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コロナウイルスが与えた民泊ビジネスへの大打撃

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2020年5月5日、民泊サイトのAirbnbは全世界の従業員約7,500人のうち25%を削減すると発表しました。ブライアン・チェスキーCEOによれば、コロナショックによる世界的な巣篭もりで旅行件数が激減し、今年の売上高は前年の半分を切る見込みだといいます。

日本でも、東京オリンピックに向けたインバウンドの増加で注目を集めていた民泊。オリンピックが延期に今、厳しい状況が続きます。

日本から消えた外国人

民泊の主な利用者となるのは外国人観光客です。日本政府観光局(JNTO)の発表では、2010年に約600万人いた訪日外国人数は、東京オリンピックやラグビーW杯を追い風として2019年には3000万人以上に。およそ10年で5倍以上も増えました。

そして、インバウンドの激増と同時に、民泊ビジネスも花盛りとなったのです。当初は旅館業法の無認可業者や宿泊者のトラブルなどの問題が多く聞かれましたが、2018年の法改正以降は安定した市場が成長軌道に乗っていました。
中には、単身用マンションを民泊として活用して月に売り上げ50万円など、よだれの出るような実績をあげていた投資家もいるようです。

2020年4月17日の日本経済新聞電子版によれば、民泊はコロナウイルスとイリンピック延期によって成長に急ブレーキがかかり「踊り場」になりました。ここ半年で物件の譲渡が約6倍、そして廃業も増えているといいます。

緊急事態宣言後の民泊利用者はゼロに近い

JNTOが4月15日に発表した2020年3月の訪日外国人数は、前年同月比93%減の19万4000人に。ほぼゼロになったといって差し支えないでしょう。

そして、4月7日に国が発表した非常事態宣言でとどめです。日本人の利用もゼロになり、多くの民泊物件が稼働率ゼロに追い込まれて赤字を垂れ流しています。

沖縄県の玉城知事がGW中の沖縄行き便飛行機のキャンセルを呼びかけるなど、もはや「今の時期の旅行は悪」という価値観ができあがっています。

普通、事業において長期間、売り上げがゼロに近い状態が続くことは想定しません。既にホテルや旅行代理店の倒産報道が相次いでおり、民泊関連の事業者の倒産がニュースになるのも時間の問題でしょう。

リカバリーに走る民泊オーナーたち

民泊事業は急激に収入が落ち込み、直近で需要が回復する見込みはまったく立ちません。

かといって物件を遊ばせておくわけにもいかず、多くの民泊オーナーが試みているのが通常賃貸への転用です。

しかし、やはり宿泊に比べると賃貸事業の収益性は落ちます。場所によっては
民泊で運用する半分以下の収入、という場合もあるようです。

また、周辺の民泊物件がこぞって通常賃貸になれば、その分地域の賃貸物件のライバルは増えてしまうことになります。加えて、コロナウィルス収束後に再度、民泊に戻そうとしても入居者の退去を待たなければいけません。立地や設備の問題から通常賃貸には適さない物件であるケースもあります。

時間貸し物件への転用などもノウハウが必要で利用者集めが難しく、コロナショックへの柔軟な対応ですぐさま収入を回復できているオーナーは見当たりません。

2020年5月9日の日刊SPA!では、民泊ビジネスの第一人者として知られる大神麗子さんの興味深い取り組みを紹介しています。

大神さんはコロナショックによる民泊ビジネスの大打撃を受け、保有するうちの20室をすぐさま貸し会議室にコンバートしました。デスクや椅子、ホワイトボードなどの什器については、この騒ぎでオフィスを撤退・縮小する企業の放出品をつかんで初期費用を安く抑えたのだといいます。

ただ、大神さんはこれをあくまで「儲けようというのではなく、立地がいい物件を持ち続けるための対処」と説明します。

2年前の法改正では多くの業者が撤退を余儀なくされましたが、生き残った合法業者は収益性が改善しました。今回もそれと同様、民泊という事業の浮き沈みにおける試練であり、民泊には引き続き将来性を感じているのだといいます。

民泊の浮き沈みを避け、別の用途に転用して不動産運用を続けるのか、いったん工夫して急場を凌ぎ、需要の回復を待つのか。あるいは諦めて売却してしまうのか。民泊オーナーは判断を迫られているところです。

インバウンドの回復を注視

コロナショック真っ只中の昨今ですが、世界の各都市でロックダウンが一部解除されるなど、ゆっくりと終息に向かう動きは出ているともいえます。

民泊ビジネスの復活の鍵は間違いなくインバウンドが握ります。2021年に延期された東京オリンピックに向けて訪日外国人数が再回復するのか、細かく状況を注視する必要がありそうです。

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著者紹介

不動産投資塾編集部
不動産投資塾編集部

投資への関心が高まる中で、高い安定性から注目を集める不動産投資。しかし不動産業界の現状は残念ながら不透明な部分が多く、様々な場面で個人投資家様の判断と見極めを要します。一人ひとりの個人投資家様が正しい知識を身に付け、今後起こり得るトラブルに対応していくことが肝要です。私たち一般社団法人首都圏小規模住宅協会は、投資用不動産業界の健全化を目指す活動の一環として本サイト「不動産投資塾新聞社」を介し、公平な情報をお送りいたします。

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