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「アパート・マンション経営の専門家」大長伸吉の不動産投資、成功の法則

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ゼロ円で自宅と賃貸物件を持つ!賃貸併用住宅の入門編

目次

平均年齢の高齢化が話題になり、長生きできることはよいことなのですが、心配なのは将来の生活資金が足りないことです。

そのために、多くの資産形成方法がありますが、いずれもうまくいっているとは言えません。手堅い投資の代表とも言える投資信託は、時間がかかるうえに必ず利益が出るわけではありません。素早く結果を出せる株やFXでは、投機性が高い分、失敗事例がたくさんあります。

さらに、生涯の全収入の30%は自宅にかかる費用に使われ、自宅が負債だとも言われます。

住宅ローンの返済や家賃の支払いという生活上の負担が、資産形成ができない大きな原因の一つなのです。

もちろん賃貸物件に住んでいるのであれば、家賃を払い続けても、資産は残りません。戸建てやマンションを購入しても、本業での給与は、ローンの返済があり、なかなか貯蓄に回せません。

もし、自宅にかかる費用を減らすことができたなら、将来にわたり貯蓄や資産を残し、増やすことにつながります。そう、いかに自宅にかかる費用を減らすかが問題なのです。

その解決方法の一つが、賃貸併用住宅です。
今回は、賃貸併用住宅を活用した資産維持・形成方法について、お話します。

賃貸併用住宅とは

賃貸併用住宅とは、自宅に賃貸の部屋を複数併設することで、1棟の自宅自体から家賃収入を得るというものです。

この家賃収入で、住宅ローンの返済全てを賄うこともできます。
通常とは異なり、給与や本業の収入から住宅ローンの返済をする必要がなくなります。これにより、住宅ローン返済分に支払っていた額を貯蓄に回せるようになります。

・賃貸併用住宅は、本業の所得以外の収入を生み出すこともできます。
・賃貸併用住宅は、自宅のローン返済負担をゼロにすることもできます。

賃貸併用住宅ではなく、戸建て住宅を取得した人

ここで、賃貸併用住宅を取得した人とそうでない人を比較しましょう。まずは、賃貸併用住宅を取得しない人についてご説明します。

賃貸併用住宅を取得しない人は、毎月家賃を払って暮らしたり、毎月住宅ローンを払ったりと自宅の出費が大きくなります。毎月家賃を払って暮らすこと、または戸建てやマンションを購入して住宅ローンを毎月支払うことが負担になります。

都市部では家族で暮らす世帯の平均的な家賃が月10~15万円と言われています。住宅ローンを組んでいる人の平均的な返済額が、月7~12万円です。

計算をしやすいように毎月の支払い額を10万円とした場合、1年間では120万円となります。25歳で結婚して60歳まで働いたとして、ちょうど35年間です。35年の支払い総額(借入金利分を含まない)は、120万円 (年間) × 35年 = 4200万円になります。単純に35年間で給与から4200万円も失われることになるのです。

賃貸併用住宅を取得した人

適切な運営ができる新築木造の賃貸併用住宅を所有した人は、自宅を取得した後に大きな支払い負担を負わなくて済みます。なぜなら、賃貸併用住宅で得られる家賃収入があるため、ローン返済の負担がなくなるからです。(もっとも、中古物件を取得した場合は、建物が劣化しているため、高額なリフォーム費用がかかる割には建物の耐用年数が改善しないので、賃貸併用住宅として良い収益を得られるケースはほとんどありませんので注意が必要です。)

ローン返済の負担をなくすことができる利点から、最近では、賃貸併用住宅を検討している人が増えています。

家賃収入があることで、住宅ローンの返済負担を減らし、場合によってはゼロにすることができるのです。毎月支払う住宅ローンの返済額と同額の家賃収入が継続して得られるからです。さらには、ローン返済額以上の家賃収入を得て、自宅から利益をあげることもできます。

ただしそのためには、綿密な事業計画を立てて、実行することが必要です。一般のハウスメーカー、建築業者や不動産業者が戸建て住宅を建てるノウハウとは異なり、賃貸併用住宅の特殊な戦略が必要になります。新築物件というだけでは、また前述のように、中古物件では収益を出すことができません。戦略を立てるには、実績のある仲介・設計・施工・コンサルチームからノウハウを得ることも効果的でしょう。

日本人の所得がなかなか増加しない時代になりましたから、これからは、自宅から収入を得ることが特に必要となります。そして、住まいにかかる費用を家賃収入で賄い、さらに利益を生む賃貸併用住宅が有効なのです。

ここで、賃貸併用住宅を取得した人とそうでない人の比較に戻って見ましょう。一戸建て住宅を取得した人は4200万円もの大金を自分の給料から支払い、賃貸併用住宅を取得した人は給料からの出費がゼロになります。一生涯における給料からの支払い負担の差は、4200万円にもなります。また、住宅にかかる毎月の支出が15万円の人であれば、年間で180万円、35年間で6300万円もの差になります。

