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加藤隆が実際に体験した不動産投資の罠

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家賃滞納、孤独死、自殺…大家が想定すべき「借主トラブル」とは?

目次

借主はありがたい存在だが…

借主は、家賃を払ってくれるありがたい存在ですが、中にはもちろんトラブルを巻き起こす人もいます。

主に近隣トラブル(不審行動・騒音・ゴミ出しなど)や、家賃・光熱費滞納、夜逃げ、孤独死・自然死・自殺(首吊・練炭)などです(その他、ストーカー、下着泥棒もありました)。

特に、不景気な北海道・札幌の「築古狭小ワンルームマンション」においては、ありとあらゆるトラブルに見舞われたといっても過言ではありません。そのおかげで、随分と鍛えられました。今では、恩返しのつもりで、ボランティア感覚で大家をやらさせて頂いております。

「馬でも飼っていたのですか?」…ドロだらけの部屋の謎

私の所有する札幌の築古狭小マンションでのこと。賃貸管理会社の方から、入居者の方が玄関にお清めの品を置いたり、奇声を発したりと、気味悪がられ、近隣から退去させて欲しいとのクレームが来ていると、連絡が入りました。

その方は家賃滞納もはじまったいたようです。おまけに、光熱費も数年分、滞納しているとのことで、所有者である私の方に請求がきたというワケです。どうもその借主、陶芸に凝っているらしく、大量の水を使っていたようです。定額と勘違いし水を出しまくっていたはいいが、後日高額の請求に驚いて支払いを拒んでいたようです。その後は夜逃げです。部屋は、泥まみれで、台所は壊され、リフォーム会社からは、「馬でも飼っていたのですか?」といわれる始末でした。

滞納家賃・光熱費で数十万円、リフォーム費用で40万円程、損失を被りました。その後、警察が、その方の居場所を尋ねてきたそうですが、こちらが知りたい位でした。また、別の一棟マンションでのことですが、窓から隣の建物との間に向けて、粗大ゴミを捨てている人もいましたね…。

「自然死」に原則告知義務はない!?

女性専用・楽器専用の区分所有マンションでのこと。管理会社から電話が来ました。

入居者の方がご遺体で発見され、今、管理会社・お母さまの立会のもと、警察が調査中とのことでした。死体となると、自殺・他殺などの事件の可能性もあるため、漏れなく、警察が入ってきます。私の方は、初めてのことで、動揺しつつも、「ご愁傷様ですとお伝え下さい」としかいえませんでした。その後、警察の調査により、事件性のあるものではなく、いわゆる「自然死(病死など、事件性がないもの)」とのことが判明したようでした。

自殺・他殺などの場合、心理的瑕疵物件として、賃貸・売買時、重要事項説明に該当することとなってしまいます。そうすれば、賃貸料・売買金額ともに、半額程度になってしまいます。

一方、「自然死」の場合には、原則として、告知義務はないとされています。ただし、発見が遅れ、腐乱化・白骨化した場合には、告知した方がいいとされています。私の場合は、家賃は下がりますが、一括借上げ家賃保証契約(サブリース契約)に変更しました。

借主が女性の部屋で自殺した男性の正体とは?

こちらは北海道・札幌の築古狭小区分所有マンションでの話です。

その部屋は、女性の方に賃貸していたのですが、ある日、男性の首吊り死体が発見されたのです。警察が入り、調査が始まりました。私は、酔っぱらって、ネクタイにでも首をひっかけたのではないでしょうか? と、管理会社経由で警察に聞いてみてもらいましたが、高い位置ですから、それはあり得ませんとの返事。

結局、自殺と断定されました。ところで、女性の部屋で自殺した男性って誰? 入居者の女性は? 警察が1週間位かけて調査し、判明しました。女性に彼氏ができて同棲。その後、ケンカとなり、女性の方が出ていき、彼氏が残りました。やがて、その彼氏も出ていき、なぜか、彼氏のお兄さん(ノイローゼ)が住み付き、やがて、自殺にいたったようです。

