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老後2千万円問題の対策に不動産投資は本当に有効なのか

目次

金融庁のワーキンググループが作成した報告書に、「老後には年金以外に2千万円以上の資金が必要」という試算が盛り込まれていたことで一挙話題になった、「老後2千万円問題」。

あまりにも大きな問題に発展したため、麻生太郎金融担当相がワーキンググループの報告書の受け取りを拒否する事態にまで発展しました。

多くの人が漠然と抱いていた「老後は年金暮らしで生きていける」という期待を、政府が打ち砕いたニュースであったと言えます。

一方で、投資用不動産業界では老後2千万円問題はむしろ物件売り込みの好機として捉えられ、盛んにセールストークに使われています。

老後2千万円問題が本当に不動産投資で解決できるのかを分析しましょう。

なぜ、老後資金が2千万円必要なのか?

そもそも老後資金が2千万円という根拠はなんなのかを、まず考えてみましょう。

2千万円という金額の根拠は、大まかにいうと「人生100年時代を迎える」「年金をもらい始めてから、年金の金額よりも月々の支出が5万円ほど上回る」という試算に基づいているようです。

そう考えると、特に無茶なことを言っているわけではありません。

年金をもらうころには住宅ローンを払い終わっていると想定しても、年金だけで生活を維持するにはかなり生活を切り詰めなければいけないのは容易に想像がつきます。

実際は退職金や現役時代に勤めていた会社の企業年金があったり、夫婦ともに年金をもらいながら生活コストを効率化できたりするはずなので、現役引退時に一人2000万円の貯金がないと飢え死にしてしまう、いったような見方は少々極端です。

そもそも老後、自分で働くことができない段階になって、貯金ゼロで年金のみで食いつなごうという計画自体、無謀でしょう。

人生の最後の時期を貧しく過ごしたくはありません。ある程度の資産形成を現役時代にしておくのはむしろ当然のことです。

しかし、そんな将来計画すらなく、「老後は年金で安心」と思い込んでいた日本人が予想以上に多いことが、老後2千万円問題の議論で浮き彫りになりました。

2千万円を不動産投資で作る方法

さて、話を冒頭に戻し、「老後の2千万円を不動産で得る」ことが現実的なのか、考えてみましょう。

30歳で2500万円の築浅中古ワンルームマンションを買ったとします。

毎月の収支はローン返済後で3万円としましょう。つまり、この物件から得られる収益は1年に36万円、10年で360万円です。

これだけで計算すると、70歳までの40年で得られるのは1440万円。これだけでは2000万円に足りません。また、ここから修繕費なども出ていきますし、築年数が過ぎれば家賃を下げないと入居付けが厳しくなります。

実際に40年後に手元に残る額は、もっと少なくなるでしょう。ただ、入居者さえ入っていれば、賃貸物件からはずっと家賃収入が入ってきます。家賃さえ下げれば借りる人がいるような物件であれば、築50年をすぎても少しは毎月の収入が得られるかもしれません。

加えて、購入10年後に貯まった360万円を頭金にして、物件を買い増すという手段があります。

そうすれば、おおよそ50歳までに3戸のワンルームを買えば、70歳時に2000万円の現金が手元に残るでしょう。

また、不動産市場がいい時に物件を売却して買い替えをしておけば、さらに利益が多くなる可能性もあります。

一棟物件に挑戦したり高利回りの物件を持ったりするのに成功すれば、資産形成のスピードは加速度的に高まります。

この試算は、何も夢のような試算ではありません。購入するのが特別利回りの高い物件でなくても、本業の年収がそれほど高くなくても、ここで紹介したような試算形成は十分に可能です。

買い増しのスピードも決して早い方ではなく、むしろ不動産投資家としてはかなりのんびりしたペースです。

結論から言えば、長い期間をかけて不動産投資で老後の2千万円を作るのは、簡単です。老後2千万円問題に不動産投資が有効なのか?という問いの答えは「イエス」だと言えるでしょう。

試算形成は時間が味方になる

ただ正直なところ、不動産投資が特別優れているから、老後2千万円への対策に有効なわけではありません。

投資信託にしても保険にしても、他の手段だとしても今回のように試算すれば、老後の2千万円を作るのはそれほど難しくないと出るはずです。

40年もあるのだから、当たり前なのです。もしかすると不動産投資よりはるかんにローリスクに2千万円を作ることができるかもしれません。現金で毎月貯金するのも手でしょう。

不動産投資はミドルリスク・ミドルリターンの投資だとよく言われます。老後の2000万円を作る、というより、もっと豊かな将来を作るための手段として考えるのがいいでしょう。

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著者紹介

不動産投資塾編集部
不動産投資塾編集部

投資への関心が高まる中で、高い安定性から注目を集める不動産投資。しかし不動産業界の現状は残念ながら不透明な部分が多く、様々な場面で個人投資家様の判断と見極めを要します。一人ひとりの個人投資家様が正しい知識を身に付け、今後起こり得るトラブルに対応していくことが肝要です。私たち一般社団法人首都圏小規模住宅協会は、投資用不動産業界の健全化を目指す活動の一環として本サイト「不動産投資塾新聞社」を介し、公平な情報をお送りいたします。

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