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石川貴康の超合理的不動産投資術

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塩漬けの”なんちゃってランドバンキング” 〜バングラディッシュでの海外不動産投資〜

目次

海外不動産投資で痛い目ばかりあっている私ですが、もう一つ、不動産投資した案件があります。バングラディッシュの土地です。結論から言うと、こちらも収益はゼロのままですが、ちょっと変わっているので書いてみますね。

バングラディッシュは外国資本の法人なら土地が所有できる

私とバングラディッシュとの出会いは、以前プノンペンに同行したメンバーの一人からの紹介でした。日本に住むバングラディッシュの方を紹介されたのです。その方は、バングラディッシュと日本をつなぐ仕事をしていて、バングラディッシュにもそれなりの人脈を持つ方でした。

紹介されたその方と話をしていると、バングラディッシュは外国人でも土地の所有ができる珍しい国とのことでした。個人では無理ですが、法人化すれば土地が所有できるというのです。しかも、100%外資の会社も設立できるのです。つまり、自分で100%資本金を出して会社を作れば、その会社を通じて土地所有ができるというのです。

多くの外国では、外国人に土地の所有を制限しています。外国人に国土を所有されることを危惧しての処置だと思います。個人で土地が買える国は、私の知る限りでは、日本、米国、ドイツ、英国、アイルランド、スペイン、ニュージーランドくらいです。ほかの国は、外国人に対して何らかの土地取引の制限があるか、あるいはまったく買えないという状況です。

法人も国により、100%外資を禁じている国もあります。フィリピンやインドネシアなどはこれに当たります。必ず株式の過半数を自国人にしないといけません。

外国の巨大な資金力に国の支配権を譲り渡すリスクのある「土地所有」と「法人所有」を制限しているのでしょう。国力が強い先進国の一部しか、自由な土地取引や法人設立は許されていないのです。

そういった状況の中、100%外資が設立でき、法人を通じれば土地が所有できるというバングラディッシュは特異な国の一つと言えるでしょう。

30年ぶりのダッカ!バングラディッシュはエネルギー沸騰中

私はバングラディッシュの方と知り合ったことがきっかけで、30年ぶりにバングラディッシュに行くことにしました。30年前、私はバックパッカーでした。

インドに行くトランジットで一度だけ、ダッカに降り、一泊だけダッカ市内のホテルに泊まりました。当時の空港は田んぼや湿地帯の真ん中で、夜到着したら市内は真っ暗でした。ホテルもお世辞にも良いとは言えませんでした。

とはいえ、バックパッカーだった私は、特に気にすることもなく、水を浴び、湿ったベッドで扇風機もない中で夜を過ごしました。外に店も屋台もなく、空港の周りは人だらけで、人をかき分けてバスに乗った記憶があるだけです。「これが首都か」と驚いたものでした。

さて、30年ぶりに行くと、ダッカは大都市になっていました。もちろん、建っているビルはジャカルタやクアラルンプールなどの大都市とは違う、昔のビル群ですが、それでも「人の多さ」と「交通渋滞」は大都市並みでした。とにかく人、人、人の印象です。

それもそのはず、バングラディッシュは北海道ほどの土地に一億六千万人が暮らしているのです。世界で最も人口密度の高い国の一つです。経済成長や人口増加も著しく、高度経済成長真っ只中といった感じでした。

首都はまさに開発中で、これからモノレールを作る計画されていたところでした。

都心となるモノレールの環状線の中は湿地が埋められて、巨大な平地が開発されている途中でした。ボションドラ地区といい、A地区からP地区までの開発予定。当時はE地区くらいが分譲され、G地区やM地区あたりが売りに出されるタイミングでした。

土地値を聞くと一区画がだいたい4,000万円。とても買えませんでした。当時買っていれば、とんでもなく大化けしたでしょうね。現金がないと、こういうチャンスを逃しますね。

次に見たのは、モノレールそばの土地。こちらは駅前ですから、どう考えても有望。でも、買えません。1区画8,000万円超でした。数年後、その土地は3億円を超えたようで、今はもっと高いでしょう。

こうした首都の明らかな開発途上、しかもダッカのような確実な高成長都市の開発当初のタイミングに行けたのは最高のタイミングでしたが、いかんせんキャッシュがなく、絶好の機会を見送らざるを得ませんでした。

首都のど真ん中はあまりに高価なので周辺にも行きました。郊外はまだ安く、それでも高騰しつつありました。一区画500~700万円弱くらいの土地があるというので、見に行きました。日本でいうと、のどかな田園光景が広がるようなところです。それでも、ぼちぼち工場が建ったり、学校が建ったりし始めていました。せっかくなので、お試しでここを買うことにしたのです。

