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不動産価値の「オモテ」と「ウラ」ーー郊外型マンションに要注意のワケ

目次

郊外のマンションは、都市圏のマンションと比較して立地は悪くなりますが、「広い」「価格が安い」といった魅力で不動産投資家から人気です。

新型コロナウイルスの感染拡大により、都心から郊外へ転出する人も増え、郊外マンションへの投資に注目する人はますます増えているようです。

しかし、郊外の物件には都市の物件にはない注意点があるので、安易に郊外マンション投資に手を出せば、失敗は必至。

今回の記事では、郊外型マンション投資のオモテとウラを解説し、物件の選び方を見直すための情報を提供します。

資産価値が高いマンションの条件

不動産の資産価値には、売却可能な価格を示す「売却価値」と、家賃収入で得られる利益から算出する「収益価値」という2種類があります。

売却価値は、築年数とともに下落していきます。しかし、売却価値が落ちたとしても、賃貸物件として貸し出したときに高収益が生み出せるのであれば、収益価値の観点から見れば資産価値が高いといえます。

収益価値は、一戸建てよりもマンションのほうが高い傾向にあります。一般的に、同じ立地であれば一戸建てを一軒賃貸に出すより、複数のマンションを購入してそれぞれ賃貸に出すほうが合計の収益性は高くなるからです。

さらに、マンションは耐用年数が47年の鉄骨鉄筋コンクリート造(SRC造)や鉄筋コンクリート造(RC造)が主流であり、これらの構造の物件は、木造が多い一戸建て物件よりも資産価値が高くなります。

好立地の都市圏マンションは購入が困難

不動産の資産価値を高めるうえで、特に大切なのが立地です。

立地がよければ、売却価値と収益価値の両方が高くなり、買い手や借り手に困ることが少ないからです。

具体的には、下記の6つの立地条件であれば、資産価値が高まります。

ポイント①:駅からのアクセスが良好
ポイント②:生活しやすい利便性の高い場所にある
ポイント③:湾岸エリアや高層階の部屋で景観が良い
ポイント④:再開発予定や大規模商業施設の建築予定があるなど将来性が高い
ポイント⑤:「住みたい街ランキング」等で人気エリアである
ポイント⑥:犯罪が少なく安全性の高い街にある

これらの条件に当てはまるのは、大半が都市圏のマンションです。

ただし、上記の条件に該当する都市圏のマンションは競争率が高く、購入価格が高いというハードルがあります。

そこで注目されるのが、郊外型マンションへの投資です。

人気が高い郊外型マンションの「オモテ」

郊外マンションへの投資には、どのようなメリットがあるのかを見てみましょう。

首都圏に比べて物件価格が圧倒的に安い

郊外マンション投資を行なううえで、一番のメリットは購入価格の安さです。

区分マンションでみてみると、東京23区が平均価格2,114万円なのに対し、横浜市が平均価格1,058万円となっています。(不動産投資と収益物件の情報サイト健美家の市場動向四半期レポート<2020年10月~12月期>より)。
物件価格が安ければ、資金がなくローンもあまり多く得られない人でも投資できる可能性が出てきます。

資金力がある人にとっても、郊外なら複数の物件を買ったり、よりグレードの高い物件を買ったりできるのです。

都市圏に比べて利回りが抜群に高い

郊外の物件は価格が安いですが、賃貸に出した際の賃料は、購入価格ほどには都市圏と変わりません。

したがって、都市圏に比べて郊外の物件は、高い投資利回りが狙えるのです。

上記と同じレポートによると、東京23区の物件の平均利回りが6.04%なのに対し、横浜市は8.49%です。

千葉主要部については平均利回りが9.94%もあり、満室で運用できた場合、都市圏よりも格段に儲けられる可能性があります。

ローン破綻につながる郊外型マンションの「ウラ」

郊外型マンションへの投資は、購入価格が安くて利回りが高いというメリットが目につきますが、リスクも潜んでいます。

空室リスクが高い

新型コロナウィルスの感染拡大によって都心から郊外への転出が増えていますが、それでも郊外のマンションは都市圏の物件に比べて空室率は高いです。

郊外には、駅から歩けない「バス便」の地域や、自家用車が必須の不人気な地域もあり、高利回りにつられて物件を購入したものの入居者が全然入らない、というケースが散見されます。

特に、一棟丸ごと購入した場合、物件選びを間違えると収支は悲惨なことになります。

過去の入居状況が記載されたレントロールをしっかり確認し、満室に近い状態で経営できる確信を持てる物件だけに投資するようにしましょう。

賃貸ニーズが突然消失する危険がある

郊外のマンションは、賃貸需要を工場や大学といったひとつの大規模施設に頼っているケースが少なくありません。

これらの施設がなくなってしまうと、もともと好立地とはいえない郊外マンションは賃貸需要が完全に消えてしまうのです。

学生の入居が見込める優良物件として売買されていた郊外型の私立大学近くのマンションでは、売却価格が二束三文になった例もあります。

大学の学部の大半が都心へ移転し、空室だらけになってしまったのです。

不測の事態を想定し、将来にわたり賃貸需要があるのかの見込みを立てなければなりません。

郊外マンションのローン破綻者が続出!?

新築マンションブームが巻き起こった2014年頃、低年収のサラリーマンまでもが続々と賃貸経営に乗り出しました。

「頭金なしで多額の融資が組める」という不動産会社の案内を信じ、多くのサラリーマンが不動産投資に挑戦したのです。

しかし、そうした無理な投資に踏み切った投資家が、後からローンを払えずに破綻してしまうケースが多発しました。

とりわけローン破綻者が多いのが、郊外マンション購入者なのです。
郊外マンションでのローン破綻者が多い理由は、物件の値下がりです。

通常、新築マンションは10年程度で購入時の5〜6割の価格に落ち着くといわれています。

しかし、郊外型の場合は価格の下がり幅が大きくなりがちで、投資家が賃貸経営の赤字に耐えきれずに物件を手放しても、売却後に多額のローンが残ってしまうケースが散見されたのです。

残ったローンを本業の収入から返済できなければ、行き着く先は自己破産しかありません。

郊外物件はハイリスク・ハイリターン

高利回りの物件を割安に購入できる可能性が郊外マンション投資の魅力ですが、一方で都市圏の物件に比べてリスクが高いのが特徴です。

投資にローリスク・ハイリターンの手法などはなく、高いリターンを得るためには相応のリスクを背負わなければいけません。

郊外物件への投資に挑戦するならば、都市型物件よりも購入前のリスク分析をより綿密にしましょう。

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著者紹介

不動産投資塾編集部
不動産投資塾編集部

投資への関心が高まる中で、高い安定性から注目を集める不動産投資。しかし不動産業界の現状は残念ながら不透明な部分が多く、様々な場面で個人投資家様の判断と見極めを要します。一人ひとりの個人投資家様が正しい知識を身に付け、今後起こり得るトラブルに対応していくことが肝要です。私たち一般社団法人首都圏小規模住宅協会は、投資用不動産業界の健全化を目指す活動の一環として本サイト「不動産投資塾新聞社」を介し、公平な情報をお送りいたします。

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