思えば、女性が住んでいる部屋に男性が住み付いても、誰も気付かなかったのです。そのマンション、何百世帯もある大規模マンションです。管理組合・建物管理会社、賃貸管理会社、そして、所有者である私も、誰も気付きませんでした。家賃も、自動引き落しでちゃんと家賃は支払われていました。そうなれば誰も、ノーチェックということになります。

札幌は、大不況の真っただ中。賃貸借契約の更新を持ち掛けようものなら、家賃を下げてだの、退去するだの、「藪蛇(やぶへび)」になりかねません。そこで、「自動更新」方式が流行っていたのです。本来であれば、きちんと、賃貸借契約の更新をしておくべきでした。本当に、その入居者が住んでいるのか? 仕事はしているか? 連帯保証人は大丈夫か? そもそも生きているのか…定期的に確認すべきなのです。

ところで、くだんの部屋、賃貸管理会社は、ご丁寧にリフォーム会社にまで告知した結果、気味悪がられ、なかなか引き受けてくれるリフォーム会社が現れませんでした。そうこうしているうちに、入居シーズンの3月は過ぎ、1年以上にわたる空室期間を迎えることとなったのです。

結局、実質手取り家賃(管理費・修繕積立金除く)8千円(1日ではなく、1月分です)にして、やっとこさ決まりました。そういったことを気にしない強い女性が入居してくれました。

年末に入居し、年始に自殺した借主のケース

つぎに名古屋駅そばの一棟アパートの話です。

名古屋消防署の方からの突然の電話が来ました。

「おたく所有のアパートの1室で、誰かが練炭自殺を図っているようです。他の部屋にも一酸化炭素が漏れるリスクもあり、危ない状況です。全室、鍵を開けて確認したいのですが?」

私の方はといえば、賃貸管理は、S社に任せてあり、鍵は持ってはいません。東京から名古屋に駆け付けるわけにもいきません。名古屋消防署、私共々、S社に電話をしても、繋がりません。

S社は、看板などの緊急連絡先に、携帯電話番号ではなく、固定電話番号を記載していたようです。S社にいわせると、携帯電話に転送設定しているとのことでしたが、当日は、正月明けで、出社が遅く、なかなか繋がらなかったようです。やっとS社に電話が繋がり、駆けつけてもらうことができました。

練炭自殺を図られた方は、残念ながら、お亡くなりになりました。9室中7室の方は外出中、残り1室の方は在宅でしたが無事でした。ところで、練炭自殺を図られた方は、一体誰だったのでしょう? 管理会社に確認したところ、年末年始で、急に入居したいとのことで入居させ、所有者である私への連絡は忘れていたとのことでした。

それにつけても、年末に入居し、年始に自殺です。近隣トラブル、仕事のトラブル、恋愛のトラブルなど、何があったのかわかりませんが、まるで、死に場所を探していたかのような感じです。退去の際は、通常、1ヵ月以上前に告知するか、1ヵ月分の家賃を払うかが普通で、急な転居というものは、不自然なものです。特に、近隣からの転居はそうです。前の所を追い出されたとか、サラ金などに押しかけられているとか、いずれにせよ、余程の事情があったのでしょう。空室のところで、入居が決まると嬉しいものですが、このようなパターンは要注意です。

入居者の緊急連絡先くらいは確認しておくべき

高齢化の昨今、私が所有する物件での孤独死は何度もあります。

ご遺体の引取り・お葬式までは、地方公共団体の方で面倒を見てくれますが、残置物の撤去・リフォーム・新しい入居者の確保などは大変です。

連帯保証人は無理でも、入居者の相続人・身寄り・緊急連絡先くらいは必須で確認しておくべきでしょう。

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著者紹介

加藤 隆
加藤 隆

サラリーマンのままで、経済的・時間的・精神的自由を目標に、預貯金・外国為替・貴金属・株等の資産運用を経て、不動産経営歴31年。数々の失敗・バブル崩壊を生き抜き、リスク分散をモットーに、東京・博多・札幌・名古屋・京都・小樽・千葉に、区分所有マンション・一棟物アパート・一棟物マンション・戸建等、物件108戸を運営。総資産7億円・借入5億円・自己資本2億円、年間家賃収入4,100百万円・借入金返済3,100万円・キャッシュフロー1,600万円。節税で、所得税・住民税ゼロ。

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