バングラディッシュで法人設立してみた

先に書いたように、バングラディッシュは個人で土地は買えませんから、法人設立が必要です。結果、バングラディッシュに法人を作ってみました。法的な手続きはエージェントに任せて、銀行口座を作り、送金しました。

日本から海外に送金するのは、面倒になりました。私はメガバンクから送金したのですが、送金する理由を聞かれ、説明資料と会社の登記簿や現地の銀行口座などの提出を求められました。そのほかにも、いろいろなエビデンスを求められました。

説明させられ、送金に一時間以上かかり、手数料も数万円取られました。法人設立費用と700万弱の土地代込みの資本金で約1,000万円を送ったのですが、手数料が数万円です。高いです。

しかし、それよりも何よりも、エビデンスを出すのが大変でした。バングラディッシュの裁判所が発行した法人登記簿、土地の売買契約書、土地の登記簿、銀行口座の証拠を集めて銀行に開示します。銀行はそのすべてをコピーするのです。おそらく、マネーロンダリングの問題なのでしょう。

面倒ではありましたが、送金が終わり、法人が設立できました。これで、晴れて土地が買えるようになりました。

バングラディッシュで土地は持ってみたものの・・・・・・これってランドバンキング?

小切手に土地代を書いて送付し、土地を購入、登記も終わりました。これで、私(私の法人)の土地となったわけです。
700万円弱で、2014年に取得。その後何の変化もなく、ただ土地だけ持っています。値上がりしているという噂は聞きますが、単なる噂であって、いくらなのかという数値の情報はありません。周りも土地もそのまま残っています。

私の知人たちが買った、首都圏の土地は暴騰しています。近郊でも工場用地として借り手がついて収益が上がっているようですが、農園地区にある、私の土地は、ずっとただの土地です。買い手が現れるわけでもないし、借り手が現れるでもなし。単なる農村の土地です。

値上がり益を狙って、土地を数年寝かして売却し、元本と値上がり益を得ることをランドバンキングと言うそうです。言葉カッコいいのですが、やっていることは「塩漬け」ではないでしょうかね。

管理費用がただ出ていくだけで、収益のない法人はどこまで耐えられるか

さてランドバンキングなどとカッコつけても、まったく収益を生まない安い土地を持っているだけですが、費用は毎年出ていきます。

経理作業や、税務申告書の作成、申告という作業があり、そうした管理費用が毎年かかります。バングラディッシュで仕事を生んで、納税しているだけで、収入がないので、この法人はいつまでもつのか、といった具合です。

法人の設立により、費用が出ていきます。こうした費用負担のために送金しなければならないのです。

いつ私の不動産は収益が生まれるのだろうか?

私のバングラディッシュでの土地投資は、いつ収益を生んでくれるのでしょうか。こんなことなら都心に大金を突っ込むべきだったのでしょうが。当時はそんな現金はなく、今もありません。そのうえ、もう値上がりして買うこともできなくなりました。

昨今、中国の人件費高騰によって中国からの工場移転が相次ぎ、バングラディッシュも沸いています。バングラディッシュは中国からの工場移転先の有望な候補地なのです。

まだ土地を買って数年ですが、このたった700万円が、いつか大化けするのを夢見つつ、塩漬けランドバンキングを続けるしかないのでしょう。

結果的に、フィリピン、カンボジア、バングラディッシュの不動産投資を通じて、まったく収益が出していない私の海外不動産投資は、完全にストップしています。損失を出し続けるこうした物件は資産ではなく、完全な負債。どうしたものでしょうね。

一方、バングラディッシュは高度経済成長を続けていて、投資先としては有望な国の一つです。かつて日本が中国に「世界の工場」の地位を奪われたように、中国もバングラディッシュに「世界の工場」の地位を奪われるかもしれません。私の土地は塩漬けですが、いつか大化けすることを願っています。

首都ダッカは、工場進出や都心部の不動産、鉄道などのインフラなど、これから爆発的に社会資本や企業が蓄積されていくはずです。

土地投資などという小さな投資ではなく、大きなお金を動かせる人には、バングラディッシュは有望な投資先になりそうですね。バングラディッシュはこれからも成長しますよ。投資先としては、絶対に大化けするでしょうね。これからもなんとか付き合っていきたい国です。

著者紹介

石川 貴康
石川 貴康

外資系コンサルティング会社、シンクタンクに勤務し、現在は独立の経営コンサルタント。大手企業の改革支援を今も続ける。対製造業のコンサルタントでは業界第一人者の一人。会計事務所も経ており、経理、資産評価、相続対策にも詳しい。2002年から不動産投資を始め、現在は15棟153室ほか太陽光3箇所、借地8箇所を経営する。著書に『いますぐプライベートカンパニーを作りなさい! 、サラリーマンは自宅を買うな(東洋経済新報社)』『サラリーマン「ダブル収入」実現法 、100円ちゃりんちゃりん投資、(プレジデント社)』など

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