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2021年2月28日(日)
外国人受け入れの裏話! 本当にあった賃貸トラブル
多くの不動産オーナーが物件の空室に悩むなか、空室対策として、外国人入居者の受け入れが注目されています。
しかし、外国人入居者を受け入れて、文化の違いやコミュニケーションのすれ違いなどのために、オーナーやほかの入居者、近隣住民との間でトラブルが相次いでいるという実態があります。
外国人入居者にまつわる本当にあった賃貸トラブル事例と、トラブルを防ぐコツや心構えを紹介します。
賃貸物件に住む外国人は多い
そもそも、日本には何人ぐらいの外国人が住んでいるのでしょうか。
2020年6月末時点では、在留外国人は約288万5,000人(出入国在留管理庁HP在留外国人統計(旧登録外国人統計)統計表を参照)。
2020年は新型コロナの影響もあってやや減少していますが、それまでは毎年増加で推移していました。
国勢調査によると、在留外国人の約半数が賃貸住宅に居住しているようです。
外国人居住者受け入れのメリットとデメリット
ここで、外国人居住者を受け入れるメリットとデメリットを具体的に見てみましょう。
空室対策としての外国人受け入れで、安定収益を生み出せる!
外国人居住者を受け入れる大きなメリットとしては、物件の空室を埋められるということがあります。
実は、外国人というだけで受け入れを拒否する賃貸住宅は多いのです。
「日本人の保証人がいないと住むことができない」といった条件を設ける物件もあります。
しかし、特に都内を中心に賃貸物件が供給過多となっている昨今、日本人入居者を取り合う競争が激化しています。
そこで注目されるのが、賃貸ニーズはあるのに、受け皿となる物件が少ない外国人です。
トラブルを回避する対策を取ったうえで外国人入居者を受け入れれば、日本人限定では空室だらけになってしまう物件でも、満室経営が実現する可能性があるのです。
トラブル続出!? 外国人居住者との文化や言語の違い
一方、外国人入居者を受け入れるデメリットは、なんといってもトラブルの多さです。
外国籍の人々は国ごとに文化が異なるため、そもそもの考え方が日本人とは異なるものです。
言語についても、日本に住んでいても日本語が話せない外国人は、決して珍しくありません。
外国人入居者に迷惑行為を注意しても話が通じなかったり、注意書きが読めずに部屋の設備を故障させてしまったりするトラブルは、非常に多く起こっています。
ほかにも、海外では日本と異なり「ホームパーティ」という文化が根づいているためか、一人の外国人が居住しているマンションやアパートに外国人同士で集まって騒ぎ、近隣住民から苦情が殺到するケースもあるようです。
外国人居住者とのトラブル事例
外国人入居者の受け入れによるトラブルについて、さらに詳しく解説しましょう。
①家賃を滞納して母国に逃げ帰る
外国人居住者とのトラブルで特に注意が必要なのは、家賃滞納です。
家賃滞納は外国人に限った話ではありませんが、恐ろしいのは、外国人入居者は家賃滞納したまま突然失踪するのが珍しくないということです。
日本人であれば、入居者が音信不通になっても探しようがありますが、外国人が母国に逃げ帰ってしまえば、探し出すのは事実上不可能です。
②無断で又貸しを行なう
決して物件をシェアハウスとして貸し出しているわけではないのに、友人や職場の同僚などの同胞を招いて集団で住み着いてしまうのも、外国人入居者の受け入れでよくあるケースです。
部屋をシェアするだけでは飽き足らず、無断で別の外国人居住者に又貸ししていた事例もあるようです。
複数人の見知らぬ外国人がさかんに出入りしているとなれば、物件の評判悪化は必至です。
③大勢集まった外国人による騒音被害
②で述べたように、複数の外国人が一つの部屋に集まると、騒音被害に繋がります。
すべての外国人がそうではありませんが、外国人は日本人に比べて大きな声で会話する傾向にあるので、余計に騒音被害が起こりやすいのです。
外国人入居者による騒音被害が生じれば物件の評判が悪くなるだけでなく、外国人入居者と近隣住民が揉め事を起こし、刑事事件に発展するリスクも生じます。
④勝手に部屋を改造する
