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石川貴康の超合理的不動産投資術

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プロはここで見抜く!絶対につき合ってはいけない「悪徳仲介業者」の特徴

目次

毎日のように知らない仲介業者から物件の売り込みのメールが届きます。ワンルームマンション投資の勧誘の電話がきます。どこからメールアドレスや電話番号を探すのかわかりませんが、しつこくやってきます。彼らの正体はブローカーであり、「売るだけの仕事」をしているのです。投資に関する知識はあまりなく、決まったマニュアル通りのセールス活動をしてきます。「そんなに儲かるなら自分で買い占めたらどうですか?」と思いますよね。変な話です……。このような業者ばかりなのでしょうか? 今回は「気をつけた方が良い仲介業者」、「仲介業者ではないふりをして手数料を稼ぐ隠れ仲介業者」、そして、「つき合うべき仲介業者」について解説したいと思います。

「売ることしか考えていない」が透けて見える業者

まず、避けるべきは管理実績のない「ブローカー」です。売るだけですから、売った後は知らんぷりです。

こうした業者は電話でセールスをしてきます。また、セミナーを開催して人集めをする特徴もあります。売りつけた後は、「管理業者は自分で探しましょう」と開発業者のセールスを受託するだけで、開発業者系(デベロッパー)の管理業者に丸投げして、自分たちは紹介料でさらに儲けるスキームです。

こういった業者は自分たちの稼ぎを増やすことが目的です。購入者がどうなろうと関係ないのです。ひどく高い物件や入居の難しい物件を買わされる可能性すらあります。

知人から相談を受けたケースもこのパターンでした。購入前に受けた相談でしたが、セールスマンのセールストークはレベルが低く、税法に関してもちんぷんかんぷんな説明でした。素人相手に素人が売っている、なんともいえないあきれた状況でした。

税法上の影響もつけ加えて、「よく考えた方がいい」とアドバイスしましたが、目先の儲け話に熱くなっていた知人は、最終的に購入してしまいました……。

知人の購入した物件は、たった4%程度の利回りです。かつて、私が不動産投資の入門として購入した「中古ワンルーム」は、2002年当時の表面利回りで9~10%、それでも投資回収に14年かかる計算でした。4%程度の利回りで、儲かるわけがありません。

ワンルーム投資をしていたときは、私は現金買いでした。ローンを組んだらキャッシュフローがマイナスになる恐れを考慮したのです。しかし、知人の物件は、キャッシュフローはマイナス、それなのに、利益が出てしまい税金が増える投資でした。キャッシュフローベースで見ないと、結果的にキャッシュが出ていく投資だったのです。このように、利益ベースでしか見ることができないと、判断を誤るリスクがあるわけです。

私のアドバイスは理解されず、知人は買いました。マイナスキャッシュフローの物件を買ってしまっては、永続的に投資ができなくなります。売るだけブローカーは、長期的な関係を結ぶつもりがないので、顧客が実際に儲かるかどうかなど、知ったことではないのです。

私は、良い業者を見つけたら、長期的な関係を結んでその人から買い続けます。そういう業者は、必ず儲かる物件を持ってきますし、儲からない物件は「買うべきではない」と断言してきます。本来、そういう業者をしっかりと見定め選ぶべきで、売って終わりの業者とはつき合ってはいけないのです。

「管理物件の入居率や利回りなどが提示できない業者」は危ない!

最近は巧妙になってきて、管理をしていることをセールストークで推してくる業者もいます。そうしたセミナーを開いている業者もたくさん見ました。

こういうのも管理している、こんな物件を売った後に管理していると事例を挙げてきます。どうやらテンプレートがあるようです。しかし、どれくらいの入居なのか、利回りはどうなのか、といった具体的な数値の説明がありません。ただ、「管理している」の一点張りなのです。

こうした業者も避けるべきでしょう。少なくとも、管理物件の入居率や利回りなどが提示できないと、「単に管理しています、質は問いません」という状況かもしれません。最悪ウソをついているケースもあるかもしれません。

管理実績があることをアピールして安心させて、売ったあとは……。トラブルに巻き込まれないためにも、契約前の段階で、よくよく業者の実態を調べた方が良いでしょう。

会社が信頼できても「個別のセールスマン」にも注意!

仮に仲介の「会社」が信頼できそうでも、今度は「個別のセールスマン」に注意が必要です。セールスマンが成績欲しさに、強引に売ってくる場合があるからです。

私は強引なセールスマンからは絶対に買いません。彼らは、こちらの質問にも答えず、自分がしゃべりたいことしか話しません。交渉事も成立しないし、自分の儲け本位で動くので、投資のパートナーには絶対にできないのです。

特に「今が買い時」はNGワードです。この言葉を使うセールスマンとつき合ってはいけません。買い時かどうかは、神様しかわからないし、買うタイミングを決めるのは「買主」です。

「今が買い時」という言葉は判断を狂わせる言葉です。時期的に物件価格が高い、安い、金利が高い、低い、融資がつきやすい、つきにくいという時期は確かにあります。しかし、こうしたことが有利だからといって、即「買い時」とはなりません。

そもそも投資ですから、投資が成功するかどうかが判断基準です。その基準は、家賃、入居が期待できるか、キャッシュは残るか、将来売却などの出口は描けるか、といった複合的な計算の上での話なのです。

単純に「今が買い時」などといい切れるはずがないのに、そうした言葉を使うセールスマンはいろいろな意味でつき合うに値しません。

「新築物件」「赤字物件」を勧められたら疑え!

