不動産投資の最新動向
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2020年8月31日(月)
賃貸不動産をペット可物件にする前に知っておきたいリスク
入居付けをしやすくするため、持っている物件をペット可にしよう!大家の自分がペット愛好家なので、入居者にもペットと一緒に住むことを許してあげたい……。
そのように考えて、自分の物件をペット可にするかを検討する大家が多くいます。しかし、自分の物件をペット可物件にすることには、意外なリスクが潜んでいることをご存知でしょうか。リスクを知ったうえでペット可物件にするかを判断しましょう。
ペット可賃貸物件にありがちなトラブル
特に築年数が経った部屋に入居者をつけるために、ペット可賃貸物件にするのは一つの選択肢です。
しかし、ペット可賃貸物件では大家と入居者の間に思わぬトラブルが発生することが、不動産投資塾の調べでわかっています。
問題になるのは、退去の際の原状回復費用です。ペットと一緒に住んでいる場合、通常の賃貸以上に部屋が痛んでしまう場合があるからです。
たとえば猫を飼っている入居者であれば、猫が柱や壁紙で爪を研いでボロボロになってしまった、畳やふすまにおしっこをかけられて匂いがとれない、といったパターンがあります。
ひどいケースだと、入居時は1匹や2匹だった猫が繁殖してしまい、退去時には部屋がネコ屋敷状態になってしまった、ということもあるようです。
そうなれば当然、部屋はボロボロになります。クリーニング一回では匂いが取れずに二回やる羽目になった、という大家もいました。
当然、入居時に受け取った敷金では原状回復費用を賄いきれず数十万円の請求を入居者にすることになり、「高すぎる!」となって払ってもらえないケースもあるようです。
また、いくらクリーニングをしても匂いが完全には消えないことも多く、そうすると匂いが気にならない入居者を探すしかなくなります。
結局、ひどい住み方をされたせいでその後ずっと空室が続いてしまっている大家も多くいるようです。
規約の作り方に注意しよう
自分の物件をペット可賃貸物件にするリスクを回避するのには、規約の作り方が鍵を握ります。
規約の基本事項は、東京都福祉保健局が作成した「集合住宅における動物飼養モデル規程」が参考になります。
・集合住宅における動物飼養モデル規程
https://www.fukushihoken.metro.tokyo.lg.jp/kankyo/aigo/yomimono/mhyousi/index.html
一部、規約モデルを抜粋してみましょう。
第6 居住者が飼うことのできる動物の種類は、次のとおりとする。
1) 犬及び猫(大きさ及び種類は、各集合住宅で定める。
2) 小鳥(具体的な種類は、各集合住宅で定める。)
3) その他の動物(具体的な種類は、各集合住宅で定める。)
(飼うことのできる動物の数)
第7 居住者が飼うことのできる動物の数(一世帯当たり)は、次のとおりとする。ただし、 複数の種類の動物を飼う場合の数は、別に定めるものとする。(頭羽数は、各集合住 宅で定める。)
1) 犬又は猫については、○頭以内(頭数は、各集合住宅で定める。)
2) 小鳥については、○羽以内(羽数は、各集合住宅で定める。
3) その他の動物については、○頭羽以内(頭羽数は、各集合住宅で定める。)
(居住者の行う手続)
第8 居住者は、管理組合等に対して、次に掲げる手続を行わなければならない。
1) 動物を飼う場合は、あらかじめ許可を受けるとともに、この規程を遵守する旨を誓 約すること。
2) 犬を飼う場合は、1)の手続を経た後、速やかに狂犬病予防法第4条に規定する登録及び同法第5条に規定する予防注射を行った旨の証明を提示すること。
3) 動物を飼わなくなった場合は、その旨届け出ること。
(以上抜粋)
このように、ペットに関する規約を設ける場合に使えるフォーマットが用意されています。
熟読のうえ、必要だと思う部分を規約に盛り込みましょう。頭数制限を含めることもできます。
入居付けには効果的か?
以上のように、賃貸物件をペット可にすることにはリスクがあり、最悪は入居者の退去後に部屋が使えなくなってしまうことも考えられます。まずはリスクがあることを認識したうえで判断すべきでしょう。
ただ、逆に言えば、他の賃貸物件ではペットとの同居を嫌がる大家も多いのも事実。ペット愛好家の入居者はペット可を絶対の条件として物件を探しますから、競争の激しい地域の物件においてはペット可が大きな強みになる可能性もあります。
リスクを回避する規約を十分に整備のうえ、ペット可を判断するのも一つの経営戦略でしょう。
築古の場合はリスクを取らなければいけないことも
特に保有物件が築古の場合、家賃をかなり下げても入居者がなかなか決まらないこともあります。
空室が続けばその分、ランニングコストで持ち出しが続くばかりですから、奇策としてペット可を判断してもいいかもしれません。
持っている物件から少しでも収益を上げるため、時にはリスクをとるべきタイミングもあるのです。
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著者紹介
不動産投資塾編集部不動産投資塾編集部
投資への関心が高まる中で、高い安定性から注目を集める不動産投資。しかし不動産業界の現状は残念ながら不透明な部分が多く、様々な場面で個人投資家様の判断と見極めを要します。一人ひとりの個人投資家様が正しい知識を身に付け、今後起こり得るトラブルに対応していくことが肝要です。私たち一般社団法人首都圏小規模住宅協会は、投資用不動産業界の健全化を目指す活動の一環として本サイト「不動産投資塾新聞社」を介し、公平な情報をお送りいたします。