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新築の不動産投資はやめるべき!? リスクだらけのマンション投資と失敗事例

目次

サラリーマンに人気の高い新築マンション不動産投資ですが、実際には新築マンション投資では、失敗者が続出しています。

新築マンション投資がなぜリスクだらけなのか、逆にどのような人が新築マンション投資に向いているのか、失敗事例を紹介しつつ解説します。

新築の不動産投資にはリスクがいっぱい!

新築マンションか中古マンションか。
新築アパートか中古アパートか。
立地や間取り、築年数……。

不動産投資は、あらゆる切り口で選択肢が数多く存在します。

不動産投資初心者は右も左もわからず、とりあえず「新しい物件が良いだろう」とか、「綺麗な物件の方が入居者は入りやすいはずだ」と決めつけてしまいがちです。

しかし新築物件の不動産投資は、実はリスクだらけなのです。

まずはそのリスクについて説明しましょう。

リスク① 新築物件は相場より高額で収益性が低い

新築物件は、入居者からの人気が高いため空室率が低くなります。

さらに、修繕費用やリフォーム費用がかからない点も、大きなメリットです。

なおかつ、新築物件は不動産としての担保価値が高いため、金融機関からの融資も受けやすく、フルローンで購入することも充分に可能です。

つまり、自己資金が少なくとも投資しやすいという魅力があります。

ただし、「多額の融資を得られる」という強みは、裏返すとリスクでもあります。

フルローンやそれに近い借入額があれば、当然、返済が大変になるからです。

しかも、投資用の新築物件は最新の設備を備えていたり販売時の広告費が上乗せされていたりするため、購入価格がそもそも割高です。

数年後、数十年後に所有物件を売却しようとした際、物件を売ってもローンが残ってしまうオーバーローンにおちいる可能性が高くなります。

オーバーローンの状態になったら、売却が難しくなるだけでなく、さらに融資を受けるローンの借り換えも難しくなることは覚えておきましょう。

ローンの金額が大きければ大きいほど、月々の返済金額も増えるし、仮に満室経営できていても、ローンの返済額が大きければ、キャッシュフローは悪くなります。

こうした理由から、新築物件は中古物件と比較して投資利回りが低く、思ったほど儲けられないものなのです。

リスク②新築物件は価格がすぐに落ちる

新築物件には、「新築バリュー」といわれるプレミアム価格が販売価格に上乗せされています。

ほかにも分譲会社の取り分が加味されていますが、これは新築時のみ価格に転嫁されています。

新築物件は建築されてから1年間経過するか、一人でも賃貸契約などで入居者が入った段階で中古物件となってしまいます。

中古物件になった瞬間から新築バリューは消滅し、資産価値は大きく下がり、不動産売却時にキャピタルゲインが得られなくなってしまいます。

さらに、賃貸経営における賃料設定も、中古になったら減額せざるをえません。

新築時に相場より家賃を高く設定していたとしても、二人目以降の入居者を募集する際には、同じ賃料では誰からも見向きもされない可能性があります。

リスク③新築物件は収支シミュレーションが困難

中古物件の場合は、過去のデータや入居状況などがあるため、収支シミュレーションは立てやすいです。

一方、新築の場合は過去のデータや事例が一切ないため、賃貸需要が読みづらいのです。

本来、不動産投資の賃料設定や収支シミュレーションは、その土地の人の流れやニーズなどによる総合的な判断が必要となります。

新築物件はそうした情報が少なく、判断が難しいのです。

不動産投資の初心者は、似たような土地や建物での投資経験がないため、特に新築の物件購入には注意すべきでしょう。

リスク④新築物件の節税効果は期待できない

不動産投資において、「節税効果アリ!」という営業文句がよく利用されています。

しかし、高い節税効果を発揮するには、「所得税率が高い人が物件を買う」「減価償却期間が短く、減価償却費が大きく取れる物件を買う」という条件があります。

実は、年収が1000万円にも満たないサラリーマンは、ワンルームマンションを中心とした新築物件に投資しても、節税効果を得ることは夢のまた夢なのです。

確かに、投資を始めた初年度は、購入諸経費である「登記費用」や「不動産取得税」を支払うことで不動産所得がマイナスになります。

