Column

加藤隆が実際に体験した不動産投資の罠

90 view

あらためて確認すべき「各種不動産投資」のメリットとデメリットとは?

目次

不動産会社の話はほとんどポジショントーク。「リスク分散」に持っていく手法が理想的

不動産経営には、各種さまざまなやり方があります。

例えば、物件区分については、首都圏・地方、区分所有マンション・戸建て・一棟アパート・一棟マンション、ワンルーム・ファミリー、新築・築浅・中古等の選択肢があります。資金調達の方法についても、現金購入・借入金活用、固定金利・変動金利、元利均等返済・元金均等返済、自己資金あり・フルローン・オーバーローン、リコース(遡及型)ローン・ノンリコース(不遡及型)ローン、団体信用生命保険(団信)あり・なし、パッケージ型ローン・事業用プロパーローン等があります。

不動産会社・不動産経営者によって、それらは雑誌・書籍、セミナー等で紹介されています。しかし、そのほとんどは、特定のやり方に集約されており、当然のことながら、ポジショントーク、つまり、自社・自分に有利となるように紹介されているケースが多いです。

自社・自分の得意分野とするところの商品・サービス・やり方について、メリット・リターンのみ強調し、デメリット・リスクについては触れないものです。

私のやり方ですが、まずリスクの低い投資からはじめます。徐々にリスクも取り、やがては、さまざまな手法を組み合わせ、究極的には、「リスク分散」に持っていく方法を取っています。

その順番として例えば、物件区分については、首都圏⇒地方、区分所有マンション⇒一棟アパート⇒一棟マンション、ワンルーム⇒ファミリー、新築⇒築浅⇒中古等です。資金調達は、固定金利⇒変動金利、元利均等返済⇒元金均等返済、自己資金10%⇒自己資金5%⇒フルローン⇒オーバーローン、団体信用生命保険(団信)あり⇒なし、パッケージ型ローン⇒事業用プロパーローン等という順番で進めます。

また、現金購入・借入金活用、リコース(遡及型)ローン・ノンリコース(不遡及型)ローンも、組み合わせています。これらについても、一長一短あるものなのです。そこで、今回は、私が実際に行っている各種手法について、そのメリット・リターンだけではなく、デメリット・リスク・注意点についても、触れさせていただきたいと思います。

地方物件は節税しやすく、利回りが高いが…

【首都圏物件】
首都圏物件については、立地・交通環境が良く人口・世帯共にいまだ増加傾向で、減価しない土地の比率が高いことや、家賃にしめる管理費・修理費等諸経費の比率が低く、首都圏に居住している場合には見に行きやすいこと等のメリットがあります。その反面、建物減価償却費の比率が低いため、節税しにくいことや、震災等の災害のリスク、首都圏に居住している場合にはリスク分散が図りにくいこと、物件価格が高く利回りが低いこと等のデメリットがあります。

【地方物件】
逆に、地方物件については、建物減価償却費の比率が高く節税しやすいこと。そして首都圏に居住している場合にはリスク分散が図りやすく、物件価格が安く利回りが高いことなどのメリットがあります。

その反面、エリアによっては立地・交通環境が悪く、人口・世帯共に減少傾向があること。そして減価しない土地の比率が低いことや、家賃に占める管理費・修理費等諸経費の比率が高くなること。そして首都圏に居住している場合には見に行きにくいこと等のデメリットがあります。

昨今、僻地のボロ物件・田舎物件の購入も話題になっているようです。しかし、少子高齢化・人口減少の日本にあっては、便利で立地のいいエリアのみに人は集まります。僻地は、やがては(すでにそうなっているエリアもありますが)、シャッター通り・ゴーストタウンになりかねません。

新築区分所有マンションは価格の3割が広告宣伝費!?

