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競売物件購入はやばい!? 悲惨すぎる投資家たちの末路

目次

「競売物件」と聞くと、どのような物件を思い浮かべるでしょうか?

不動産投資家であれば「競売物件」という言葉じたいは聞いたことがあるかもしれませんが、その実態については意外とあまり知られていないのです。

今回の記事では、競売物件の基礎知識とともに、不動産投資で競売物件に手を出してしまったために悲惨な末路を辿った投資家の事例を解説します。

競売物件は通常の物件となにが違うのか?

「競売物件」とは、持ち主のローン返済が困難になったために強制的に売却される物件のことです。

不動産を購入するときには、購入する土地や家などを担保に金融機関から借り入れを行なうのが一般的。

担保となった不動産には、銀行によって「抵当権」が設定され、競売にかけられる際には債権者がこの抵当権を行使することになります。

つまり、借金のかたに銀行が物件を取り上げ、競売にかけて債権を回収しようとする仕組みが競売です。

競売物件の入落札は不動産会社でなく、裁判所を通じて行ないます。

競売物件の種類としては、マンションや一戸建てなど、住宅ローンの担保になった居住用不動産のほか、事務所やビルなどの商業用不動産など、じつにさまざま。

競売物件は一般市場では販売されず入札形式で売却されるのも、通常の不動産売買と異なる点です。

競売物件を購入するメリットとデメリットとは?

メリットは「安い・物件種類が多様・手続きが早い」!

競売物件のメリットは次の3つが挙げられます。

①購入価格が安い
②多種多様な物件が売りに出される
③権利手続きがシンプルで早い

競売物件の最大のメリットは、一般市場の物件相場よりも安く購入できる点。

築年数・立地・広さなどの条件が類似している一般物件と比較して、相場の2〜4割程度安い価格で購入できます。

また、競売物件には、一般市場には流通しない特殊な形状の土地や極端に狭い物件などが多く含まれることも大きな魅力。

ワケありで特殊な物件は安く買えるので、リフォームなどでうまく価値を上げれば大きな利回りが期待できます。

さらに競売物件は、通常の物件売買と違い、所有権の移転登記や抵当権の抹消登記などの面倒な手続きを裁判所が行なってくれます。

基本的には裁判所の指示に従うだけなので、手間がかかりません。

デメリットは「自己責任・限定的な情報開示・契約不適合責任なし」!

競売物件のデメリットは、次の3つです。

①物件引き渡しは自己責任! 不法占拠の可能性も
②内見ができず情報が限定的
③契約不適合責任(旧:瑕疵担保責任)がなく修繕は自己負担

競売物件の権利手続きはすべて裁判所が行なってくれますが、その後の物件引き渡しは自己責任となります。

そのため、競売成立後も元の所有者がそのまま勝手に住み続けているケースは珍しくありません。

このように占有者が退去しない場合には、物件を明け渡すように落札者自身で交渉するか、「強制執行の申し立て」という法的手段を講じる必要があります。このように面倒が増えるのはデメリットといえるでしょう。

くわえて、一般的な物件売買と大きく異なるのが、競売物件は内見ができない点。

資料は、裁判所が提供する「物件明細書」「現況調査報告書」「評価書」などしかありません。

他の情報源として、競売情報は「BIT不動産競売物件情報サイト」で公開されています。

そして最大のデメリットは、競売物件では、契約不適合責任が認められない点でしょう。

契約不適合責任とはかつて瑕疵担保責任と呼ばれていた法律用語で、売却した物件に重大な欠陥があった場合に売主が責任を取らなければいけない規定です。

つまり、競売物件は購入後に重大な欠陥が見つかったとしても、損害賠償請求や契約解除はできません。

「契約不適合責任(旧:瑕疵担保責任)」については、コラム「不動産売却前に知っておこう! 売主の責任を追及される「瑕疵担保責任」とは?」もあわせてご参照ください。

競売物件を安易に購入した投資家たちの失敗事例

競売物件による不動産投資は、デメリットはありますが、初期費用を大きく抑えられるため、投資家によっては魅力も大きいもの。

ただし、「安い」というメリットばかりに惑わされ、悲惨な末路を辿ってしまった例は、決して珍しくありません。

ケース① 安価な一戸建て物件はネズミの巣窟だった!?

投資家Aさんが購入したのは、東京へ一時間以内で出られる郊外の一戸建て物件。

相場は600万〜800万円の物件が、なんと競売によって180万円という破格の値段で購入できました。

Aさんは、「もしかしたら事故物件なのでは?」と疑ってはいましたが、蓋を開けてみるともっと違う理由が見つかりました。

買った物件を実際に見てみると、裁判所の事前提供書類では把握できないほどの汚さで、ベランダは錆び、外壁はボロボロで、内部はホコリだらけだったのです。

最悪なのは、屋根裏に鳥が住んでおり、大量のネズミも駆けずり回っていたことです。さらに、トイレが汲み取り式だったせいもあって近所には悪臭が漂っていました。

ここまで汚いと、クリーニングした程度で入居者をつけるのは困難です。

Aさんは結局、物件を建て替えることになり、追加で1000万円以上が余分にかかってしまいました。

ケース② 行方不明の住人が、想定外の場所で発見!

東京都内の競売物件を落札した、不動産業者B社の事例です。

その物件は家主が借金を返済できなくなり、東京地裁が差し押さえ、競売にかけられました。内見は行なえず、裁判所職員の調査資料をもとに不動産鑑定士が物件価格を見積もるという、よくある競売の流れがとられました。

調査の結果、とくにいわく付きの物件ということもなく、前の家主が借金苦だったというだけの中身は普通の一戸建て物件だとB社は判断し、物件を落札しました。

しかし、落札後に最悪の事態が……落札した不動産業者が物件を訪れて中を調べていると、車庫に停められた車から想像を絶するものが出てきたのです。

なんと、それは借金が返せなくなって車の中で自殺した前の家主の遺体でした。

執行官は決まり通りの調査はしますが、そこまで詳細な調査を義務として課されているわけではないので、車の中の死体を見つけられなかったのです。

B社は物件を落札後、マンションに建て替えて投資用物件として販売する予定でした。

ただ、この想定外の事件によって物件は事故物件になり、告知義務を負うことになったのです。

自殺者の出た事故物件ともなれば、売りづらいのは想像の通りです。

競売物件投資を侮ってはいけない

競売物件投資は購入金額面で大きなメリットがある一方、落札してみたらとんでもない物件だった、という事実が後から発覚しがちです。

不動産投資初心者など、不慣れな人が手を出すとトラブルも多く、失敗するリスクは満載です。

競売物件を扱う専門業者もいるので、競売物件での不動産投資を検討する場合、まずはプロに相談してみることをおすすめします。

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著者紹介

不動産投資塾編集部
不動産投資塾編集部

投資への関心が高まる中で、高い安定性から注目を集める不動産投資。しかし不動産業界の現状は残念ながら不透明な部分が多く、様々な場面で個人投資家様の判断と見極めを要します。一人ひとりの個人投資家様が正しい知識を身に付け、今後起こり得るトラブルに対応していくことが肝要です。私たち一般社団法人首都圏小規模住宅協会は、投資用不動産業界の健全化を目指す活動の一環として本サイト「不動産投資塾新聞社」を介し、公平な情報をお送りいたします。

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