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家賃収入の確定申告の仕方から税金を圧縮する方法まで一挙公開!

目次

不動産投資で家賃収入を得ている人は、確定申告が必要です。本記事では、確定申告をする上で知っておくべき経費の種類や申告手順、税金対策の方法まで解説していきます。

家賃収入の内訳と税金について

不動産投資の収入としてまず思い浮かぶのは、家賃収入です。ポイントとして、入居者から支払われる管理費や共益費、更新料などもすべて家賃収入に含まれることは覚えておきましょう。

不動産投資の総収入から経費を差し引いた所得が「不動産所得」になります。

不動産所得における所得税については、給与所得などと合算して税率を決める総合課税が適用されるため、株式投資やF Xのような分離課税とは異なります。すべての所得が増えれば増えるほど税率が高くなる累進課税が適用されることに注意しましょう。

ちなみに、不動産売却で得た利益に課される税金は譲渡所得税です。

家賃収入には確定申告が必要

マンションやアパートなど、賃貸経営で得られる家賃収入は確定申告をしなければなりません。

不動産所得の算出方法は、「年間家賃収入➖年間経費=不動産所得」です。
この年間経費とは、物件運営にかかった費用のことで、主に以下の項目が経費になります。

不動産取得税

不動産を購入してから一度だけ発生する税金のことです。物件取得の半年〜1年後に各都道府県より納税通知書が郵送されてくるので、期限までに金融機関で納付しましょう。

固定資産税

土地や家屋を所有することで毎年課される税金のことです。

管理費

建物の管理会社に支払う費用のことです。

修繕費

原状回復や維持管理のための内装工事費用です。ちなみに耐震補強やフルリノベーションなど、建物自体の価値を上げたり、使用期間を伸ばしたりする工事は修繕費にはなりません。

損害保険料

火災保険や地震保険に加入した際に支払う費用のことです。必要経費にできるのは当該年度分の支払いのみになるため注意が必要です。たとえば、2020年10月に、同年10月〜2021年9月まで1年分の保険料を支払った場合、経費にできるのは2020年12月までの3ヶ月分のみになります。

減価償却費

物件の経年劣化による資産価値の目減りのことです。居住用では、木造が22年、鉄骨造は34年、R C(鉄筋コンクリート)造は47年と耐用年数が異なります。

計算方法は、「取得価額×定額法の償却率」で、毎年経費として計上することができます。

ローン借入金の利子

借入金の利子は経費計上可能ですが、元金部分は計上できない点は覚えておきましょう。不動産所得が赤字となった場合は、土地等を取得する際に要した借入金利子は、必要経費になりません。

管理会社への業務委託料

不動産投資では、入退去の管理、家賃の回収、部屋の修繕など、サラリーマンだとこれらすべてを自分で行うのは時間確保が難しい人がほとんどでしょう。一般的には管理会社に業務委託しているケースが大半です。

この業務委託料も経費となります。ちなみに業務委託料は家賃収入の5%が相場なので、業務委託料を高く取られすぎていないかは確認をしておきましょう。

ほかにも、不動産経営に伴う交通費や通信費も経費として計上できるので覚えておきましょう。

確定申告の必要書類と手順、税金対策について

不動産所得における確定申告の際には、さまざまな関係書類を提出しなければなりません。
用意する書類と具体的な方法について説明します。

〈用意する書類〉
・自身で作成する書類(入手先は税務署、もしくは国税庁のホームページ)
確定申告書B、不動産所得用の青色申告決算書
※確定申告書Aは申告所得が給与所得や公的年金の場合のため、サラリーマンや年金受給者が使用するものです。確定申告書Bは汎用版のため誰でも使用することができます。

・勤務先から入手する書類
源泉徴収票

・不動産会社から入手する書類
不動産売買契約書、売渡精算書、譲渡対価証明書、家賃送金明細書、賃貸契約書

・融資を受けた金融機関から入手する書類
借入金の返済予定表

・修繕した場合、修繕を請け負った会社から入手する書類
修繕の見積書・請求書・領収書

・送付されてくる書類
固定資産通知書、火災保険や地震保険などの証券

確定申告を行う際に用意すべき書類は、上記のようにかなり多いです。日頃から書類の管理はきちんとしておくのが重要です。

確定申告には青色申告と白色申告の2種類があります。納付期限までに書類を作成し、きちんと申請して納税することを心がけましょう。

青色申告の場合は、複式簿記を行わなければなりません。青色申告するためには事業者であることを証明する必要がありますが、10万円の控除が受けられたり、事業規模が大きくなれば65万円の控除を受けられたり、家族へ給与を与えてそれを経費にしたり、と税金総額を減らすメリットがあります。

白色申告の場合は、事前申請や複式簿記の必要はなく、青色申告と比べても記入内容がシンプルで簡単な手続きです。わからないことがあれば税務署員に聞きながら作成しましょう。

青色申告による控除の活用

前述した事業主として青色申告をする方法ですが、所得金額から控除できる経費の種類や金額が増加し、税金圧縮に繋がるのでぜひ覚えておきましょう。

主なメリットとしては、以下のとおりです。

・青色申告特別控除(10万円または65万円)が利用可能
・親族が事業に従事していた場合にその給与を経費計上可能
・損失(赤字)が出た場合、その金額を最大3年間繰り越し可能
・貸倒引当金を計上可能
・30万円未満の資産をその年の経費に一括計上可能(限度額あり)
・自宅をオフィスとして使用すると電気代や部屋代の一部を経費計上可能

事業所得として確定申告するための条件は、所有する物件の「独立した部屋の数が10室以上」もしくは「独立した家屋が5棟以上」から家賃収入が得られることです。

確定申告にきちんと向き合い、対応しよう

確定申告は必要書類が多く手続きも面倒ですが、家賃収入を得る不動産経営の旨味以外にも、キャッシュの支出を抑えることも可能です。

税理士など専門家にも相談しながら、着実に自分が得られるメリットを最大化していきましょう。

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著者紹介

不動産投資塾編集部
不動産投資塾編集部

投資への関心が高まる中で、高い安定性から注目を集める不動産投資。しかし不動産業界の現状は残念ながら不透明な部分が多く、様々な場面で個人投資家様の判断と見極めを要します。一人ひとりの個人投資家様が正しい知識を身に付け、今後起こり得るトラブルに対応していくことが肝要です。私たち一般社団法人首都圏小規模住宅協会は、投資用不動産業界の健全化を目指す活動の一環として本サイト「不動産投資塾新聞社」を介し、公平な情報をお送りいたします。

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