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甘く見た入居審査で大失敗! ゴミ屋敷化、家賃滞納、夜逃げ……大家が被る損害とは

目次

大家として、おかしな入居者を物件に住まわせてしまうのは避けたいものです。しっかり入居者審査をしないと、思わぬ問題入居者を招き入れてしまうことも。入居者が起こすトラブルによって大家がいかに損をするのか、解説します。

入居者のトラブルで大家が大損害

入居者が起こす問題としては、たとえば次のようなものがあります。

●ゴミ屋敷化
ルーズな入居者が部屋をゴミ屋敷化してしまうケースです。腐敗臭が発生すれば他の住民から苦情が出てしまうので、管理会社を通じて注意するなどの対応を取らなければいけません。

また最も問題なのは退去した後で、腐った食べ物から出た汁が床に浸透したり、水回りがダメになってしまったりしたら原状回復の費用が通常より高くついてしまいます。

入居時にもらった敷金でまかないきれない場合、入居者の責任としてオーナーから追加請求することになりますが、部屋をゴミ屋敷にするような人に追加で費用を請求しても払ってくれる可能性は低いでしょう。裁判を起こすほうが高くつくような額の費用であれば、大家が泣き寝入りするしかなくなります。

●家賃滞納
最も大家の直接的な損害につながりやすいのが、家賃の滞納です。家賃の滞納を回収するには入居者と交渉するしかありませんが、どんな条件を提示しても滞納が続くようであれば、強制退去の手続きを踏むことになります。

ただ、家賃滞納を理由として、貸主と借主の信頼関係が毀損されたと認められるのには最低でも3〜6ヶ月程度の滞納が必要で、裁判所の手続きにも時間がかかります。

日本の賃貸契約ではそう簡単に大家から入居者への立ち退き要求はできないことになっており、煩雑なやりとりをしている間にも本来入るべき家賃が入らない状況は続き、損害が積み重なってしまうのです。

●夜逃げ
入居者が突然音信不通になった……そんな夜逃げのケースでは当然、夜逃げして以降の家賃は入ってきません。大家としてできることは、入居者に連帯保証人がいる場合に家賃の肩代わりをするように交渉することです。

それと並行して、夜逃げした入居者と結んでいる賃貸契約を解除しなければいけません。これが厄介で、契約の当事者が音信不通なため通常の契約解除のやり取りができないのです。

どうするかというと、裁判所に対して「入居者が夜逃げしたから賃貸契約を解除させてくれ」と申し立てる必要があります。これも、手続きには時間を要します。また、ただの滞納と違って夜逃げの場合は入居者の残置物がある場合があり、それらを処分するのにも費用がかかります。

夜逃げするほどに困窮していた入居者なら、敷金では賄いきれないほど部屋に痛みが発生している可能性も高いでしょう。その場合も、通常の退去に比べて原状回復費用が高くついてしまいます。

入居審査のコツ

では、このようなトラブルを避けるためには、どのような基準で入居審査をすればいいのでしょうか。

まず、職業です。基本ですが、医師などの士業や公務員、大企業の正社員であればまず間違いなし、そうでなくてもサラリーマンであれば問題ないでしょう。ちょっと注意したいのは、給与の大半が歩合によって決まるような仕事をしている人。去年や今年の年収が高くても、将来生活に困窮する可能性があります。

同様に、自営業や夜の仕事をやっている人も、収入が不安定であることは頭に入れておいて判断したほうがいいでしょう。また、連帯保証人も重要なポイントです。

親などの強いつながりを持った人で、現役で働いていて収入が安定している人が連帯保証人だとベストでしょう。連帯保証人を立てずに家賃保証会社を利用するケースもありますが、リスクはやや高くなります。

家賃の回収については家賃保証会社で担保できたとしても、きちんとした連帯保証人を立てられる入居者はそれだけで問題人物である可能性が低い、というフィルターをかけることができないからです。

他に、あいまいですが「雰囲気」というものも大事な要素です。不動産投資塾の取材では、多くの不動産業界関係者が「やらかしそうな雰囲気の入居者というのはいる」と語っています。

次のような場合、要注意のようです。

●態度や言葉遣いが悪い
●収入の割に身につけているものが高級品
●契約の手続きの時点で期限や内容にルーズ
●オーナーや仲介会社に対する注文が多い

申し込みをした入居者にいちいち会うというのはオーナーも面倒でしょうし入居者が嫌がるでしょうから、一つの手は申し込みをした人の人となりを不動産会社に聞いておくことです。条件面でどうしようか迷った場合、感覚的に嫌なら断ったほうがいいかもしれません。

入居させてしまったらもう遅い

前述の通り、日本の賃貸契約は借りる側が非常に強い内容になっています。一度入居させてしまったら、簡単に追い出すことは困難。おざなりにせず、契約の前にしっかり審査するようにしてください。

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著者紹介

不動産投資塾編集部
不動産投資塾編集部

投資への関心が高まる中で、高い安定性から注目を集める不動産投資。しかし不動産業界の現状は残念ながら不透明な部分が多く、様々な場面で個人投資家様の判断と見極めを要します。一人ひとりの個人投資家様が正しい知識を身に付け、今後起こり得るトラブルに対応していくことが肝要です。私たち一般社団法人首都圏小規模住宅協会は、投資用不動産業界の健全化を目指す活動の一環として本サイト「不動産投資塾新聞社」を介し、公平な情報をお送りいたします。

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