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賃貸物件の一括借上げに潜む闇! 知らなきゃ損するトラブル事例

目次

不動産の賃貸経営には、「一括借上げ」という方法があります。

一括借上げはサブリースと混同されやすく、投資家でも意味を正確に理解していない人が多いようですが、厳密には少し異なります。

今回の記事では、一括借上げとサブリース、同じく混同されやすい管理委託との違いを解説します。

一括借上げのメリットとデメリット、よく発生するトラブル事例も紹介します

「一括借上げ」は「サブリース」とどう違う?

一括借上げとサブリースは同義だと思われがちですが、厳密には意味が異なります。

「一括借上げ」とは、オーナーの所有物件であるマンションやアパートを、不動産会社や管理会社が一棟丸ごとなど一括で借りる方法。

いわば、オーナーは不動産会社や管理会社には部屋をあずける感覚で運用をまかせることができます。

管理会社がオーナーから物件を借り上げることは、「マスターリース」とも呼びます。

一方で「サブリース」とは、不動産管理会社がマンションおよびアパートのオーナーから物件を借り上げて、その管理会社から入居者に又貸し(転貸)する方法。

つまり、サブリースを行なうためには、オーナーから一括借上げ=マスターリースを行っているということになります。

「一括借上げ=一棟借り上げ」というわけではない!

一括借上げは、マンションやアパートを一棟丸まる、借り上げてくれるイメージがあります。

しかし、中古物件の場合は、空室だけを借り上げして、サブリースする場合もあります。

「一括借上げ」と「管理委託」の違いを知ろう

一括借上げは、管理委託とも違いがあります。

「管理委託」は、不動産オーナーが管理会社などに物件の管理業務を依頼する契約方式です。

一括借上げとは異なり、管理委託はオーナーと入居者が直接賃貸契約を締結します。

管理委託は、入居管理やクレーム対応、設備修繕などを代理人である不動産管理会社がすべて代行してくれるメリットがあるのです。

管理委託と一括借上げは、手数料や家賃保証、契約期間にも大きな違いがあります。

管理委託の手数料は、物件によって異なりますが、一般的には賃料の3〜10%が相場です。

家賃保証はないため、空室が出た際には賃料は一切入ってきません。契約期間は2年更新が通常です。

一方、一括借上げの場合は、オーナーの所有物件を不動産管理会社が一括で借上げするため、賃貸経営に関するすべての業務を管理会社が行ないます。

賃貸借契約については、不動産管理会社と入居者間で締結するため、オーナーは入居者と直接やり取りする必要はありません。

一括借上げの場合の手数料は賃料の10〜20%が多く、後述しますが家賃保証は空室の有無にかかわらず賃料の80〜90%を受け取ることができます。

契約期間は2年、10年、20年、30年というパターンで、ローンの返済年数に近い長期契約を締結することが多いです。

また、オーナー自身がすべて管理業務を行なう「自主管理」という方法もありますが、日中勤務しているオーナーの場合は、管理会社にまかせるほうが現実的でしょう。

なぜなら、自主管理の場合はオーナーが入居者と直接やりとりをするので、家賃滞納や隣人トラブルなど、すべてオーナー自身が対応しなければなりません。

入退去の際はとくにトラブルが多く、特に退去時の原状回復費用などの問題で裁判に発展することも。

管理委託をしていれば、管理会社がこのようなトラブルをすべて対応してくれます。

管理会社の業務範囲に仲介業務も含まれる場合は、空室が出たら入居者の募集を行なってくれるのは、管理委託の大きなメリットでしょう。

一括借上げのメリットとデメリット

次は一括借上げのメリットとデメリット3つを解説します。

メリット①安定した収入が毎月見込める!

一括借上げの最大のメリットとは、毎月満室時の家賃収入の80〜90%が保証されます。

空室になった場合も同様の金額が振り込まれるため、収入の安定化が図れます。

仮に入居者が家賃を滞納しても、上記の賃料保証は必ず支払われます。

メリット②クレーム対応や建物管理は全て管理会社任せにできる!

