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「中小企業に資金を回す仕組みが必要」 経営改善コンサルタントに聞く、中小企業を取り巻く厳しい環境(後編)

目次

レモネードコンサルティングスは資金繰りの改善によって中小企業の経営再生を支援する会社。具体的な方法と、中小企業の今後の課題について話を聞いた。

不動産投資塾新聞社インタビュー(後編)

レモネードコンサルティングスは資金繰りの改善を通じて中小企業の経営再生を支援しています。支援の現場では出入金計画の立て方などを指導するのですか。

野呂一哉代表取締役(以下敬称略) 指導するだけでなく、実際に会社に入り込み、経理担当者の出入金業務を手伝いながら、今払うかどうか、いつ払えば資金的に安全かといったことを覚えてもらいます。また、資金繰りが原因で経営不振に陥っている会社では、経理担当者がまっさきに辞めていきます。資金をうまく管理できなかったことに責任を感じて辞めていってしまうのです。[中野1] その場合は私が経理を担当したり、後任として担当する経営者の奥様や親族の方に業務のポイントなどを教えます。

資金繰り改善の障壁や課題はありますか。

野呂 経理担当者にとっての心理的な障壁として、従来の業務フローを変えたり、新しい業務が増えることに抵抗を持つことがあります。例えば、取引先への振込と通帳の記帳で業務が終わっていたところに、来月や3ヶ月後の出入金を計画するという新しい業務が加わります。それを嫌がってしまい、支援先の会社で改善提案が承認してもらえないことがあるのです。

どのように説得するのですか。

野呂 ひと手間増えることによって経理の業務がどう変わるか伝えます。目先の仕事は1つ増えますが、その仕事により、資金繰りに悩んでいる現状が変わり、心理的な負担も軽くなります。「やれば変わる」と理解してもらうために、過去の実績を伝えたり、一緒に現場で業務をしながら、変わっていくことを実感してもらうようにしています。効果を実感し、現場を任せられるようになったら、私は現場支援を離れて、月1、2回の定期訪問で出入金の計画を確認します。税理士も月1回くらいのペースで会社を訪れますので、そのタイミングに合わせて、経理担当、税理士、私がチームとなり、一緒に資金状況などをチェックします。

出入金の計画を立てつつも、運転資金が足りなくなる場合はどうするのですか。

野呂 不動産がある場合は有効活用を考えますし、融資の返済が難しい場合は金融機関と交渉します。資金繰りの改善、不動産の売買や運用、金融機関との交渉という3つの業務を引き受けられるのが私の強みだと思っています。ほかにも経営再生を手がけるコンサルタントはいますが、不動産の運用は外部の不動産仲介業者などに任せることがほとんどです。すると、不動産の売却で発生する仲介手数料を狙って早々に売ろうとするケースが増えやすくなり、本来の目標である経営再生から目的意識が離れます。自社で不動産を扱える場合は、その可能性が抑えられます。実際、私は必要に迫られない限り不動産の売却はしませんし、社長ファーストの意識で経営再生を最優先して考えています。

もう1つの要素である金融機関との交渉は返済額や期間の調整ですか。

野呂 はい。いわゆるリスケと呼ばれるもので、いったん元金の返済は待ってもらい、金利だけ返済しながら経営再生に取り組みます。返済を続けていれば信用事故にはなりませんので法律に基づいてリスケできます。ただし、リスケは将来的に借入金を返済することが大前提ですので、経営再建の見通しを立てる必要があります。私が交渉を支援する場合は、お客様から情報をもらいながら、経営改善計画書を作って提出します。

計画の内容はどのようなものなのですか。

野呂 売り上げの伸びなどを推測しながら、長期[中野2] で融資を返済します。例えば、10年間の返済計画を立てたとしたら、まずは金利のみの返済にして運転資金を安定させます。会社や業界などによって差はありますが、3年くらい経つと経営改善の道筋が見えてきますので、その時点から元金も少しずつ返していきます。通常、このような計画は金融機関の融資担当者が作成しますので、こちらで作って持って行くと担当者に喜ばれることも多いですね。

返済計画に余裕ができると、経済的にも心理的にも負担が軽くなりますね。

野呂 そう思います。問い合わせを受けて初めて会う社長さんや奥様は、たいてい思いつめた顔をしています。経営再生の仕事は、単に経営を立て直すだけでなく、そういう人たちを精神的な面から支え、救う側面があります。滞納が消え、督促などによるプレッシャーから解放されることによって「光が見えた」「出口がある」と感じてもらうことが、この仕事の意義だと思いますし、私にとってもやりがいになっています。

できるだけトラブルを抱えないために、現場をよく知るコンサルタントとしてアドバイスをお願いします。

野呂 トラブルが根深くなる大きな原因は、金融機関以外からお金を借りてしまうことです。例えば、社長が個人で消費者金融からお金を借りたり、友人などからお金を借りたりするケースです。金融機関の返済は申請すれば待ってもらうことができますが、個人は待ってくれません。督促で精神的に追い詰められるのも、だいたい金融機関以外の個人から夜討ち朝駆けのように追いかけ回されることが原因なのです。ですから、そうなる前に我々のような会社に相談してほしいと思います。

中小企業を取り巻く環境をよくするためには、どんな変化が必要だと思いますか。

野呂 中小企業に資金が適切に回る仕組みが必要だと思います。現状、金融機関からの借り入れは、社長個人の連帯保証をつけたり、社長の自宅を担保にするのが慣習化しています。助成金なども複数ありますが、基本的には会社が必要な資金を立て替えて、あとで助成金を受け取る順番になっています。つまり、先に出せるお金がなければ、設備投資や新規事業の立ち上げを見送らざるを得ない状況があるわけです。もう1つ問題なのは消費税の増税です。8%の現状で苦しんでいる中小企業がすでにたくさんあります。この状態で増税すれば中小企業の経営が苦しくなるのは目に見えています。

そのような環境の中でより多くの会社を支援していくためにも、レモネードコンサルティングスの事業や活動内容を周知することが大切ですね。

野呂 そう思います。全国の中小企業に認知してもらい、お金のことなら野呂に聞けと思ってもらうのが目標です。金融機関からの借り入れだけに絞ったり、資金繰りの計画を立てることなどにより、経営再建の可能性は大きくできるということをより多くの人に周知したいと思っています。

また、毎日の営業日にお金を動かすだけでなく、会社のお金の流れを一番分かっているのも経理さんです。その経理さんが毎日資金繰りを組んで入出金の予定を予想していくとその会社には毎営業日に会社のお金の日記が生まれます。金融機関の融資担当者や回収担当者が一番知りたいのがその日記なんです。つまり会社のお金の流れの実態です。決算書では決して把握することができないこの日記こそ中小企業経営には必要だと私は考えます。

著者紹介

不動産投資塾編集部
不動産投資塾編集部

投資への関心が高まる中で、高い安定性から注目を集める不動産投資。しかし不動産業界の現状は残念ながら不透明な部分が多く、様々な場面で個人投資家様の判断と見極めを要します。一人ひとりの個人投資家様が正しい知識を身に付け、今後起こり得るトラブルに対応していくことが肝要です。私たち一般社団法人首都圏小規模住宅協会は、投資用不動産業界の健全化を目指す活動の一環として本サイト「不動産投資塾新聞社」を介し、公平な情報をお送りいたします。

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