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2020年6月30日(火)
旧耐震築古物件の購入に潜む危険性
建築基準法の耐震性は1981年6月に法改正が行われ、それ以前に建設された物件は「旧耐震」と呼ばれています。旧耐震の建物はすべて2020年現在で築39年を超えているわけですが、立地が良くて割安で利回りが見込める、といった理由で旧耐震物件の購入を検討する投資家もいるでしょう。旧耐震物件を購入する際に気をつけるべきポイントを整理しました。
旧耐震物件のデメリット
旧耐震物件の購入に際しては、以下のような欠点を認識しておきましょう。
ローンが降りにくい
金融機関は不動産に対する融資を決定する際、法定耐用期間の残存年数を重要な基準として判断します。
鉄筋コンクリート物件の場合は法定耐用年数が47年なので旧耐震物件でも残存年数がある可能性もありますが、長期のローンは難しくなります。木造など他の構造である場合はかなりローン審査が不利で、全額現金でないと購入できない物件が多くなるでしょう。
そして当然、融資が降りにくいのは物件を将来売却する際も同様です。自分は買うことができても、いざ売ろうという際に苦労する可能性は頭に入れておいてください。
ランニングコストが高い可能性がある
旧耐震物件は耐震補強の工事を行わなければならず、これには一戸50万〜100万円ほどの費用がかかります。それだけでなく、築古になることで管理費や修繕積立金も上がっている可能性があるのです。
また、築40年前後ともなれば、いくら表面をきれいにしていても、目に見えない配管部分や躯体に致命的な損傷が生じている可能性があります。表面利回りだけ見ていると、数百万円単位の思わぬ出費が多発するかもしれません。購入にあたってはかかるコストの想定を厳しくしておく必要があるでしょう。
倒壊でオーナーの責任が問われるケースがある
1995年の阪神・淡路大震災においては、倒壊した建物の多くが旧耐震であったことから、耐震基準に関して世の中の注目度がにわかに高まりました。
この震災では、賃貸マンションで4人が亡くなったことに対し、オーナーの損害賠償を命じる判決が出ています。
注目すべきは、このオーナーは当該マンションの建設に関わったわけではないことです。もし災害があって人命に関わるような被害が出た場合、建設当時の耐震性のことで後からオーナーになった人も責任を問われる可能性があることは知っておいたほうがいいでしょう。
2018年の国の検討会によると、南海トラフ大地震が今後30年以内に来る確率は70〜80%にものぼるとされています。その際、旧耐震の建物を保有していたせいでオーナーが大損害を被るリスクは否定できません。
建て替えの対応が未知数
日本の鉄筋コンクリートの大規模マンションは、まだ歴史の浅いものが大半です。
いずれは建て替えるのだろうと言われてはいるものの、実際どのように扱うのかについては事例が足りていないのが現状です。
マンションを建て替えるのにはオーナー全員が費用を負担し、管理組合の合意がなければなりません。オーナーそれぞれの事情がある中、建て替えの合意をするのは現実には難しいだろうとも言われています。
将来的に物件をどう扱うのかが見えない状態で購入することも、大きなリスクと考えられるでしょう。
購入前に耐震性のチェックを
このようなリスクがある旧耐震の物件は、投資用不動産として上級者向けだといって間違いありません。
ただ収益が上がらないだけならともかく、倒壊で入居者の人命を失うような事態はオーナーとして何としても避けなければいけません。
最も重要なのは、購入する前に物件の耐震性をしっかりとチェックしておくことでしょう。
実は、旧耐震だからといってすべての建物が耐震性に問題があるわけではありません。当時の大工の施工によって建物の実際の頑丈さは大きく変わってきますし、その後の管理で耐震性が大きく落ちてしまうこともあります。
逆に、新耐震の建物だからといって、上記の理由によって全く問題がないとも言い切れません。81年6月以降の施工であっても築古の物件はたくさんありますから、中には震災の際に倒壊してしまうリスクのある物件も多あるのです。
したがって、旧耐震の物件や、新耐震でも築古の物件については、購入前にプロによる耐震性のチェックを入れておいたほうがいいでしょう。もちろん、その分購入費は高くなってしまいますが、もし倒壊した場合のリスクを考えると必要経費だと考えてください。
自信がないなら手を出さないのが無難
以上のように、旧耐震の建物に対する投資は難しい要素が多くあります。
築浅不動産への投資以上に物件を慎重に選ばなければいけませんし、想定外のコストが発生する可能性も大きいのです。
うまくいった場合の利回りは高くなりますが、自信がないのならうかつに手を出さないほうがいいでしょう。
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著者紹介
不動産投資塾編集部不動産投資塾編集部
投資への関心が高まる中で、高い安定性から注目を集める不動産投資。しかし不動産業界の現状は残念ながら不透明な部分が多く、様々な場面で個人投資家様の判断と見極めを要します。一人ひとりの個人投資家様が正しい知識を身に付け、今後起こり得るトラブルに対応していくことが肝要です。私たち一般社団法人首都圏小規模住宅協会は、投資用不動産業界の健全化を目指す活動の一環として本サイト「不動産投資塾新聞社」を介し、公平な情報をお送りいたします。