日本の賃貸物件では、基本的に部屋の改造はタブーです。
しかし国によっては、賃貸物件でも部屋の塗装や家具の改造などは当たり前という国もあります。
そのような国から来た外国人を入居させ、勝手に部屋を工事して間取りを変えられたりしてしまうケースもあります。
入居者が物件を勝手に改造した場合、退去時にオーナーから原状回復費用を請求できますが、まず入居時に、日本の賃貸契約のルールをしっかり理解してもらう必要があります。
⑤生活ルールを無視する
賃貸住宅には、物件によって細かな生活上のルールが設定されています。
たとえば、日本ではゴミの分別についてルールが定められていますが、外国の場合は燃えるゴミと燃えないゴミを仕分けしない国があり、好きなときにゴミ出しできる国も珍しくありません。
外国人入居者が母国の慣習に従って生活し、決められたルールに従ってもらえないと、ゴミ捨て場が汚れたり異臭がしたりと、トラブルの引き金になります。
さらに、ペットに対する考え方も日本と海外では大きく異なる場合があります。
外国は賃貸住宅でのペット飼育に寛容な国が多いので、日本の「ペット不可」というルールを理解してもらえないことがあるのです。
ペット禁止のルールは理解してもらえても、「うるさくなければかまわないだろう」と勝手に解釈して、鳴き声のないウサギや爬虫類を飼育する事例もあります。
鳴き声がないペットでも、糞尿などの異臭がトラブルの原因になりえます。
トラブルを未然に防ぐには? 外国人対策と予防法
外国人入居者を受け入れながら、トラブルを避けて収益を得るには、どうすればよいのでしょうか。
重要事項の事前説明を徹底し、署名をもらう
外国人入居者も、トラブルを起こしたくて起こしているわけではありません。
日本の賃貸契約の慣習について圧倒的に理解不足・情報不足なだけなのです。
大切なのは、契約時・入居前の説明。賃貸契約書や重要事項説明の内容を説明するだけでなく、日常生活のルールを記載した複数言語のガイドラインを用意するなどして、外国人の理解を丁寧に促すことです。
国土交通省が公表している入居申込書等見本を利用することも、一つの手。
さらに、入居時に説明した内容について、書面を用意して署名してもらうという方法も有効です。
入居後に問題を起こした際、退去してもらいやすくなります。
トラブル回避のために管理会社や保証会社を活用する
外国人入居者の受け入れで起こるトラブルは、言語の違いによるコミュニケーションの取りづらさもあり、オーナー自身で対処しようとすると非常に大変です。
そこで、管理会社と保証会社を活用することをおすすめします。
管理会社のなかには、外国人入居者に強い管理会社が存在します。
普通の管理会社よりは費用が高くつくかもしれませんが、トラブルを防げるメリットを考えれば、出費の額は微々たるもの。
保証会社についても、外国人専門の保証会社を利用することができます。
そうした保証会社を活用すれば、日本における生活マナーを入居者に指導してくれるほか、家賃保証や原状回復費用の負担など、さまざまなサポートを受けられるというメリットがあります。
外国人受け入れは効果的な空室対策か?
日本人の人口減少に伴い、賃貸経営の空室リスクは不動産オーナーにとってますます深刻さを増す問題です。
外国人入居者の受け入れは、有効な空室対策になりえます。
ただし、今回解説したとおり、外国人入居者にまつわるトラブル対策にはかなりの労力と手間がかかります。
事件などが起きればオーナーが大きな損害を被ってしまう危険もあるので、空室対策をあきらめて早めに物件を売却してしまうのも、一つの選択肢です。
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著者紹介
不動産投資塾編集部不動産投資塾編集部
投資への関心が高まる中で、高い安定性から注目を集める不動産投資。しかし不動産業界の現状は残念ながら不透明な部分が多く、様々な場面で個人投資家様の判断と見極めを要します。一人ひとりの個人投資家様が正しい知識を身に付け、今後起こり得るトラブルに対応していくことが肝要です。私たち一般社団法人首都圏小規模住宅協会は、投資用不動産業界の健全化を目指す活動の一環として本サイト「不動産投資塾新聞社」を介し、公平な情報をお送りいたします。