もしこの差額を、ローン返済に充てることをしたらどうなるでしょうか? もしそのような返済計画を立てたなら、ローンの繰り上げ返済によって20年ほどでローンを完済することも難しいことではありません。 ローンが完済したのならば、その時点から得られる家賃収入はすべてあなたのものです。完済時に定年退職を迎えていたら、その収入があなたの年金となり得るのです。

賃貸併用住宅のさらなるメリット

また、ローンの完済後は、賃貸併用住宅の自宅部分を貸し出すことも有効です。つまり25歳で始めた人は、20年後の45歳で、1棟の賃貸収益物件を所有することになります。これ以降はローンがないため、この物件を担保に2棟目の収益物件を取得することも可能です。

この時には、あなたの所有資産額は1億円を超えていることでしょう。2棟目の収益に加えて、ローンのない1棟目の収益があるので、2棟目の返済もさらに短期間になります。2棟目が完済したのならば、3棟目の収益物件を取得することも夢ではありません。この資金をもとにして、さらに収益物件を取得して、資産や賃貸収入を倍増させることも可能です。

賃貸併用住宅を活用して、この収益の使い道を決めるのはあなたです。あなたに夢があるのなら、その夢をかなえるのに十分な額と言えます。

ここまででお話したストーリーは、誰もが達成できるわけではありません。準備や事業計画を間違えると目標の50%も収益が得られなくなるかもしれません。そうならないためには知識が必要です。

しかし、あまり難しく考える必要はありません。もし賃借人として家賃の支払いに困っているのなら、また戸建て住宅やマンションの購入を予定しているのなら、まず賃貸併用住宅を活用して収入を増やし、資産を増やすことを検討してください。

あなたの夢をかなえるために、賃貸併用住宅を活用して、収益を得る方法は極めて有効なのです。

賃貸併用住宅の注意点

賃貸併用住宅は、メリットばかりではありません。主なデメリットは、賃貸併用住宅は通常の戸建ての2倍ほどの大きさであり、その分、費用もかかるため、通常の住宅ローンの2倍ほどの借入額となります。

これは、一般的なサラリーマンの給与では返済が不可能と言われるレベルに相当します。さらに、賃貸の部屋は、必ず満室になるというものではありません。空室になっては、家賃は一切入ってきません。

負債が大きく、空室リスクがあるからこそ、しっかりと事業計画を練って満室にし、ローンの返済をオーナーの給与から払うことのないように特に注意しなければなりません。

そのため、賃貸経営として大切な立地選びを特に注意しておこなう必要があります。そして、建物建築においても、他の競合物件にはない、特別な特徴が必要となってくるでしょう。

賃貸併用住宅を取得する前にやるべきこと

賃貸併用住宅は、簡単に戸建てやマンションを購入することとは異なります。しっかりと賃貸経営について、勉強をする必要があります。

自己の目標設定、優良な土地探し、差別化のある建物や部屋づくり、適切な銀行ローン選び、満室とするための入居者探し、継続的な物件管理、不動産所得税等の扱い方などです。

どれ一つを欠いても、失敗をするリスクがありますので、高額な物件を取得する前に、たくさんの情報を集めて、しっかりと理解をして、的確な判断をするべきです。

まとめ

将来の生活資金が足りなくならないように、生涯で一番大きな支出である住宅にかかる費用を減らす対策が大切です。

その解決方法の一つが賃貸併用住宅で、家賃収入で住宅ローンの返済全てを賄うこともできるというメリットがあります。

しかし、賃貸併用住宅はメリットばかりではなく、注意すべきことがあります。

負債が大きく、そして空室リスクがあるため、満室にするために、土地探し、差別化のある建物や部屋づくりなどについて勉強しておくことが大切です。的確な判断をして、将来のために資産形成をすることが有効です。

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著者紹介

大長 伸吉
大長 伸吉

ランガルハウス株式会社 代表、年金大家会 主宰。
生涯所得の1/3ほどの住まいにかかる出費をゼロにするために、賃貸併用住宅を活用して、サラリーマンや事業主をサポート。
千葉大学大学院工学研究科卒、新築及び中古1Rマンション、中古アパート、世田谷/北関東/多摩新築アパートなど各種の不動産賃貸業の経験をもとに、主にサラリーマンのアパート経営の支援。建築サポート実績127棟。通算2050人の聴講者と2450回を超える相談会にてサポートを継続中。著書に『サラリーマン大家の「クズ土地」アパート経営術』『王道アパート経営で「マイ年金」づくり』など
所持資格:宅地建物取引士、貸金業務取扱主任者、FP2級技能士

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