不動産投資の最新動向
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2020年9月29日(火)
コロナによって変化した賃貸物件の需要
新型コロナウイルスによって、人々の「住まいの価値観」が大きく変わっていることが取り沙汰されています。近年はとにかく都心回帰が一つのキーワードですが、コロナ禍における賃貸需要はどのように変わっているのでしょうか。不動産投資塾の取材をもとに最新の状況を読み解きます。
郊外志向が顕著に
近年の賃貸で人気のエリアといえば、「池袋」「川崎」「浦和」など、都心まで好アクセスでありながらも、普通のサラリーマンでもなんとか手の届く駅近辺でした。
しかし、新型コロナウイルスの蔓延以降は、人気のエリアはさらに郊外に広がっているようです。
取材の中で具体的に駅名が上がってきたのは、「大宮」「津田沼」「八王子」「町田」「平塚」「本厚木」など。コロナ前であれば、家賃が安くて買い物なども便利なものの、ちょっと都心から遠すぎる、街のイメージが悪い、などといった理由で住まい探しの対象からは外れがちだったエリアです。
郊外エリアが人気を集めているのは、テレワークによって出社の必要がなくなり、都心へのアクセスが問題にならなくなったのが大きな理由です。
また、ウイルス感染への安全性にも着目しており、人が密集する場所に近づかなくても暮らしていけるエリアを選ぶ傾向が出てきているようです。
ただ、コロナ後に人気になったエリアも、東京駅や新宿駅といったターミナル駅まで電車一本で行ける、という点は押さえています。
テレワークといっても日数限定で出社はする必要があり、また今後いつまた毎日出社になるかも知れません。最低限の都心へのアクセスを保ちつつ、今よりやや郊外に脱出しようという傾向がうかがえます。
物件の選び方も変化
最寄り駅だけでなく、物件自体の選び方にも変化が生じているようです。
中でも多く聞かれるようになったのは、「駅チカである必要がなくなった」ということ。日数限定の出社であれば少々駅が遠くても問題がないからです。
駅からの距離は非常に家賃への影響が大きな要素で、駅から遠いのを妥協するだけで物件のグレードがかなり上げられます。
今までは駅への近さを優先して我慢していた住まいだったのを、快適に暮らせる家に引っ越そう、という動きが出ているようです。
仕事部屋が欲しい!
他の物件選びの基準で言うと、部屋数の多さを求める傾向が強まっています。
その理由は、家族がいる部屋でテレワークを行うことに多くの人が不都合を感じていること。
「夫婦どちらかがリモート会議をしていると息を潜めなければいけず、集中できない」「家にいると休みだと思って子どもが遊びたがる。仕事にならない」など悲痛な悩みの声が多数上がっており、既に家族の関係に亀裂が入っているケースも聞かれます。
中には、コロナが原因で離婚することになった夫婦もいるようです。
直近で引越しを決めた家族は、テレワーク環境下において独立した仕事場を求めるケースが非常に増えているといいます。
とある賃貸仲介会社の担当者、C氏に話を聞いてみました。
「コロナ発生直後に比べれば、物件に対する問い合わせは徐々に回復してきました。以前はとにかく立地で絞り込んでから物件を検討する人がほとんどでしたが、最近はまず物件に対する条件ありきで、立地にはそれほどこだわらないケースが増えていますね。とにかくできる限りたくさんの部屋を、それが難しければ広いリビングが欲しい、という要望が多いです。旦那さんがテレワークに集中するための個室は狭くても必須であるとか、リビングを広げて子どもがリモート授業を受けるための学習机を置きたいとか、部屋の使い方が明確になっている状態で相談に来ていただけるケースが多い印象です。都心に近い立地や駅チカにこだわらなければ、正直、きれいで広いのに空室になっている物件は結構あるので、コロナ後になってからの方が契約は決めやすいですよ」
関東の不動産価格が平準化に近くか?
もともと、近年の都心住まいに対する人々の執着は異常といってもいいほどで、都心の賃貸の人気物件はレインズに出た途端に即日決まってしまうことが当たり前でした。
また、投資家としても都心の物件は価格が上がりすぎ、買ってもとうてい利益が見込めない状況になっていた部分もあります。
コロナによって人々の価値観が変化し、郊外暮らしを望むようになれば、いずれ不動産の価格にも跳ね返ってきます。
物件の余っている郊外で入居者需要が高まり、過熱した都心物件の価格が下がるのであれば、投資家にとって不動産投資で儲けるチャンスは拡大するかもしれません。
今後、人々の価値観の変化を含めたトレンドから目が離せません。
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著者紹介
不動産投資塾編集部不動産投資塾編集部
投資への関心が高まる中で、高い安定性から注目を集める不動産投資。しかし不動産業界の現状は残念ながら不透明な部分が多く、様々な場面で個人投資家様の判断と見極めを要します。一人ひとりの個人投資家様が正しい知識を身に付け、今後起こり得るトラブルに対応していくことが肝要です。私たち一般社団法人首都圏小規模住宅協会は、投資用不動産業界の健全化を目指す活動の一環として本サイト「不動産投資塾新聞社」を介し、公平な情報をお送りいたします。