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石川貴康の超合理的不動産投資術

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有名大家が実践!所有物件の「ゴミ問題」解決のための対応策とは?

目次

投資用の物件が手に入ったら、家賃収受とあわせて慎重にすべきなのは、物件の維持、特に「環境整備」が重要です。

大金をはたいて購入した物件ですから、常にきれいに保ちたいし、清潔にしておきたいものです。きれいで清潔だからこそ、入居者も入ってくれます。掃除も大事ですし、壁や屋根といった外装も大事です。しかし、物件維持のなかでも、特に重要なのは、「入居者のゴミ出し」なのです。

ゴミ出しは、入居者にまかされている部分でもありますが、最終的な責任は大家が担います。ゴミ出しの「質」の結果は、大家に帰ってくるのです。たとえば、ゴミが散乱している物件に誰が住みたいと思うでしょう。あるいは、そうしただらしなく、汚い物件のそばの住人はどう思うでしょう。

ゴミ出しのマナーが悪く汚い場合、入居者、近隣からのクレームが来ます。それだけではなく、汚い物件であれば、通りすがりの人も、ポイ捨てをしてもいいだろうと、勝手にゴミを捨てていくかもしれません。物件は荒れる一方です。汚い物件はとにかく近隣トラブルの元となります。

この状況で新規の内見があっても、外見だけで入居は敬遠されるでしょう。もし、売却を検討しようとしても、購入さえも見送られるかもしれません。実際、私も博多の物件でゴミが散乱した状況を見て買うのをやめたものもありました。もちろん、荒れた物件をキレイにすることで物件を回復させることもできますが、博多という地での最初の物件で、遠隔地であることもあり、その時は購入を見送ったのでした。汚いということは、入居者の質も悪く、改善に時間と手間がかかると踏んだのです。その後はもちろん、別のきれいな物件を購入しました。

このように、入居でも、売却でも汚い物件は敬遠され、儲けが遠のいていくのです。もったいないことです。

ゴミ出し、粗大ゴミは新規契約時に出し方を指導しておく

それでは、環境をきれいに維持するため、ゴミ出しはどのように対策すればいいのでしょうか。

まず、最初は、新規契約時の「入居時のゴミ出し指導」です。管理会社にお願いして、ゴミ出しのマニュアルを作ってもらいます。ゴミの分別の仕方、ゴミ出しの曜日・時間、ゴミを出すときの袋、形式、その他守るべきルールなどです。粗大ゴミに関するルールも必ず伝えてもらいます。

最初が肝心ですので、ゴミ出しのルールを徹底的に理解してもらいます。

できれば、物件には集合のゴミ箱を設置します。ゴミを直接出すと、散らかりますし、カラスや猫に荒らされることもあります。散乱したゴミを清掃する手間とコストを考えれば、ゴミ箱を設置するくらいは安いものです。

また、直にゴミを出していると、入居者以外の人が勝手にゴミを捨てていくこともあり、ルールを無視した投棄となってゴミ出しが荒れてきます。ゴミ箱があれば、勝手に置いていきにくい状況も作れるので、環境がよくなります。ゴミ箱の設置は、ゴミの散乱や不法投棄を抑制することができるのです。

ゴミ箱を置くスペースがない場合があります。その際は、黄色いネットなどが出せるようにしておき、入居者の1人にゴミ出しの際の黄色いネット掛けをお願いするのも手です。あるいは、物件の一部にネットを固定し、ネット下にゴミを出してもらいます。黄色いネットはカラス除けになるのです。私の実家の2つの物件は黄色いネットを使っています。

自転車やオートバイは「登録制」にする

入居がはじまったら、今度は定期的に清掃し、常にきれいにしておくことで散らかしにくい雰囲気をつくります。きれいな場所は汚しにくいのです。逆に、汚くしておくと、どこまでも汚くなるので、注意が必要です。

定期的な清掃は、抑制策にもなります。おかしなゴミ出しがあった時に、片付けることで、普通の人なら、申し訳ないな、といった罪悪感を感じるので、ゴミ出しが改善されます。

自転車やオートバイの存在も環境の良否に影響があります。汚く並んだ自転車、オートバイは環境悪化の「誘因」になるのです。これは放置自転車も同様です。汚い駐輪場には、放置自転車も捨てられてしまいます。駐輪場が汚いと、かごにゴミを捨てていかれます。

