不動産投資の最新動向
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2020年9月30日(水)
投資用物件を絶対に「自分の好み」で選んではいけないワケ
不動産の購入は、とても楽しいプロセスです。投資用であっても、住む人の生活を考え、いろいろな想像を巡らせながらの物件選びはワクワクします。ただ、投資用の不動産は、決して「自分の好み」で選んではいけません。どういうことか、解説しましょう。
大家の好みと入居者の好みは違う
当然ながら、投資用不動産とは自分で住むものではありません。したがって、オーナーの「我」が物件選びに入ると、それだけで入居者候補が狭まってしまうリスクがあることは知っておきましょう。
たとえば、あなたが「自分が家に住むのなら、オートロックと、ある程度の広さは絶対に妥協できない」と思っていたとします。しかし、果たして入居者候補も同じように思っているでしょうか。
学生や若手の単身社会人であれば、オートロックは不要だし広さなんて二の次、とにかく場所が便利でそれなりに小綺麗で家賃の安いところを探したい、という入居者はたくさんいます。
また、内装にしても、あなたの好みだからといってモダンすぎる内装やファンシーな内装、アンティーク感の強い内装などクセの強いものにするのは避けたほうがいいでしょう。大元の部屋のテイストはインテリアに凝ってもなかなか変えることができないので、それらが好みでない入居者から一発で敬遠されてしまいます。
部屋の自分らしさは入居者自身のインテリアで発揮してもらうため、物件自体は住んでからどうとでも料理できるような無難な仕様にしておいてください。
欲張ると家賃も高くなる
オーナーの趣味全開で物件を選び、こだわればこだわるほど、購入価格は高くなります。そうすれば当然、家賃を高く設定しないと利回りを維持できなくなるのです。
そもそも、新築時を除いては、家賃が周辺相場より高いことは大きなマイナスになります。よほど魅力のある物件でない限り、入居者はわざわざ相場より高い家賃の物件を選ばないからです。同じ条件の周辺物件より家賃を高くしないと購入できない物件であれば、購入するのは見送ったほうが安全でしょう。
不動産投資は、あくまでも投資です。入居者が入らなければ、サブリース契約を結んでいない限り入ってくる賃料はゼロ円。いくらオーナーが大満足できる物件を購入したとしても、儲からなければ投資の意味がありません。
そのことをよく認識し、入居者目線での物件選びを徹底するようにしてください。そうすると場合によっては、築古でボロボロの物件でも「立地がいいし買値が安いから、家賃を安くすれば十分回るな。買いだ」などといった玄人目線の判断ができるようになってきます。
地域に合った平均的の仕様で十分
もう一点伝えるとすれば、地域の特性に合った物件を選ぶべき、ということでしょう。たとえば学生街であれば、ファミリー向けの物件よりも家賃の安い単身者用マンションに需要があると考えられます。
逆に、郊外のニュータウンで単身者が少ない地域でワンルームマンションを買うと、駅近でも入居者が集まらないリスクがあります。他に、地域の所得層にも気を配りましょう。たとえば一口に都内と言っても、都心エリアや城南エリアと、城東、城北の下町エリアでは住民の平均所得がかなり異なります。
したがって、下町エリアで家賃の高い高級マンションを買っても、入居者のパイは小さくなってしまうのです。ただ城東方面でも文京区は別で、住民の平均年収が高いです。ある程度グレードの高い物件でも、入居が見込めるでしょう。
こうした土地柄は、不動産会社に聞くだけでなく、公表データから自分で調べてみるといいでしょう。また、当然ながら、よく知らない街よりも土地勘がある街のほうが物件選びの精度は上がります。初めての物件購入の場合は、住んだことや働いたことのある街を中心に選んだほうが成功率は上がるでしょう。
よく「投資用物件は自分で見る必要がない」といって地方都市の物件を即決で購入させようとする不動産会社がいますが、あなた自身の物件選びの基準がはっきりするまではお勧めしません。
基本的には、地域の特性に合った平均的な仕様の物件をなるべく安く買う、という目線で判断するのが良いでしょう。
投資家として客観的に
不動産投資家として成功したいのならば、物件という「モノ」自体に愛着を持つのは避けたほうがいいでしょう。そうしなければ、冷静に考えて手放すべきであったりテコ入れが必要だったりする際、決断するための目が曇ってしまいます。自分で住む家の好みは好み、投資は投資。投資家として冷静に、割り切って判断してください。
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著者紹介
不動産投資塾編集部不動産投資塾編集部
投資への関心が高まる中で、高い安定性から注目を集める不動産投資。しかし不動産業界の現状は残念ながら不透明な部分が多く、様々な場面で個人投資家様の判断と見極めを要します。一人ひとりの個人投資家様が正しい知識を身に付け、今後起こり得るトラブルに対応していくことが肝要です。私たち一般社団法人首都圏小規模住宅協会は、投資用不動産業界の健全化を目指す活動の一環として本サイト「不動産投資塾新聞社」を介し、公平な情報をお送りいたします。