そうすると所得税の還付を受けて節税ができますが、2年目以降はその恩恵を受けられません。

高額収入の人以外は、節税効果を期待できないと覚えておきましょう。

新築不動産投資の失敗事例! 毎月の家賃収入より出費に苦しむことに……

ここで、新築マンション投資で失敗した事例を紹介しましょう。

会社員のAさんはある日、街中で住まいや貯金に関するアンケートを受けたことをきっかけに、不動産営業マンから投資物件の案内を受けました。

「ローン返済後は資産になるので、老後もしっかりと安定収入を得ることができますよ!」という言葉を信じ、Aさんは老後の資産形成のために新築ワンルームマンションを購入。

さらに老後の収益を最大化するために保有数を増やすべきというアドバイスも受けて、2軒目、3軒目と新築マンションを追加購入しました。

しかしAさんが買った物件は、購入当初こそ入居者がついたものの、退去者が一度出てからは次々に空室が増えていきました。

結果、ローン返済のほか、税金や管理費の支払いにも苦しみ、月々の赤字が20万円まで膨れ上がったのです。

Aさんが新築を立て続けに買うのではなく、2軒目で中古一棟マンションの購入に踏み切っていれば、もしかしたらキャッシュフローは上向いていたかもしれません。

ただ、その考えを別の不動産業者に相談をしたときには後の祭り。

新築物件を購入した際のローンの借入額が多すぎて、中古物件投資の融資の審査が通らなかったのです。

Aさんは解決の手立てがなく、自己破産するしか道は残されていませんでした。

新築物件の不動産投資に向いている人とは?

以上のように、新築の不動産投資はかなりのリスクやデメリットがあり、大抵は失敗するといえます。

ただし、なかには「新築不動産投資に向いている人」も存在します。

新築不動産投資に向いている人の条件として、次の2つが挙げられます。

条件①預貯金が豊富にある人

新築物件の不動産投資において、預貯金の額は非常に重要な指標となります。

前述した借入れリスクや価値の下落リスクは、預貯金が少ない人の破産の確率をかなり高めます。

しかし、預貯金が1億円以上あるような高額収入および資産家の人であれば、新築物件に投資する意味があるでしょう。

たとえば、分譲マンションであれば利回りが3%以下であることが通常ですが、これは銀行預金に比べると圧倒的に高利回りです。

全額を現金で支払えばローンの金利も負担しなくてよいので、新築マンション投資が資産運用の一つの選択肢になりえます。

手元の資産さえ潤沢なら、新築物件を買って数年所有し、十分にうまみを得たらまた別の新築に買い替えて……といった長期的な運用が可能になり、投資戦略の自由度が上がるのです。

条件②相続税対策の必要性がある人

相続税対策をしたい人にとって、新築ワンルームマンションへの投資は有効な方法です。

たとえば、現金1億円分のワンルームマンションを購入することで、相続税評価額を4割以上も下げられる可能性があります。

相続税が発生した後は入居者退去後にすぐ売却してもよいですし、長期的に保有して運用を続けるという手もあります。

新築物件投資はリスクだらけ! 利益をえられる人はごくわずか

新築物件への不動産投資が向いている人もいますが、それはごく一部です。

新築物件への投資はリスクがつきもの。

初心者や自己資金が少ない人は手を出すべきではありません。

物件の良し悪しを自分で判断できるように、基礎知識の習得や情報収集に励みつつ、資産形成に取り組める程度の自己資金を貯めることを優先しましょう。

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著者紹介

不動産投資塾編集部
不動産投資塾編集部

投資への関心が高まる中で、高い安定性から注目を集める不動産投資。しかし不動産業界の現状は残念ながら不透明な部分が多く、様々な場面で個人投資家様の判断と見極めを要します。一人ひとりの個人投資家様が正しい知識を身に付け、今後起こり得るトラブルに対応していくことが肝要です。私たち一般社団法人首都圏小規模住宅協会は、投資用不動産業界の健全化を目指す活動の一環として本サイト「不動産投資塾新聞社」を介し、公平な情報をお送りいたします。

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