不動産投資の最新動向
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2020年3月26日(木)
財産の評価額が肝! 相続税の支払い額は不動産活用で変わる
多くの財産を持っている人の場合、自分の死後、子どもに多額の相続税がかかるのではないかと心配になることでしょう。それは相続される側も同じです。できるだけ相続税を抑える手段として代表なのが不動産活用。本記事では、不動産を使った相続税対策の基本を解説します。
不動産を活用し、財産の「評価額」を下げる
不動産の活用で相続税が節税できるといっても、かかる税金が控除されたりするわけではありません。相続税の計算のもとになる財産の「評価額」が、不動産の活用で大幅に圧縮される可能性があるのです。
現金や有価証券の場合、その時点での額面がそのまま相続財産の評価額になります。しかし不動産の場合は、路線価から複雑な計算のうえ導き出された「相続税評価額」に基づいて相続税が計算されるのです。
この相続税評価額は基本的に、実際に物件を売買した際の価格に比べるとかなり安くなります。この価格の乖離が、不動産活用は相続税の節税効果を生む、といわれる理由です。
アパートやマンションは節税効果が大きい
第三者に賃貸する土地については、オーナーが利用するにあたって制限があるため、相続税評価額が大きく下がります。
例えば持っている土地に賃貸アパートを建設して賃貸経営をする場合、その不動産の評価は時価のおよそ半分ほどに下がるのです。
賃貸アパート(マンション)の建設は節税効果だけでなく、インカムの入ってくる資産を相続人に受け渡せるのも大きなメリットです。
また、ワンルームマンションを購入し相続税対策するのも、ポピュラーな手法になります。
相続税は土地と建物の両方の価値に対して課税されるもの。区分マンションの場合は一人のオーナーの土地持分が非常に少ないため、時価と相続税評価額の間にかなりの乖離が生まれます。
なんと、時価の3分の1程度にまで相続税評価が圧縮されるのです。
資産価値のない賃貸物件を持つのはNG
不動産活用による相続税対策にかなりの効果があることはおわかりいただけたでしょうか。それほど相続財産が多くなければ、不動産活用だけで相続税をかなり圧縮することは可能です。
ただし、目の前の相続税対策に目がくらんでしまうことには注意してください。「相続税対策になります」という不動産会社やハウスメーカーの営業マンに唆されて、価値のない物件を買ってしまって相続後に困るケースが少なくないのです。相続税の支払額を抑える以前に「不動産を購入する」ということを忘れてはなりません。
物件を購入する場合は入居者がちゃんとつく物件なのかをよく吟味し、自分の土地に物件を建てる場合もその後の経営も見据えて判断するようにしましょう。
物件の赤字を垂れ流し、売っても二束三文。だったら相続の時に現金でもらったほうがよかった……相続人がこのようになってしまう結末は避けたいところです。
相続税ゼロを目指さない
不動産活用で相続税をゼロにすることばかりにこだわると、結果的に価値のない財産を残すことになってしまったり、遺産の分け方が難しくなってしまったり、という問題が生じる可能性があります。
何事もバランスが重要です。財産の一部を不動産にして評価額を圧縮しながら、現金でもある程度残すようにしておいたほうが無難でしょう。
相続税がかかるとしても、現金さえあればキャッシュがなくて払えないということにはなりません。
また、年に110万円以内であれば生前贈与によって非課税でお金を受け渡すことが可能です。
相続直前になってから大きな不動産で対策を目論むより、早い段階でコツコツ財産を引き継いでおいたほうが結果的に節税効果の高まるケースもあるでしょう。
贈与については様々な特例があり、一度に1,000万円を超える贈与を非課税にできることもあります。相続税対策は、なるべく多くの選択肢の中から検討するようにしてください。
不動産の相続はプロでも難しい分野
本記事ではごく簡単に説明しましたが、実際、不動産の相続に関係する税制はさらに複雑です。税理士だからわかるはず、不動産屋だからわかるはずと思って安易に相談相手を選んでしまうと、相続には全然詳しくない人だった、ということもよくあります。
相続税は、たとえ過大に申告したとしても税務署から「もっと少なくていいんですよ」などと言ってもらえることはありません。そのまま申告した金額を納税することになるだけです。
不動産投資塾の取材では、不動産相続に詳しくない税理士に任せたせいで数百万単位も相続税を多く払っていたケースも発覚しました。不動産相続の際のパートナー選びは、くれぐれも慎重にしてください。
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著者紹介
不動産投資塾編集部不動産投資塾編集部
投資への関心が高まる中で、高い安定性から注目を集める不動産投資。しかし不動産業界の現状は残念ながら不透明な部分が多く、様々な場面で個人投資家様の判断と見極めを要します。一人ひとりの個人投資家様が正しい知識を身に付け、今後起こり得るトラブルに対応していくことが肝要です。私たち一般社団法人首都圏小規模住宅協会は、投資用不動産業界の健全化を目指す活動の一環として本サイト「不動産投資塾新聞社」を介し、公平な情報をお送りいたします。