不動産投資の最新動向
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2020年7月31日(金)
家賃収入だけで生計立てるのは難しい・・・実現するための具体的な方法とは
いつかはサラリーマンをリタイアして、家賃収入で悠々自適に暮らしたい……不動産投資を行う人の中には、そんな夢を持っている人もいるかもしれません。当然、簡単なことではありません。不動産投資の収入のみで暮らすにはどの程度の家賃収入が必要なのか、現実的に考える必要がありそうです。
家賃収入のみで暮らすための試算
まず、家賃収入のみで暮らすのは、どれほどの手取り収入があればいいのでしょうか。
田舎で一人でつつましく生きていくのであれば、年収は400万円もあれば十分なはずです。
しかし、家族を養うとなればもっと多くの収入が必要になりますし、そもそも生活を切り詰めてまで家賃収入のみで暮らすのにこだわるのが、果たして賢明なのかという疑問が生じます。
ここは、比較的余裕を持って生活ラインとして、「年収800万円を不動産投資で稼ぐ」ことを基準に設定しましょう。
※サラリーマンの時よりは安定しない前提のため、平均年収より高くしております。
では、家賃収入が年に800万円に達するのには、どれくらいの物件が必要なのか。
家賃7万円の物件を基準にすると、以下のようになります。
8,000,000円÷(70,000円×12ヶ月)=約9.5戸
収入が年800万円に達するのには、約9.5戸の物件を所有すればいいことになります。
しかし、この計算はあくまでも「売り上げ」しか考慮していません。
ローンの支払いや管理手数料、物件修繕費など、賃貸物件を経営していることでかかる経費がまったく入っていないのです。
そこで、先ほどの物件の家賃収入7万円からローン返済と経費を引き、毎月2万円が手元の利益になるとして再計算してみましょう。
8,000,000円÷(20,000円×12ヶ月)=約33.3戸
年収800万円を稼ぐためには、30戸以上が必要。現実的なラインを設定すると、ハードルが一気に上がることがわかります。
不動産を持っていれば減価償却によって所得税が減ることを期待できますが、代わりに物件の取得税や固定資産税といった別の税金もかかってくるので、実際に33戸持っていれば安泰だとも言い切れません。
また、それだけの数の物件を購入するのにどれほどのお金が必要か、というのも重要なポイントです。
仮に、2500万円のワンルームマンションを5戸、7000万円の8世帯一棟アパートを2戸、1億5千万円の13世帯一棟マンションを保有して合計34戸を保有すると計算すると、購入総額は4億1500万円にもなります。
不動産投資を長期間やっていて、属性のいい人でもこれほどの融資を得ることはなかなかできません。
不労所得で悠々自適、というのは現実的にはかなり難しい道なのです。
不動産収入のみに頼るのは非常にリスキー
また、不動産収入のみで暮らしていくのには、大きな危険があります。
ローン総額が大きくなりすぎるのです。
ローンとはつまり借金です。
いくら、収益を生み出してくれる不動産が手に入るといっても、先ほどの例でいえば4億円を超える借金を抱えることになります。
当然、金利も含めた月々の返済額は膨大になり、何かひとつのことで収入が落ちてしまえばそれだけでローンが支払えない状態になってしまいます。
また、賃貸収入のみで暮らすといっても、大家が何も仕事をしない、というわけにはいきません。
何十戸も物件があればトラブルや入居者の入れ替わりは常に発生しますし、管理会社に可能な限り任せていても、大家が決めなくてはいけない事項の確認が頻繁に来ることになります。
悠々自適のつもりがむしろ忙しくなってしまう、ということになりかねないのです。
本業があることのリスクヘッジ効果は大きい
その点、本業を持ちながら不動産投資をするメリットは非常に大きいです。
まず、不動産投資の収入の落ち込みが生じても、本業の収入でカバーできること。
不動産投資では、一時的に退去者が増えて収入が減ったり、天変地異の影響で家賃が入らなったりすることは十分にあり得ます。
新型コロナウィルスのまん延がいい例で、入居者の家賃滞納に悩んでいる大家も存在するのです。
しかし、本業があれば、本業の給与は賃貸経営からは切り離した収入になります。賃貸経営のほうが沈んだとしても、本業を頑張ってカバーすることができるのです。
また、安定した本業があるとローンを組みやすいのも大きなメリットです。
よくない物件を買ってしまった後に買い替えをしたり、いいタイミングで一気に物件購入に走ったりするためには融資が必要不可欠で、本業の評価で融資が得られると非常に有利なのです。
家賃収入だけで暮らすなら不動産を本業にする覚悟で
以上のように、不動産投資でサラリーマンをリタイア、というのはあまりお勧めできる選択肢ではありません。
家賃収入のみで暮らすことを本気で考えるのならば、自分で宅建士の免許を取って、不動産会社を立ち上げるほうがいいでしょう。
売り上げ規模が大きいのであれば、不動産業者として物件を経営したほうが、経費や融資の面でメリットが大きくなります。
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著者紹介
不動産投資塾編集部不動産投資塾編集部
投資への関心が高まる中で、高い安定性から注目を集める不動産投資。しかし不動産業界の現状は残念ながら不透明な部分が多く、様々な場面で個人投資家様の判断と見極めを要します。一人ひとりの個人投資家様が正しい知識を身に付け、今後起こり得るトラブルに対応していくことが肝要です。私たち一般社団法人首都圏小規模住宅協会は、投資用不動産業界の健全化を目指す活動の一環として本サイト「不動産投資塾新聞社」を介し、公平な情報をお送りいたします。