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有名大家による不動産投資指南が危険な理由

目次

不動産投資ブームを牽引する、「○○大家」などといった有名大家たち。一回数万円といった高額セミナーを開催したり、メディアに出演して華やかな成功談を語ったりする彼らに憧れて、不動産投資を始めたという人も多くいます。しかし、こうした有名大家の指南を受けて不動産投資を始めた人の中に、失敗する人が続出しているのです。不動産会社が書けない、有名大家の裏話をこっそり教えましょう。

有名大家の3パターン

いわゆる有名大家には、大きく分けて3つのパターンが存在します。

パターン①セミナー講師タイプ

不動産会社が開く「投資成功セミナー」などにゲスト講師として呼ばれているタイプです。

都心区分であれば都心区分など、大家が強みとする分野のノウハウと経験談を語るために招かれていることが多いですが、中には業者から頼まれたという理由だけで、自分がやったこともない投資手法を語る有名大家も、少数ながらいるようです。

業者から有名大家に払われる講演料は2時間で5万円や10万円といったもので、非常に高額。セミナーの参加者は、終了後に「個別相談」として不動産会社からの営業を受けることになります。

パターン②ブローカータイプ

「不動産投資コンサルタント」「不動産アドバイザー」などと名乗っている人が多くいるタイプです。

自身の成功体験をもとにした投資手法を伝授しますと、コンサル対象となる個人投資家を集め、彼らを提携する業者に送り込むことによって紹介料を得る、という仕組みです。

悪質なのは、投資家からコンサルティング料を受け取っていながら業者からのリベートも受け取るという、二重取りのモデルになっていること。

さらに、物件を販売するのは提携する業者なので、ブローカー大家は発言に責任を持ちません。

パターン③広告塔タイプ

企業の御用学者がごとく、特定の不動産会社に雇われている有名大家です。前述したセミナー講師も務めますが、契約する不動産会社のウェブサイトに出演したり、自分が書籍を出版した際にその不動産会社が売り出すビジネスモデルを称賛したりと、特定企業により深く食い込んでいます。

お金儲けのうまい有名大家の中には、これらのすべてを満たしているタイプもいます。

成功者と豪語する大家の本質を見極めよ

成功体験は喜んで話しますが、失敗には口を閉ざすのが人間です。有名大家は、「たった○○円の投資からこれだけ投資規模が大きくなった」という自慢話を喧伝したがります。そのすべてが嘘だとは言いませんが、眉唾物な話も多いのは事実です。

少なくても、有名大家の武勇伝は「盛られている」というのは念頭に置いておいたほうがいいでしょう。

彼らにとってみれば、自分の実力や実績は商売道具そのもの。公式、非公式問わず、経験談を話すのは広告活動そのものですから、当然、実態以上にうまくいったように話します。

失敗している部分を意図的に隠したり、初期投資や実現した利回りなどは有名大家の都合のいいように誇張されていたりする、という可能性は意識して聞いてください。

また、「ポジショントーク」にも注意しましょう。ポジショントークとは、特定の利害や立場に偏って意見を語ることです。この記事で紹介した有名大家の3タイプは、いずれも特定企業からお金をもらっているということが共通しています。

つまり、クライアントである不動産会社の利益になるような発信をするわけです。これは不動産だけでなく、株式や為替の投資であっても同様です。知識人であってもその多くは、自分が持っているポジションに都合よく世間が動くように扇動しています。

有名大家の話の中に、もちろん参考になる部分はあります。

しかし、うのみにしてしまうとタチの良くない商売のカモになってしまうのは必至。成功者の話を聞いて真似しようというより、「不動産投資に関する面白い話」として割り切って聞いたほうがいいでしょう。

成功する大家の真の条件

不動産投資塾では数多くの不動産投資家に取材を行っていますが、成功する大家の共通点とは「他人の話をうのみにせず、自分の頭で考える」ことです。

人真似が、たまたま時期が良くて成功したケースもありますが、長く不動産投資家として生き延びている人で他人の成功談を真似して行動している人は見たことがありません。

もちろん全ての有名大家のことを指しているわけではありません。しかし、お金を出すのは投資家自身ですから、人が何を言っても、最終的に責任は自分自身にあることを忘れないようにしてください。

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著者紹介

不動産投資塾編集部
不動産投資塾編集部

投資への関心が高まる中で、高い安定性から注目を集める不動産投資。しかし不動産業界の現状は残念ながら不透明な部分が多く、様々な場面で個人投資家様の判断と見極めを要します。一人ひとりの個人投資家様が正しい知識を身に付け、今後起こり得るトラブルに対応していくことが肝要です。私たち一般社団法人首都圏小規模住宅協会は、投資用不動産業界の健全化を目指す活動の一環として本サイト「不動産投資塾新聞社」を介し、公平な情報をお送りいたします。

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