一括借上げでは、物件の管理や運営をすべて管理会社に一任できます。

なかでも面倒な入居者同士のトラブルも、オーナーが対応する必要はありません。

管理会社には長年のノウハウが蓄積されているため、過去の事例をもとに、早期解決に導くことができるでしょう。

管理、運営をすべて任せられる一括借上げだからこそ、賃貸経営による土地活用を決断できたというオーナーも数多くいます。

メリット③確定申告が楽になる!

自分で確定申告することに不慣れな人は多いでしょう。

一括借上げでは、不動産管理を管理会社に任せていれば、これらの業務や領収書の管理をすべて管理会社が代行してくれます。

結果的に、確定申告の際の煩雑な準備から解放されるため、余裕をもって申告を済ませることができるでしょう。

デメリット①家賃収入が減る可能性あり!

賃貸経営において、空室リスクや建物の経年劣化による価値低下は避けられません。

一括借上げは空室リスク軽減のための対策ですが、不動産オーナーと管理会社で数年に一度の周期で契約の見直しが行われます。

あまりにも空室率が高いと、契約内容の見直しによって家賃設定を減額するよう求められこともあります。

つまり、家賃収入が減ってしまう可能性があるということです。

デメリット②礼金や更新料といったプラスアルファの収入が見込めない!

一括借上げは、家賃の一部が管理会社に差し引かれ、リース料がオーナーに支払われる仕組みです。

満室時でも家賃収入を満額もらうことはできず、礼金や更新料といった追加の収入もえられません。

家賃収入を最大化することができないのは大きなデメリットでしょう。

ちなみに、入居付け(入居者を募る)を行なう期間は免責期間とみなされ、家賃保証がないことにも注意しましょう。

デメリット③契約解除される可能性が高い!

一括借上げでは、前述の通り賃料の値下げを求められる可能性があります。

もしもオーナー側が賃料改定協議に応じない場合、契約解除になる恐れも。

一括借上げのよくあるトラブル事例

実際に一括借上げには、さまざまなトラブルが発生しています。具体的な事例を紹介します。

トラブル事例:有効期限を気にせずに契約したら、家賃収入が激減!

世の中の契約には有効期間が定められています。一括借上げも、契約期間があります。

オーナーAさんは、30部屋ある賃貸マンションを所有していました。

家賃設定10万円のマンションを管理会社が借上げ、家賃保証は80%の条件でAさんと契約。

Aさんのマンションは、もともと空室が数部屋ありました。

一括借上げ後は、空室があっても30部屋分の80%が保証されて、毎月必ず240万円の収入がありました。

しかし、空室が埋まらない状態が続いていたある日、管理会社から驚くべき通告が。

周辺の賃料相場が変わってきたので、家賃設定を引き下げてくださいという内容でした。

「30年間一括借上げで家賃保証」という内容で契約したにもかかわらず、わずか2年目での通告です。

契約書には解約条項があり、経済状況の変化に伴い、管理会社側は賃料の減額請求ができると――。

減額や保証家賃額の改定に合意しなければ、契約解除ができるという内容でした。

Aさんは保証家賃額の減額請求に応じるしか方法はありません。

その後も空室は解消されることなく、最終的には赤字を理由に、一方的に契約を打ち切られてしまったのです。

いずれもよく見ると契約書面には記載があったといいます。

契約内容はきちんと確認! 管理会社選びも慎重に

一括借上げを検討する際には、事前に契約内容をしっかりと確認するよう心がけてください。

契約解除を一方的に通告するような管理会社は避けましょう。

ていねいにサポートしてくれて信頼できる管理会社を、慎重に検討してください。

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著者紹介

不動産投資塾編集部
不動産投資塾編集部

投資への関心が高まる中で、高い安定性から注目を集める不動産投資。しかし不動産業界の現状は残念ながら不透明な部分が多く、様々な場面で個人投資家様の判断と見極めを要します。一人ひとりの個人投資家様が正しい知識を身に付け、今後起こり得るトラブルに対応していくことが肝要です。私たち一般社団法人首都圏小規模住宅協会は、投資用不動産業界の健全化を目指す活動の一環として本サイト「不動産投資塾新聞社」を介し、公平な情報をお送りいたします。

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