不動産投資の最新動向
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2021年9月30日(木)
不動産投資の損切りはいつ判断する? 損切りのタイミングを誤って悲惨な状態に陥った投資家たち

数千万円、場合によっては数億円以上という大金を費やす不動産投資。
それゆえ「この投資は失敗だった」と薄々感じていても、それを認めて損切りしようとは、なかなか決断できないものです。
その結果、赤字額が毎月積み上がっていくことに……。
それでは、損切りはどのようなタイミングで行なえばよいのでしょうか。
「損切り」とは?
そもそも「損切り」とは、株式やFX投資でよく使われる言葉。
「これ以上所有していても赤字額が増えていくだけなので、損をすることは明確だが、あえて売却する」という選択を指します。
損切りするべき3つのタイミングとは?
赤字への対策を先延ばしにするということは、そのぶんだけ損失が増加するということです。
「気づいたときには、どう考えても穴埋めできない状態になっていた」というケースも少なくありません。
損切りをするべき具体的な3つのタイミングを紹介しましょう。
タイミング①
損益分岐点まで家賃を下げても空室が埋まらない
いくら空室が埋まっても利益が出なければ意味がありません。
タイミング②
周辺の人口が激減することが明確になった
近くにあった大学の移転や大型商業施設の撤退などで、周辺の人口が激減することがあります。
タイミング③
大規模修繕工事の積立金が足りていない
マンションの場合、10年から15年ごとに外壁の塗り替えなどの大規模修繕工事を行ないます。
この費用は各区分所有者が毎月積み立てていますが、いざ工事となったときにその金額が足りなくて追加費用を求められることがあります。
その積立額は管理組合の資料を確認すれば分かるので、近いうちに大規模修繕工事が行われる予定で足りていないようなら、損切りのタイミングといえるでしょう。
実際にあった損切り失敗例
ここで、実際に損切りに失敗した例を見てみましょう。
不動産会社の「今は赤字でも、将来的には黒字確実!」の言葉を信じたが……
ある日Sさんは、都内の投資用新築ワンルームマンション(2500万円)を提案されました。
その収支計画書を確認すると、家賃収入からローンの返済、固定資産税などを差し引いて毎月1万円の赤字。
「これでは投資をする意味がない!」とSさんは営業担当者へ詰め寄りました。
すると彼は、「それでもローンが完済した30年後に2000万円で売却できれば、黒字になるんです」と、ノートに計算式を手書きしました。
マイナス分
1万円×12カ月×30年=360万円
2000万円(30年後の売却額)―360万円=1640万円の黒字
Sさんはこの言葉を信じ、物件の購入を決断。しかし2年後、はじめて空室が出てしまいました。
管理会社に相談すると、「家賃を1万円下げなければ空室は埋まらない」といいます。
Sさんは渋々家賃の値下げを承諾。これで毎月の赤字額は2万円、年間24万円となってしまいました。
しかし、これで終わりではなかったのです。
ついに売却を決断、査定を依頼すると……
それ以降、周辺に競合する物件が乱立し、退去者が出るたびに家賃を下げざるをえなくなりました。
その結果、購入して5年後には、なんと年間40万円近い赤字に……。
「いくら35年後に黒字となっても現在の生活が耐えられない!」――ついにSさんは損切りを決断しました。
そこで不動産会社へ査定を依頼すると、「1900万円」という金額を提示されました。
「30年後でも2000万円の値が付くはずではなかったのか!?」と憤ったSさんが不動産会社に詰め寄ります。
すると、「全体的に不動産相場が下がっているうえに、周辺に競合する物件が増えたのでこの価格になります。もう上がる見込みはないので、今のうちに売ったほうがいいですよ」とのこと。
結局Sさんは、毎月の赤字額と合わせて合計700万円以上の損失を出して売却することになりました。
損切りは早ければ早いほどやり直しが利く
株式の世界では、「儲からない株は損切りして、ほかの株を買う」というサイクルが、当たり前のように行なわれていますが、実は不動産投資にも同じことがいえます。
損切りは、早ければ早いほど損失額が小さくなり、売ったお金を元手に新たに黒字物件を購入すれば、失敗を穴埋めすることができるのです。
損切りを思い立ったときが、ベストなタイミングといえるでしょう。
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