星野陽子の金持ち母さん投資術
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2018年6月29日(金)
シングルマザーという属性の悪い私が不動産投資家になれた理由
私は現在3棟の賃貸物件(購入価格で6億9千万円)を所有していますが、特に1棟ものとしては最初の物件(3億1千万円)をフルローンで買ったときには、融資をしてもらうのに非常に苦労をしました。今回はその時の話をしたいと思います。
「属性」の悪い人たちは融資をしてもらえない?
私は現在3棟の賃貸物件(購入価格で6億9千万円)を所有していますが、特に1棟ものとしては最初の物件(3億1千万円)をフルローンで買ったときには、融資をしてもらうのに非常に苦労をしました。今回はその時の話をしたいと思います。フリーランスの翻訳者でシングルマザーという「属性」の悪い自分に融資をしてもらうのはむずかしいだろうと想像はしていたのですが、そんな私にフルローンが出たのは、アドバイザーの存在と、いくつかの知識を身につけたことと、ガッツでチャレンジしたことが大きかったと思います。
融資を使って不動産を購入するときには連帯保証人が必要になり、配偶者が連帯保証人になるケースが多いかと思います。しかしながら、私のように離婚していて配偶者がいないとか、配偶者の理解が得られない人は、その時点で諦めてしまいがちです。また収入が低いとか、会社が副業禁止(不動産投資を含む)等の理由で不動産投資を断念する人たちもいます。それらの理由で融資が壁になって不動産投資に踏み切れない人たちが多いかと思います。
私は、頭金をある程度入れたせいか、住宅ローンはすんなり組めたのですが、銀行に賃貸不動産の融資の相談をしに行っても門前払いでした。約7千万円のマンション1棟への融資の相談にふらりと都市銀行に入ったときに、「お金を借りるって大変なことですよ。わかっていますか。あなたには2千万円だって無理です」と言われたことがありました。
今考えると2千万円の根拠がよくわかりませんが、その時は「そうですよね……」と妙に納得して、意気消沈してしまいました。自分自身、銀行がお金を貸してくれると信じ切れていませんでしたが、実際に断られると落ち込んでしまうものです。
銀行は確実に返済できる人にお金を貸します。私は法人で翻訳の仕事をしていますが、実態はフリーランスなので、たとえば、来月までは翻訳の収入の見込みがありますが、その後の収入の保証はありません。一般的には、フリーランスは収入が不安定です。また両親は高齢で資産はほぼない人たちですから頼れませんし、連帯保証人になれないと考えていました。それでも私は10年以上安定して稼げていて、貯金もある程度あったので、賃貸不動産を一棟購入するときに、融資してくれる銀行があるのではないかという望みを捨てきれませんでした。
私が融資を受けて不動産投資をしたかった理由
「食べられない」という低収入の在宅翻訳者が多い中、私が稼げていたのは、日本語から英語への特許翻訳という単価が高い仕事をしていたのと、ハードワークをしていたからです。徹夜続きということは日常茶飯事でした。フリーランスなので、仕事を断ったら、次の仕事をもらえない可能性もあるかと思い(実際、2度お断りしたら、「お忙しいようですね」と言って仕事の依頼をしてくれなくなった翻訳コーディネーターさんがいました)、断ることができず、依頼されたものは引き受けていたのです。仕事が忙しくて布団の上で寝ないこともよくありました。気が付いたらパソコンの前の椅子に座ったまま寝ていたり、椅子から滑り落ちて床で寝ていたりという感じです。「根を詰めてする仕事なので、過労死や突然死をする翻訳者たちがいるから気をつけなさい」と先輩翻訳者たちから言われていましたし、自分でも「命を削って仕事をしている」と思うことがありました。もし突然死んでしまったら子どもたちは路頭に迷ってしまう……。そんな心配もあり「不労所得」が切実に欲しかったのです。
アドバイザーを得たことで、億の物件に対して積極的な検討ができるように
門前払いになるたびに意気消沈し、あきらめようかと思いましたが、しばらくするとあきらめきれない!という気持ちが湧いてきました。何度もそんなことを繰り返し約2年経った時、私は元夫の父親のことを思い出しました。不動産投資で成功していた彼は多くの人たちのアドバイザー的な存在でした。私もアドバイザーを持てばいいのでは?と考え、有料でアドバイスをしてくれる人を探しました。
幸か不幸か買えない時期に不動産投資の本をたくさん読んだり、セミナーに行ったり、ずいぶん知識が増えてきて、本当に成功していて実力がある人を見つけることができました。そのアドバイザーと一緒に見に行った最初の物件は2億円以上するものでした。億の単位の借金は怖かったですし、「2千万円だって無理」という言葉から7千万円程度の融資でも無理ではないかと思っていました。
しかし物件をアドバイザーと一緒に見にいくうちに、だんだん気持ちが変わっていきました。最初は「億」と聞いただけで思考停止状態になっていましたが、極端な話、例えば4億円の価値があるものが2億円で買えるのだったら買いたい!と思うようになっていったのです。またアドバイザーは一級建築士だったので、建物に関する質問もたくさんさせてもらい、私はどんどん知識を増やしていきました。知識が増えると、漠然とした不安がどんどん減っていきます。
