不動産投資の最新動向
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2020年12月28日(月)
有名大家の「成功術教えます」は要注意! 怪しいセミナーを見抜くポイント
不動産投資業界では、大小さまざまな規模のセミナーが開催されており、多くの投資家が情報集めのために参加しています。
なかでも人気なのは、いわゆる「有名大家」によるセミナーです。
「元主婦」「元フリーター」などから「不動産投資によって大成功した先輩大家」といった打ち出しで、本を出版するなどしてカリスマ的な扱いを受けています。
しかし、「有名大家」のなかには決して不動産投資の成功者とは呼べない、悪徳な大家も多く存在します。
自称「有名大家」の成功事例ばかりの美談に騙されて、カモにされてしまう前に、セミナーで私腹を肥やす悪徳大家の特徴や、怪しい不動産セミナーの実態を解説しましょう。
なぜ有名大家は積極的にセミナーを開くのか
「不動産投資で大成功!」といった触れ込みが踊る「有名大家」ですが、彼らはなぜ、積極的にセミナーを行なうのでしょうか?
そもそも、実態として、すべての有名大家が本当に不動産投資の成功者というわけではありません。不動産投資で大成功して左うちわの暮らしをしているのなら、準備が面倒で登壇のプレッシャーもかかるセミナーを、わざわざ開く必要はないはずです。
有名大家がセミナーを開く動機の多くは、セミナーを実施することで得られる、なんらかの利益を狙ってのものです。
以前の記事で、有名大家のパターンについて紹介しましたが、有名大家のパターンは、以下の3つに分類することができます。
①セミナー講師タイプ……セミナーで高額な講演料を得る人
②ブローカータイプ……不動産業者と組んで紹介料を得る人
③広告塔タイプ……不動産会社の広告塔となってギャラをもらう人
①②③のタイプをすべて満たす、やり手の大家もいます。
特に気を付けていただきたいのは、不動産業者にセミナー参加者を送り込んで紹介料をもらうと同時に、参加者からコンサルティング料をも受け取る、「二重取り」の有名大家です。
結果的によい物件を紹介してもらえたとしても、物件の買い手からすれば、要らぬ費用を支払うことになります。
もうひとつ、有名大家がセミナーを開く本当の理由として、「単純に不動産投資だけで稼いでいくことが難しくなった」という事情があります。
現実問題として、融資が下りなくなって新しい物件が買えず、他の方法で稼がなくてはならない有名大家は多いのです。
セミナーで、武勇伝的に成功談ばかりを声高に語る有名大家もいますが、このような話は実態よりもかなり盛られていることが多く、安易に信じないほうがいいでしょう。
有名大家のパターンについては、過去コラム「有名大家による不動産投資指南が危険な理由」も、ぜひあわせてご参照ください。
怪しげな不動産投資セミナー……どう見分ける?
