不動産投資の最新動向
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2020年7月30日(木)
不動産投資はサラリーマン人生を棒に振る最凶の選択肢にもなる
不動産投資ブームで爆増した「サラリーマン大家」。今でこそ融資が厳しくなりましたが、上場企業に勤める方など、それなりの給与と安定があればサラリーマン大家デビューは不可能ではありません。
しかし、軽い気持ちで始めた不動産投資が失敗して、思わぬ悲劇が訪れるケースもあります。不動産投資の恐ろしさについて、不動産投資塾編集部がまとめました。
「手堅い投資」が絶望のどん底に
事例ベースでご紹介します。
東京郊外にある中古の一棟アパートを購入したAさん。購入価格は7000万円ほど。
もともとは都心の中古区分ワンルームから不動産投資を始め、順調な利回りを得ていましたが、毎月の手残りが段々と物足りなく感じてきました。
今後の投資について不動産会社と話している中で、組めるローンの範囲内で購入できる一棟物件が出たと聞いて、Aさんは即決します。表面利回りは9%を超える物件で、いい買い物ができたと大満足でした。
物件の引き渡し時は満室で、順調に賃貸経営が回っていました。
しかし、問題は購入の2年ほど後に起こりました。契約の更新の際に次々と入居者が出て行ってしまったのです。
埋まらぬ空室にしびれを切らし、Aさんは、客付け会社に広告料を支払うなどの対応をしました。
しかし、それでも次の入居者は決まりません。仕方なく賃料を下げて入居者を募集しましたが、満室にはならなかったそうです。
なぜなら築古で駅から徒歩15分ほどもある物件を買ってしまっているから。満室での引き渡しに安心していたAさんは、空室になったときの想定が足りていませんでした。
家賃を下げて想定利回りを得られず、意気消沈していたAさんを追い討ちにしたのが、金利の引き上げです。
Aさんはローン支払額を少なくするために変動金利のローンを利用していたのが、市中金利が上がって裏目に出てしまったのでした。
加えて、築古の物件はあちらこちらに不具合が出て、予想外の出費はどんどん増えていきます。
結果、物件は毎月赤字を垂れ流し、手出しが続くばかりの状態になってしまったのです。
耐えかねて売却の査定に出したものの、査定額で売れてもローンの残債がかなり残ることが判明。Aさんは身動きが取れなくなり、すっかり弱り果ててしまいました。
不動産投資、4つの落とし穴
「成功大家」たちが華やかに取り扱われる一方、Aさんのような失敗例は多数存在します。
不動産投資は投資である以上、リスクは確実に存在するのです。不動産投資の「落とし穴」ともいえる負の側面には、次のようなものがあります。
落とし穴①想定利回りが継続するとは限らない
多くの投資家は利回りを基準にして物件を購入しますが、実際に収益が上がる物件なのかはよく考えないといけません。
Aさんのように、購入当初は満室の物件でも実際は入居付けが非常にしづらかったり、予定外のメンテナンスコストがかさんだりすることはよくあります。
実際にどうお金が入ってきてどう出ていくのか、不動産会社の言うことをうのみにするのではなく自分でシミュレートしなければいけないのです。
落とし穴②「借金をする」ことのリスク
不動産投資は、ローンを使うことで手金がほとんどなくても投資できるようにPRされますが、ローンを組むことは借金をすることです。
金利が変わって収支が悪化する可能性もありますし、何かの都合でお金が必要になって急に物件を売りたい時、売って残債が残れば家賃収入なしでローンを返し続けなければいけないのです。
株式投資は失敗しても買った株の価値が下がっているだけですが、不動産投資は借金返済が残ります。
落とし穴③やめ時を見極めづらい
不動産投資の借金返済を求めて怖い人が家に訪れてくるわけでもなく、失敗していることに当の本人が気づきにくい一面があります。段々と収支が悪化していくということはすなわち、物件の価値が下がっているということです。
しかし費やしたお金が大きいことから、なかなかスパッと損切りできない人が多くなります。心理学でいう「コンコルド効果」で、薄々は投資に失敗したとわかっていても、もしかしたらあと一息で回復するかも、という期待を抱いてしまうのです。
落とし穴④思わぬ出来事が投資に影響する
たとえば大学や大企業の工場など、特定の施設の関係者に入居者需要を頼っている物件の場合、それらが移転してしまえば利回りは絶望的です。
他にも、日本経済全体には大きく影響しないような局地的な地震、大雨などの災害でも、物件がダメになってしまえば多額の修繕費がかかってしまいます。最悪は使用不能になってしまう可能性も。
「学校が近いので学生からの入居が継続しますよ」などの営業マンの言葉はポジショントークです。本当にそうなのかは、お金を出す投資家自身が見極めてください。
リスクと損切りのポイントを認識する
不動産投資の失敗を避けるためには、「知識と思考の連続」しかありません。
まず、物件を購入する前に、失敗例も含めた不動産の運用例について知識を蓄え、パターンを認識することです。
知識が豊富であれば不動産会社に質問する内容も自然と的確になり、購入判断の精度を高められます。
ただ、プロであっても物件購入は失敗します。
「最悪はいくら損をする。このラインで損切りしよう」という基準を明確に定めて必ずそれを守り切り、次の投資で成功を目指すようにしましょう。
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著者紹介
不動産投資塾編集部不動産投資塾編集部
投資への関心が高まる中で、高い安定性から注目を集める不動産投資。しかし不動産業界の現状は残念ながら不透明な部分が多く、様々な場面で個人投資家様の判断と見極めを要します。一人ひとりの個人投資家様が正しい知識を身に付け、今後起こり得るトラブルに対応していくことが肝要です。私たち一般社団法人首都圏小規模住宅協会は、投資用不動産業界の健全化を目指す活動の一環として本サイト「不動産投資塾新聞社」を介し、公平な情報をお送りいたします。