【区分所有マンション】
区分所有マンションについては、一般的に立地・交通環境の良さや、通常RC(鉄筋コンクリート造)・SRC(鉄骨鉄筋コンクリート造)のため火災に強く、耐用年数、そして融資期間も長く、価格が安く購入しやすいのが一般的です。管理組合制度、建物管理費・修繕積立金制度があり建物管理に手間がかからないこと等のメリットもあります。

その反面、早期の減価償却はしにくく、金融機関によっては評価が低いことがあります。また、管理組合制度、建物管理費・修繕積立金制度があり、自分ではコントロールできないこと等のデメリットがあります。特に、新築区分所有マンションについては、販売会社の広告宣伝費・利益等が3割は乗っており、買ったとたんに実勢価格は3割は落ちるともいわれています。

【一戸建て】
一戸建てについては、通常木造で早期の減価償却を取りやすいです。価格が比較的安く、金融機関によっては別件共同担保としても活用することもできます。入居者がマイホーム感覚で使用してくれるため、清掃・建物管理等の手間・経費がかかりにくいこと等のメリットがあります。

その反面、一般的に立地・交通環境が今ひとつな場合が多く、木造建築であれば、火災に弱く損害保険料も高額となります。また、耐用年数、融資期間が短く、自分自身で建物管理・修繕積立金を意識する必要があること等のデメリットがあります。

【一棟アパート・一棟マンション】
一棟アパート・一棟マンションについては、価格が高い傾向にあるものの、金融機関によっては別件共同担保としても活用しやすいことや、管理組合制度、建物管理費・修繕積立金制度がなく自分でコントロールできること等のメリットがあります。

こちらも自分自身で建物管理・修繕積立金を意識する必要があります。

【ワンルーム物件】
ワンルームについては、一般的に立地・交通環境が恵まれていることが多いです。価格が安く購入しやすく、比較的高い利回りが期待できます。その反面、入居期間が短く、退去の度に諸経費(敷金返却、空室・フリーレント時家賃なし、リフォーム費用、広告費、家賃値下げ)がかかります。

【ファミリー物件】
ファミリー物件については、入居期間が長く、退去ごとに発生する諸経費がかかりにくいこと等のメリットがあります。その反面、一般的に立地・交通環境が不便な場所が多く、価格は高め、利回りも悪い傾向があります。

【新築物件】
新築物件については、耐用年数、融資期間が長く、当面修理費が発生しにくいこと。そして「新築プレミアム家賃」が取りやすいことや、建物比率が高く減価償却費も取れ、節税しやすいこと等のメリットがあります。その反面、新築時の入居者が退去した後は「中古」となり、新築プレミアム家賃は通常の家賃に下がってしまいます。

欧米等では一般的なノンリコース(不遡及型)ローンのメリット

【現金購入】
現金購入であれば、融資受け審査が不要な分、売主買主双方にとって迅速確実に購入が進みます。金銭消費貸借契約書収入印紙代・融資手数料・抵当権設定登録免許税・司法書士手数料・支払金利等の諸経費がかからず、金利上昇・支払不能リスクは当然ありません。

その反面、金融機関による第三者的チェックがなく、イールドギャップ・レバレッジ(梃子の原理)が使えず、お金が貯まるまで次の物件を購入することができません。お金が貯まった額の範囲内の物件しか購入できず、団体信用生命保険(団信)という生命保険機能が使えない上、節税(所得税・住民税、相続税)機能も活用できないデメリットがあります。

【ローン活用】
ローン活用については、金融機関による第三者的チェック(対人・対物)があり、低金利で資金を調達、高利回りで運用するというイールドギャップ・レバレッジ(梃子の原理)が使えます。そしてインフレ時には借入金の実質負担が減り、お金が貯まるまで待つまでもなく、いいタイミングで物件を購入できます。また、貯蓄額以上の物件も購入可能で、団体信用生命保険(団信)という生命保険機能が使えます。また、節税(所得税・住民税、相続税)機能が活用できること等のメリットがあります。

その反面、融資受け審査が必要な分、売主買主双方にとって時間がかかり購入しにくくなります。金銭消費貸借契約書収入印紙代・融資手数料・抵当権設定登録免許税・司法書士手数料・支払金利等の諸経費もかかり、当然、金利上昇・支払不能リスクがあること等のデメリットがあります。

【固定金利】
固定金利については、金利上昇リスクがない、というのが最大のメリットではないでしょうか。当然、金利低下の局面においてそのメリットを享受できないというデメリットがあります。