そして購入したいと思った物件の融資の相談をしに、某地方銀行にいくことになりました。賃貸物件にフルローンを出している銀行はいくつかありますが、全部ではありません。今ではわかりますが、投資家たちは「○○銀行○○支店の○○さん」がフルローンを出しているというような情報交換をしています。
「フリーランス」や「シングルマザー」ではなく「経営者」として評価してもらう
融資の相談に行くときに次のようなことを学びました。
・やみくもに相談しに行かないこと。できれば紹介してもらってから行くこと。
・銀行によって融資の条件などが違うので、それを把握して可能性の高いところに相談しにいくこと。
・自身のプレゼンの仕方を考えること(私の場合は「シングルマザー」とか「フリーランス」などではなく「経営者」として自身をプレゼンすること)。
・「不動産投資をしたいからお金を借りたい」と言うのはだめで「不動産賃貸業をして、翻訳業とは別の収入の柱を持ち安定経営に努めたい」と言うこと。
それらのポイントを押さえてプレゼンすると、私の父を連帯保証人として融資をしてもらえるという話になりました。父は高齢ですし、家は借家で資産はなく、国民年金の受給者で収入もほぼないので、私は連帯保証人になれないと思い込んでいました。ですが、父を説得して保証人を引き受けてもらえることになりました。やっと苦労が報われる!と大喜びでした。
しかし、翌日、母から電話があり、父がやはり億単位の借金の保証人にはなれないと言って寝込んでしまったから、あきらめて欲しいと言われました。私は「わかった」と言って電話を切ると、とても悲しくなって泣きました。また尽力してくださったアドバイザーに本当に申し訳なく思いました。私自身は銀行融資を使っての不動産投資はあきらめようと心を決めましたし、アドバイザーからも見放されると思っていました。謝罪のために重い気持ちで電話をすると「仕方ないですよね。じゃ、次の作戦、考えましょう」と軽く言われて驚きました。成功している人はあきらめないものです。
また違う物件が見つかり、某都市銀行に行きました。この物件が、最初にお話した3億1千万円の1棟目マンションです。
アドバイザーからは「堂々としていてください」と言われていました。緊張のあまり言わなくてもいいことまで言ってしまうことがあり注意されていたので、言葉を選び、発言を控えました。でも一人で融資担当者さんと会う機会があったときに、ふと「フリーのシングルマザーでも本当に融資してもらえるのですか」と聞いてしまったことがあります。すると融資担当者さんに「あのね、そういうのは関係ないです。数字で判断させてもらいますから」とぴしゃりと言われました。
何度か面会をして、連帯保証人については元夫でも可能という話になりました。元夫は父親が不動産投資で成功していましたから、不動産投資のことを理解していたのと、私と違い数字に強いので、シミュレーションを見てすぐに「良い話」だとわかったようです。私としても違う目で精査してもらえたのがありがたく思いました。どうして元夫が連帯保証人になってくれたかというと、子どもたちに残せる良い物件だと思ってくれたからです。私たちは離婚しましたが、子どもたちの親としては協力しているのです。
思い込みと知識不足とガッツのなさが融資を遠ざけていた
シングルマザーでフリーランスだから無理。億の借金は無理。配偶者がいないから無理。
たくさんの思い込みと知識不足とガッツの足りなさが、なかなか融資をしてもらえなかった原因かと思います。自分に資産がなくても親の資産を銀行が考慮してくれることもあります。配偶者の理解がなくても、法人を設立し法人で借りて個人で保証人となっている人たちもいます。
私の失敗と経験から言えることは、融資を使って不動産投資をするには、銀行の考え方をよく知ること、思い込みを捨てること、あきらめない気持ちを持つことが大切だということです。
10年経った現在では残債も順調に減ってきていますし、ほぼ満室の経営もずっとできています。ご自分の属性が悪いと思われる方も、いろいろな方向から考えてみてください。属性が悪くても突破口があるかもしれません。私のように誰かのアドバイスをもらうというのも一つの手かと思います。
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著者紹介
星野 陽子星野 陽子
不動産投資家。著者。特許翻訳者。
東京都出身。外資系メーカー、シティバンク勤務を経て、イスラエル国籍のユダヤ人と結婚。子ども二人に恵まれるも離婚。フリーランスとして在宅で翻訳の仕事をしながら、シングルマザーとして子ども達を育てた。東欧からの移民の子で、14歳から働き、資産ゼロから財産を築いたユダヤ人の義父からは不動産投資を学び、投資物件(6億円)などの資産を築いた。著書に『ユダヤ人と結婚して20年後にわかった金銀銅の法則50』『ユダヤ人大富豪に学ぶ お金持ちの習慣』『貧困OLから資産6億をつかんだ金持ち母さんの方法』がある。オンラインサロン「マネサロ」主宰。 オフィシャルブログも定期更新中。