巷では、投資家を騙そうと目論む怪しいセミナーが存在し、実際に引っかかった失敗談を多く耳にします。
怪しいセミナーを、どのように見分けたらいいのでしょうか。悪徳大家による危険なセミナーの特性を3つ、その見分け方とあわせて解説しましょう。
①1〜2年でセミリタイアしたことを主張する有名大家
有名大家のなかには、「不動産投資を開始して1〜2年程度でセミリタイアした!」ということを売り文句にする人がいます。
しかし、不動産投資の基本的な収益は、長期間コツコツと積み上げていくインカムゲインによるものです。短期間で大儲けできるほど、甘い世界ではありません。
早期セミリタイアを主張する大家はたいがい、融資が受けられずに新しい物件が買えず、コンサルティングや物件紹介の手数料で資金を稼ぐことを狙っています。
物件売却に大成功すれば、不動産投資を始めてすぐにセミリタイアできるかもしれませんが、1〜2年の短期保有で物件が値上がりすることは少なく、税金も高くなるため、売却益を得ることは非常に困難です。
「セミリタイアしました!」とアピールする有名大家に売却経験がなければ、信用してはいけません。
②自身の主催する「大家の会」に勧誘してくる有名大家
有名大家によくあるのが、セミナーをきっかけに、投資用不動産オーナー同士の勉強会である「大家の会」に勧誘してくるケースです。
しかし、こうした大家の会は、入会にあたっての条件が非常に悪いことが多いのです。
たとえば、以下の4つの条件は悪条件といえるので、要注意です。
①受講料は一括払いのみ
この場合、多額のキャッシュを持ち逃げされるリスクがあります。通常、受講料は「月会費コース」といったように、支払いに対して柔軟に対応をしてくれるものです。
②返金保証なし
少なくとも1ヶ月間は、返金保証期間として設定するのが一般的です。
③説明会直後に「即日申し込みによる特典付き!」などと煽り、申し込みを迫る
参加者に冷静に考える余裕を与えさせまいという狙いがあります。
④個別コンサルなど、「しっかり相談できる場」が設定されていない
「無料相談付き!」というセミナーが多いなかで、この種のお試しサービスがないのは、コンサルティング能力が低いからです。
「無料相談」として主催者と参加者がしっかり向き合って話す場を設けることで、中身がないことが露呈するのを恐れているのでしょう。主催者の興味関心はただひとつ、とにかく先に入金してもらうことです。
まともな大家の会であれば、良心的な入会条件を設定しても、会員を集めることができます。
そもそも、良い大家の会は会員からの紹介で自然にメンバーが増えていくので、オープンセミナーで会員を募る必要はありません。セミナーで必死に会員を集めようとしている時点で、警戒の対象になります。
③海外不動産を販売することが目的の初心者向けのセミナー
初心者向けの海外不動産投資は、非常にハイリスクです。
特に、「自己資金が少なくても大丈夫」とアピールする場合は、フルローンやオーバーローンといった危険な融資を受けることが前提ですので、注意が必要です。
海外不動産、特に新興国不動産の場合、現地の人口が増加していて将来性が高いことをプラス材料として紹介するケースがあります。これは間違っているわけではありませんが、実際に海外エリアに在住した経験や、現地の言葉でコミュニケーションできる言語能力、現地の土地勘をもたない場合には、失敗するリスクが大きいです。
海外不動産投資というのは、不動産投資の実績をある程度積んだ、玄人向けの投資なのです。
海外不動産投資の事例として、フィリピンの物件を販売する不動産会社の勧誘で、実際に地図で該当する場所を調べてみたら、紹介された物件とは別のビルが建っていた……というケースがありました。
この事実に気付かずに購入を決めたら、代金を持ち逃げされていたかもしれません。
無警戒にセミナーに参加してはいけない
不動産投資セミナーは受講費が無料であることも多く、物件を買う前にしっかり勉強したいという真面目な人ほど、熱心に聴講します。
なかでも、「有名大家」というネームバリューは大きく、有名大家がセミナーで話すことを、つい無条件に信じてしまいがちです。
しかし、セミナーを開く側は必ず、何らかのビジネス上の目的を持っています。ボランティア精神でノウハウを易々と開示してくれるとは考えにくいでしょう。
セミナーの内容を鵜呑みにせず、信用できる情報と信用できない情報をしっかり選別し、自分の頭で考えて判断してください。
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著者紹介
不動産投資塾編集部不動産投資塾編集部
投資への関心が高まる中で、高い安定性から注目を集める不動産投資。しかし不動産業界の現状は残念ながら不透明な部分が多く、様々な場面で個人投資家様の判断と見極めを要します。一人ひとりの個人投資家様が正しい知識を身に付け、今後起こり得るトラブルに対応していくことが肝要です。私たち一般社団法人首都圏小規模住宅協会は、投資用不動産業界の健全化を目指す活動の一環として本サイト「不動産投資塾新聞社」を介し、公平な情報をお送りいたします。