新築物件は価格が高く、利回りが低下します。家賃を高く維持できる期間は短く、他の新築物件が出れば、高額家賃のままではそちらに入居が奪われますから、新築の投資はリスクが高いのです。

新築ばかり勧めてくる業者、セールスマンは避けるべきです。新築を売ることで手数料を稼ぐブローカーだからです。私は、最初からシャットダウンです。

一時的に流行って、今も使われているのかもしれませんが、「税金が戻ってくるから」と赤字物件を勧める業者、セールスマンも避けるべきです。

これは所得税上の「損益通算」という手法ですが、これは損失が出たときの救済措置です。そうした救済措置が常態化するような物件を買う意味はありません。所得税上は、源泉徴収で先に取られた税金が返ってくるので得したように勘違いしますが、実際は物件で損しているのです。ビジネスで考えれば、黒字の事業部と損失を出す事業部を合わせてお得だなどとは考えないでしょう。「損失を出すことが良いことだ」という思考は異常だと認識しましょう。

しかし、そうした異常なことを、さも得であるように勧めてくる業者は、まともな思考や判断ができないか、買主をとにかく買う気にさせることだけを狙ってなんでもいってくるような人です。いうまでもなく注意が必要です。

物件が魅力的でも、セールスマンがダメなら「契約しない」

また、報告・連絡・相談(ホウ・レン・ソウ)ができないセールスマンとは私はつき合いません。

大きな投資をしようとしているときに、質問に対する報告や回答が遅く、催促することが多発したり、相談なく勝手に物事を進めたりするセールスマンは買主を軽んじています。

価格交渉を依頼しても交渉経緯や結果の連絡がなく、気になる点を問い合わせてもなかなか返事が返ってこないセールスマンに私もよく出会います。少なくとも、「価格交渉打診しました、返事待ちです」とか、「問合せしました。先方の回答待ちです」とでも連絡があればいいのですが、それさえない場合、ストレスがたまりますよね。下手するとトラブルに巻きこまれるリスクすらあります。

私はホウ・レン・ソウができないセールスマンと出会ったときは、どんなに物件が魅力的でも、ケチがついたと思って投資をやめます。経験的に、物件を気に入って、セールスマンに目をつぶって買った物件は、後々トラブルになるケースが多かったからです。

洗脳的なセールストークで物件を買わせる例も…

最近は売る側も本当に巧妙になっていますし、セールスにひと噛みして儲けている「隠れブローカー」の講師、コンサルがたくさんいます。

特に気取った投資勉強会を主催しながら、投資を勧め、実は手数料を稼いでいるというケースは注意が必要です。「投資はこうすると成功する」といった、ある種の洗脳的なセールストークをして、盲目的に物件を買わせていくのです。利回りが低く、ほとんど手残りもなく、変だな、と思っても、「そういうものです。私もそうです」と黙らせるのです。

こうしたケースでは、業者から勧められた物件を、最終的に買う羽目になります。講師は手数料を稼ぎ、セミナー代を稼ぎ、その上講師として崇めたてられ、責められることなく万々歳です。最後になにかあっても「投資は自己責任」と諭して終わり。

コンサルや講師は、他人の投資に対し、責任など取るはずはないのですから、彼らが勧める物件や業者から買うなど、自ら彼らの家畜になる行為です。確かに「投資は自己責任」ですが、あのコンサルに勧められた、その講師も買っているなどというのは投資物件購入の理由になりません。自分で厳密に分析して投資をすべきなのです。

不動産投資成功のためにも「誠実な仲介業者、セールスマン」を見つけよう

注意点ばかり書いてきましたが、それには理由があります。それだけ、人のお金を奪っていくようなセールス行為やセールスに見えないように巧妙に偽装された行為が横行しているのです。まさに、「カボチャの馬車」のようなことが今も行われているのです。投資家のことなどそっちのけ、自分たちが儲かればかまわないという仲介業者、隠れ仲介業者のコンサルや講師にはよくよく注意が必要です。

一方で、投資パートナーとなってくれるような仲介業者やセールスマンは見つけたら放してはなりません。そうしたセールスマンの特徴は、

・謙虚である
・報告・連絡・相談(ホウ・レン・ソウ)ができる
・交渉に対し、柔軟性がある
・投資家に損失の可能性がある場合は止めてくれる

といったところです。

ただし、良い仲介業者、良いセールスマンに出会うためには、残念ながらたくさんの仲介業者、セールスマンに会う必要があります。たくさん会う中に、そうしたキラ星のような業者がいるのです。すぐには見つからないのです。もし、運よく見つけることだできたら大切にしましょう。私も、ひとり見つけたら、その人から買い続けます。

私はあるひとりのセールスマンから10棟以上買っています。今も、毎年最低1物件買っているのです。彼が紹介してくる物件で失敗はありません。10年以上のつき合いですが、すべて満室に近い稼働、常にプラスのキャッシュフローです。

誠実な仲介業者、セールスマンは見つけるのに苦労します。しかし、見つけたら、放さないようにしましょう。投資を成功させてくれる長期的なパートナーなのですから。

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著者紹介

石川 貴康
石川 貴康

外資系コンサルティング会社、シンクタンクに勤務し、現在は独立の経営コンサルタント。大手企業の改革支援を今も続ける。対製造業のコンサルタントでは業界第一人者の一人。会計事務所も経ており、経理、資産評価、相続対策にも詳しい。2002年から不動産投資を始め、現在は15棟153室ほか太陽光3箇所、借地8箇所を経営する。著書に『いますぐプライベートカンパニーを作りなさい! 、サラリーマンは自宅を買うな(東洋経済新報社)』『サラリーマン「ダブル収入」実現法 、100円ちゃりんちゃりん投資、(プレジデント社)』など

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