自転車、オートバイは、できれば置き場所を決め、登録制にします。駐輪場所に線を引いて、ナンバーを振って、登録した入居者だけが置けるようにします。

それでも放置自転車があたら、即廃棄しましょう。放置自転車はゴミの不法投棄を呼び込みます。

勝手に粗大ゴミが投棄されるケースも起きる

前述したように、日常のゴミ出しはルールを作っていくことで、きれいな状況がキープできます。粗大ゴミも出し方を指導することで入居者による違法な投棄は抑制できます。しかし、滅多に出さない粗大ゴミは、引っ越しシーズンや大掃除シーズンに、粗大ゴミと意識せずに出されてしまうこともあります。入居者が出した場合は、ポスティングなどで注意を促すことで改善されます。

しかし、一番困るのは、入居者以外の不法な粗大ごみの投棄です。入居者ではない人が、物件のそばに不要な粗大ごみを捨てていくというのは、賃貸業を営んでいると起きえます。

私の物件が受けた粗大ごみの不法投棄は、以下のようなものです。

テレビ、オーブン、電子レンジ、ガスレンジ、マットレス、自転車、便器、ディーゼル発電機などです。テレビ、オーブン、電子レンジ、ガスレンジ、マットレス、自転車くらいまでは、普通の人の投棄ですが、便器、発電機は明らかに業者の投棄です。普通の人が捨てるはずがありません。

不法投棄は、物件掃除に行ったときに私が見つけ、管理会社と相談して処理しました。こうした場合、大家が費用も持つので、受ける打撃が大きいです。

粗大ゴミを捨てられにくくする方策とは?

粗大ゴミは捨てるにも費用がかかるため、人によっては違法に捨ててしまいたいという人もいるのでしょう。私のアパートのひとつは場所柄捨てやすい場所なのか、けっこう不法投棄の被害にあいました。先ほどの便器、ディーゼル発電機などは、業者が「ここは捨てやすい」と思われたのか、連続して投棄されたのです。そうした粗大ごみを長く放置すると、このように捨てやすいと認識される恐れがあるので、即対応しましょう。

不法投棄による粗大ごみを捨てられにくくするために、だいぶ苦労しました。即、処理するのは当然として、張り紙をしたり、植生を置いて捨てにくくしたり、ポールを置いたり、いろいろと試しました。

結局、なにをしても捨ていく人は捨てていくのだということもわかりました。したがって、常にきれいにしておくしかないのだと思い、定期的な掃除、見回りの徹底を管理会社にお願いしました。

そのかいあってか、最近は粗大ごみの不法投棄はめったになくなりました。やはり、人の目があり、常にきれいにしているというのは、予防効果となるようです。

しかし、それでもあまりにひどい状況の場合は、監視カメラ、警告ライトの設置も考慮しましょう。

私の実家物件では、警告ライトを設置しました。それだけでなく、物件の周りの共用灯を増やし、夜でもはっきり顔がわかるくらい明るくしています。夜間の不法投棄を防ぐためです。コストはかかりますが、不法投棄に対する廃棄費用、環境の悪化を考えると安いかなとも思います。

ゴミ問題は「事前対応」と「迅速な事後対応」の組み合わせで対処せよ

ゴミ問題は、入居者への指導、清掃の実施による日常的にきれいな状態の維持、駐輪場の整備などの事前対応が重要です。

防止策として、ゴミ箱の設置や張り紙、監視カメラ、警告ライトの設置が有効となります。そのうえで、散乱や不法投棄があった場合には放置せずに、即対応することで「ここはきれいで捨てにくい」という状況を作りましょう。手間とコストがかかりますが、経験上、結局そうした方法しか手がないようにも思います。大家も大変です。

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著者紹介

石川 貴康
石川 貴康

外資系コンサルティング会社、シンクタンクに勤務し、現在は独立の経営コンサルタント。大手企業の改革支援を今も続ける。対製造業のコンサルタントでは業界第一人者の一人。会計事務所も経ており、経理、資産評価、相続対策にも詳しい。2002年から不動産投資を始め、現在は15棟153室ほか太陽光3箇所、借地8箇所を経営する。著書に『いますぐプライベートカンパニーを作りなさい! 、サラリーマンは自宅を買うな(東洋経済新報社)』『サラリーマン「ダブル収入」実現法 、100円ちゃりんちゃりん投資、(プレジデント社)』など

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