ニューヨークのマンハッタン島は、インディアンから、数十ドル程度で買ったと聞いています。
マンハッタン島は、「一枚岩」ともいわれて、硬い岩盤でできていて地震がありません。アメリカは今トランプ政権で、景気も良く、失業率は4%と低めです。最低賃金は時間給1,500円程度なので、日本の約1.5倍はします。空室率は、ほとんど無いようです。

アメリカなど欧米の建物は、日本のような木造の20年ごとに建て直すようなスクラップ&ビルドではなく、石造りで頑丈かつ長持ちするものです。
リフォーム・リノベーション・メンテナンスなどを経て、「趣」という付加価値ができ、古い建物が値上がりするくらいです。

ハワイは、土地の原則所有権は持てず、借地権となります。不動産取引については、エスクロー制度があって、保護されています。

フィリピン

マニラとセブへは、1983年に行きました。セブは、観光地ですが、昨今ビジネス街としても栄えてきています。私が行ったのは、アキノ暗殺事件直後でした。

フイリピンではプレビルド案件が多いのです。フィリピンに限ったことだけではなく、東南アジアの不動産は、建設計画段階で発売開始し、建設途中の各段階で徐々に価格を上げて売却していきます。
完成段階で、売却する人もいます。建設途中で、開発業者が倒産し、棚上げになるリスクもあります。

シンガポール

マレー半島は、地震がありません。英語が公用語で、日本よりも物価が高い場所です。土地が狭い分、不動産価格は高めです。
2011年の夏、シンガポールに行きましたが、当時は、経済成長率10%以上という2桁成長。経済が衰退しつつある日本と逆でした。

マレーシア

マレーシアは、シンガポール同様地震のないマレー半島にあり、人口構成は、マレー系6割・中国系3割・インド系1割といった感じです。
英語が公用語で、物価は3分の1。果物がおいしいです。ずっと、日本の移住先人気ナンバー1です。

徐々に、持参金3千万円など、ハードルは高くなりつつあるようです。クアラルンプールの外国人居住高級住宅エリアは、戸建てで1億円ほどです。

アラブ首長国連邦(ドバイ)

ドバイとアブダビへは、2018年夏に行きました。
ドバイとアブダビは、石油資源を元に砂漠の地を未来都市にした、世界一安全な街です。
ただし、夏は気温が40~50度と高温になります。

バージュカリファ(848メートルの超高層ビル)、噴水、7つ星ホテル、最長の無人モノレール、ドバイショップモール、屋内人口スキー場など、世界一を更新しているものばかりです。

空港では、荷物・スマホなど置いたまま、寝ている人も多いほど、盗難も無く、安全な街です。(東南アジアでは、歩きスマホしただけで、バイクなどで盗られてしまいます。「盗難アジア」と言われているほどです。)

海外不動産投資にどう取り組むか

日本は少子高齢化、人口減で、国力はどんどん弱くなっていっています。
かたや諸外国では、アメリカ、東南アジアなどでは、人口は増え続け、経済も成長しています。
日本経済は、下りのエスカレーターのようです。個人がただ単に乗っているだけだと、どんどん下がって行ってしまいます。下りのエスカレーターを逆に駆け上って行って、やっと現状維持といった感じがします。

諸外国のエスカレーターは、上りのエスカレーターのようです。乗っているだけで自然に上って行けるのです。
日本人である我々はある程度危険を犯してでも、隣のエスカレータに飛び移るという選択をするかどうかだと思います。
つまり海外の不動産への投資をするかしないかということです。

海外の不動産は、日本の不動産よりもリスクも多いです。物理的にも遠いので、おいそれとは見に行けません。国内であれば、最悪日帰りでも行けます。海外ではそうは行きません。

信頼できる不動産会社に、建物・賃貸管理できればいいですが、海外だと、管理会社自体の管理が難しいのです。国によっては、外国人では所有権などの関係もあって、一旦、現地人名義を活用することもあると聞いていますが、トンズラされたら終わりです。

また国によっては、土地の所有権は持てない場合が多いです。土地に価値を置く私にはここは難点と思っています。
そのほか、慣習や言語をはじめ、法令、税制、資金調達の違いもあります。外国為替リスクもあります。
私は現在、旅行を兼ねて海外の様子を見て回っているといった段階です。

リスクを検討しつつ、視野に入れていきたいと思っています。

海外不動産の知識から、国内不動産をどう考える?

日本の不動産業界は「井の中の蛙」になるのではなく、海外不動産の良いところは参考にしてほしいと思います。

日本は少子高齢化の真っ只中で、結婚しない・できない、子供を産まない・産めないで、2人で1人しか子供を作りません。これでは、世代ごとに、人口は半減していきます。
企業やお偉いさんばかりがもうけるのではなく、従業員も安心して生活できる給料を払い、結婚し、子供を産める環境にすることが重要です。

建物も、安普請だったり建築偽装したりする、20年ごとに建て直させる「スクラップ&ビルド方式」ではなく、長持ちするような建物にし、海外のように古い建物の価値を認めるようになることが必要です。

融資にしても、「リコース(遡及型)ローン」ではなく、欧米型の「ノンリコース(不遡及型)ローン」にすべきです。
「リコース(遡及型)ローン」だと、売却価格が残債に満たなければ、無限責任で残債を支払わなければいけませんが、「ノンリコース(不遡及型)ローン」だと、物件を放棄すれば、残債は免れるので、物件ごとに責任限定方式が取れます。

日本の金融機関は、個人連帯保証や別件共同担保物件を取ったり、歩積み両建て定期預金を積まさせたり、「リコース(遡及型)ローン」という規定があったりと、リスクを取りません。
金融機関は、各種書類の偽造や融資のドタキャン、反省力団体と付き合い不正融資、同族オーナーに不正融資・私物化などの問題がたびたび起こります。体質を一新しなければ、日本の金融業界は発展しないでしょう。

一方、日本の不動産業界においても疑問があります。
例えば、日本の宅地建物取引業(宅建業)では、「双方代理」は原則不可にもかかわらず、なぜか、売り主・買い主の両手取引という双方代理も認められています。
ほかにもさまざまな宅建業法違反も平気で横行しています。
日本の不動産業界についても金融業界同様、頭打ちになることが予想できます。

まとめ

私は東京から地方、区分所有マンションから1棟アパート・1棟マンション・戸建て、新築から築浅・中古、単身者用からファミリー用などと、リスクの低いところから始め、徐々にリスクを取りつつ、リスク分散という手法で来ています。

その点からすれば、国内から海外という流れもあります。逆に、日本だけに依存していれば、最悪、国家破綻すれば(実質していると思いますが)、共倒れになるリスクもあります。ある程度、海外にも通用する資産も保有しておくべきです。

私は今、外国為替(米ドル・ユーロ・ポンド・スイスフラン・オーストラリアドル・ニュージーランドドル)、貴金属(金・白金・銀)に投資しています。これに海外不動産も加えていくという流れにしようと思っています。

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著者紹介

加藤 隆
加藤 隆

サラリーマンのままで、経済的・時間的・精神的自由を目標に、預貯金・外国為替・貴金属・株等の資産運用を経て、不動産経営歴31年。数々の失敗・バブル崩壊を生き抜き、リスク分散をモットーに、東京・博多・札幌・名古屋・京都・小樽・千葉に、区分所有マンション・一棟物アパート・一棟物マンション・戸建等、物件108戸を運営。総資産7億円・借入5億円・自己資本2億円、年間家賃収入4,100百万円・借入金返済3,100万円・キャッシュフロー1,600万円。節税で、所得税・住民税ゼロ。

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