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不動産投資の最新動向

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不動産投資を始めていい本当の年収レベルとは?

目次

不動産投資を始めるにあたっては、年収がいくらあるのかが、ひとつの判断材料となります。

「年収400万円からの」や「年収500万円から始める」と謳った不動産投資書籍が多数発売されていますが、大多数にとって「自分の年収」というのは、不動産投資に取り組むべきスタート地点となっているのです。

それでは、はたして年収条件がいくらであれば、安心して不動産投資に取り組めるのでしょうか。

今回は年収ごとに受けられる融資の特徴や、高年収でも気をつけるべき点を紹介していきます。

不動産投資で融資を受けられる最低条件とは

サラリーマンが不動産投資を始める場合、融資を受けてローンを返済しながら取り組むのが一般的です。

金融機関から融資を引き出すにあたり、年収の最低条件はいくらになるのでしょうか。

不動産投資ローンの基準年収は700万円から?

金融機関が不動産投資を検討するサラリーマンの融資を審査するにあたり、年収を基準にすることは事実です。

その基準年収は、700万円といわれています。

年収別にみると、年収1000万円以上の場合は80%、年収700万円以上の場合は50%。年収500万円以上の場合は30%の金融機関が融資を検討してくれます。

半数の金融機関が検討してくれるということで、年収700万円がある種の基準となるわけです。

年収で変わる融資条件や不動産投資における注意点

基準の年収は700万円とはいえ、自己資金額や、大企業勤務か中小企業勤務なのかなど、審査ではさまざまな要因が絡み合って融資額が決定します。

年収300万円でも融資がおりる可能性もあれば、年収700万円以上でも融資がおりないパターンもあります。

ここで、年収ごとの不動産投資や融資の特徴や落とし穴を解説しましょう。

年収300万円〜400万円:融資がおりても安心できない!

「年収300万円でも、安定収入のあるサラリーマンなら絶対に儲かる!」と根拠のない文句で営業する不動産業者は、少なからず存在します。

このような年収300万円〜400万円のサラリーマンが不動産投資をする際に、ポイントとなるのが「自己資金ゼロでも融資がおりる」という煽り文句。

フルローンやオーバーローンという方法を用いれば、自己資金のない年収300万円のサラリーマンでも不動産投資を行なうことは、理論上では可能です。

ただし、貯金などの自己資金なしで不動産投資を始めると、賃貸経営がうまくいかなかった場合、ほとんどが破産への道を辿ることになります。

ここで注意したいのは、業者がリスクについてもきちんと説明をしてくれるかどうかという点。

不動産営業マンは「売ること」が最大目的です。そのため、漠然としたイメージで「必ず儲かる」と煽る場合が多く、リスクについて言及しない営業マンがたくさんいます。

しかし、不動産投資は家賃収入でお金が入るだけでなく、固定資産税などの税金負担のほか、管理費や修繕費などのランニングコストがかかります。

さらに、自己資金がないと、空室が出た際に入居者を募集するための広告費や補修・リフォーム費用すら出すことができません。

いくら計算上は家賃収入で毎月のローンを返済できるとしても、いずれ急な出費で賃貸経営が破綻する可能性は高いのです。

年収500万円:属性次第で融資に通るが夢を見るのは危険

2020年9月に国税庁が発表した調査によると、日本人の平均年収は436万円です。

この結果から、一般的なサラリーマンでは年収が500万円ていどと類推できます。

年収500万円程度の人の属性評価としては、物件価格の20%を自己資金から捻出することができれば、全額融資を引いて不動産投資を始めるのも夢ではありません。

逆に自己資金がほとんど用意できないという場合、年収500万円のサラリーマンにメガバンクや地方銀行が投資用物件のために融資を通してくれることはないでしょう。

可能性があるのは、高金利のノンバンクなどの金融機関です。

ただ、このような金融機関のローンは金利が高く、不動産投資を始められてもローン地獄に陥ってしまう可能性が高いです。

高属性・高収入:悪質な不動産会社にカモにされる不動産投資の闇

一方、高年収であっても不動産投資の失敗事例は続出しています。

年収1000万〜2000万円の外資系サラリーマンや医師などでも不動産投資に失敗し、破産に追い込まれた例も目だちます。

なぜ、このような悲劇が起こるのでしょうか。

まず、高年収の人たちは社会的な信用があるため、金融機関からの融資は、よほどでない限り通るものです。

高額で良質な物件をフルローンで購入できる可能性は充分に高く、実際に不動産営業マンの口車に乗せられて複数物件を購入するケースもざらにあります。

失敗するパターンで多いのは、不動産会社の「節税メリット」の言葉に煽られて、物件の収益性よりも節税にばかり期待して赤字物件を購入する場合です。

結局、手許にはお金が残らないどころか、毎月の持ち出しが発生したり、まったく借り手がつかず家賃収入がなかったりと、本末転倒の事態に陥ることも珍しくないのです。

大事なのは年収ではなく、カモにされない知識と情報収集

このように、自分の年収だけを不動産投資の判断基準にすると、のちに痛い目を見ることになります。

年収300万円であっても、年収1000万円の高属性サラリーマンであっても、不動産営業マンにはそれぞれに対応した営業手法が存在します。

もちろん、年収が高いほうが優良物件を買える可能性は高いですが、不動産会社の売り込みを鵜呑みにせず、自分でしっかりと購入物件を目利きするのが鉄則です。

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著者紹介

不動産投資塾編集部
不動産投資塾編集部

投資への関心が高まる中で、高い安定性から注目を集める不動産投資。しかし不動産業界の現状は残念ながら不透明な部分が多く、様々な場面で個人投資家様の判断と見極めを要します。一人ひとりの個人投資家様が正しい知識を身に付け、今後起こり得るトラブルに対応していくことが肝要です。私たち一般社団法人首都圏小規模住宅協会は、投資用不動産業界の健全化を目指す活動の一環として本サイト「不動産投資塾新聞社」を介し、公平な情報をお送りいたします。

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