不動産投資の最新動向
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2020年5月20日(水)
不動産市場の大暴落!? コロナショックが与える影響の程度とは
新型コロナウイルスの影響で、経済が世界的に後退することはもはや確実視されています。観光業や飲食店など既に倒産のニュースが相次ぐ中、新型コロナウイルスは不動産業界にどのような影響を与えるのでしょうか。
リーマンショック超えの下落予想を前に不動産会社はどう動く?
足元の不動産市場への影響でいうと、不動産会社も金融機関も「まだ未知数」という返答が多いです。
しかし、中には既に影響が出ている、という声も。物件の購入者が非常に弱腰になっており、契約直前になって「今後大きく価格が下がるかもしれないから購入を見送りたい」などとキャンセルされる事例が発生しているようです。
そして、しばしば聞かれるのが、リーマンショックの時に状況が似ている、という意見です。そもそも昨今の不動産市場はかねてから価格の上がり過ぎと利回りの下がり過ぎが指摘されており、価格暴落の可能性は囁かれていました。
来るべき時がきた、新型コロナウイルスがトリガーになった、として金融危機への備えを淡々と実行に移している人も多いようです。
リーマンショックの際はまず株式や債券の相場が大打撃を受け、不動産市場は1〜2年をかけて首都圏で3割程度、地方は5割程度下落しました。
大暴落は買う側からいえばチャンス。都内の一棟もの物件など、リーマンショック前は到底手が出ない物件を購入できるからです。しかし、話がそんな上手く進まないのが世の常。多くの人が、持っている株式の含み損が大き過ぎて現金化できなかったり、銀行融資が急激に締め付けられたりといった要因で物件を購入できず、涙を飲みました。
今回も同様のことになるとして、「頭金でたくさん突っ込むためにキャッシュを厚くする時期だ」と考えている人もいるようです。
ただ、東京都心一等地の物件が個人でも手を出せるような状況になることは考えにくいでしょう。相場の下落に耐えられなくなった法人や機関投資家が安値で物件を放出することはありえますが、そうした物件は市場に出て来る前に一瞬で現金購入されてしまうはず。個人は首都圏でも世田谷区や練馬区、川崎市などの物件が買いになると思われます。
しかし、コロナショックに対して投資家や不動産会社は案外、冷静に判断して行動しているようです。リーマンショックの際は金融危機が久々で、バブルの痛手が記憶にあったこともあって「都心物件でも7〜8割下がるか」とパニックになりましたが、今回についてはリーマンショックを教訓として虎視淡々と出方を伺っています。
金融機関は中小企業に優先融資?
アベノミクスによる景気回復が加速してきた2005年ごろからは年収300万円のサラリーマンでも不動産投資ができる、という売り文句で物件を販売していた不動産会社が多く見られました。しかし、スルガショック以降、地銀や信金などのアパートローンは窓口が絞られてきています。その後はサラリーマンでの融資が通りづらく、外資系金融機関の従業員や医師などが投資用不動産を購入しているようです。
そして現在、金融機関はコロナショック関連の融資を金融庁から指示されて奔走しています。実際、そちらで手一杯になって不動産融資に関する返答が滞っている、という声が聞こえています。
金融機関も「不動産は後回し」が本音なのでしょうか。内諾を得たはずが本部の決裁が降りない「融資流れ」が既に発生しているようです。
コロナショックの影響で大打撃を受け、金融機関に融資を求めるケースは今後ますます増えることでしょう。長期的に見ても、不動産の融資環境は厳しくなっていく可能性が高いです。
ピンチはチャンスか?
あらゆる業種がコロナショックの影響を受けている中、不動産市場も大きなダメージを受けることになりかねません。現在は影響を感じていないとしても、油断禁物です。
ただ、不動産は価格が下がればチャンスになる局面が必ずやってきますし、政府による事業者向けの緊急融資も、不動産投資家や不動産会社にとって注目すべきところがあります。
今は様々な制度をフルに活用しつつ、先の状況を悲観的に見極めて備える姿勢が重要になるでしょう。
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著者紹介
不動産投資塾編集部不動産投資塾編集部
投資への関心が高まる中で、高い安定性から注目を集める不動産投資。しかし不動産業界の現状は残念ながら不透明な部分が多く、様々な場面で個人投資家様の判断と見極めを要します。一人ひとりの個人投資家様が正しい知識を身に付け、今後起こり得るトラブルに対応していくことが肝要です。私たち一般社団法人首都圏小規模住宅協会は、投資用不動産業界の健全化を目指す活動の一環として本サイト「不動産投資塾新聞社」を介し、公平な情報をお送りいたします。