【変動金利】
変動金利については、金利低下局面においてはメリットを享受しやすいと思われます。もちろん、金利上昇リスクがあります。

【元利均等返済】
「元利均等返済」については、毎月のローン支払(元本返済分・支払金利)が一定で資金計画がしやすいこと等のメリットがあります。最終的な支払総額は多めになります。ただ、私個人としては、この元利均等返済がおススメします。

【元本均等返済】
「元本均等返済」については、トータルの支払総額は少な目です。その反面、当初のローン返済額が多く、毎月のローン支払(元本返済分・支払金利)が一定でないので、資金計画がしづらいかもしれません。

【自己資金あり】
「自己資金」が多少あれば、借入金額が少なくなり、融資受けもしやすくなります。反面、自己資金を貯めるのに時間がかかりますので、「投資効率」という観点から考えた場合、人によってはデメリットを感じるかもしれません。

【フルローン・オーバーローン】
フルローン・オーバーローンは、自己資金を貯める時間が少なくて済み、手持ち現金が減少しにくく、投資効率は上がります。その反面、属性によっては融資受けしにくく、借入金が多額の場合、返済比率が高くなります。私個人の意見としては、なるべく「自己資金は温存」した上で、キャッシュフローを厚くしていくべきだと考えます。

【リコース(遡及型)ローン】
リコース(遡及型)ローンとは、通常、日本で行われているものです。もし、売却金額が「残債」に満たなくても、無限責任で返済し続けなければなりません。日本では、融資受けしやすい反面、無限責任で返済し続けなければならないというデメリットは認識する必要があります。

【ノンリコース(不遡及型)ローン】
ノンリコース(不遡及型)ローンとは、欧米等では、一般的なものです。もし、売却金額が残債に満たないとしても、物件さえ手放せば、残債からは免れられるというものです。前述した「無限責任で返済し続けなければならない」という義務から解放されるのです。ただ、日本国内で活用するのは、少しハードルが高いかもしれません。私の場合には、博多、名古屋で、一棟アパートを新築する際、某外資系金融機関から活用させていただきましたが。

【団体信用生命保険(団信)あり、パッケージ型ローン】
団体信用生命保険(団信)あり、パッケージ型ローンについては、融資受けしやすく、時間・手間暇がかかりません。通常に比べて割安な生命保険機能がついていることが最大のメリットになります。その反面、活用枠の制限(1億円迄等)、年齢制限(完済時80歳迄)があることに注意が必要です。

【団体信用生命保険(団信)なし、事業用プロパーローン】
団体信用生命保険(団信)なし、事業用プロパーローンについては、活用枠の制限(1億円迄等)、年齢制限(完済時80歳迄)がありません。前述の「あり」とは逆に、融資受けしにくく時間・手間がかかり、割安な生命保険機能がついていません。

著者紹介

加藤 隆
加藤 隆

サラリーマンのままで、経済的・時間的・精神的自由を目標に、預貯金・外国為替・貴金属・株等の資産運用を経て、不動産経営歴31年。数々の失敗・バブル崩壊を生き抜き、リスク分散をモットーに、東京・博多・札幌・名古屋・京都・小樽・千葉に、区分所有マンション・一棟物アパート・一棟物マンション・戸建等、物件108戸を運営。総資産7億円・借入5億円・自己資本2億円、年間家賃収入4,100百万円・借入金返済3,100万円・キャッシュフロー1,600万円。節税で、所得税・住民税ゼロ。

関連記事

老後資金「2千万円不足」問題…これからの時代に有効な「資産防衛」とは

加藤隆が実際に体験した不動産投資の罠

103 view

老後資金「2千万円不足」問題…これからの時代に有効な「資産防衛」とは

日本人の4人に1人が65歳以上……賃貸物件の「孤独死リスク」を避ける方法は?

石川貴康の超合理的不動産投資術

98 view

日本人の4人に1人が65歳以上……賃貸物件の「孤独死リスク」を避ける方法は?

都心部でも可処分所得が減った⁉ 賃借人の「入居」が長くなったワケ

石川貴康の超合理的不動産投資術

100 view

都心部でも可処分所得が減った⁉ 賃借人の「入居」が長くなったワケ

最新記事

記事一覧