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「経営再生の第一歩は資金繰りを計画すること」 中小企業の実態と問題点を経営改善コンサルタントに聞く(前編)

目次

レモネードコンサルティングスは中小企業の経営再生を支援するコンサルティング会社。資金繰りの改善を主とする再生方法について、代表取締役の野呂一哉さんに話を聞いた。

不動産投資塾新聞社インタビュー(前編)

レモネードコンサルティングスの事業内容を教えてください。

野呂一哉代表取締役(以下敬称略) 当社は中小企業に向けたコンサルティングを行う会社です。経営に行き詰まり、立ち行かなくなりそうな会社の経営再生を支援することが使命で、再び動き出すことを意味するREMOVEと、何かを「させる」という意味のADEを組み合わせ、レモネードという社名にしました。

経営再生には複数の手段があります。野呂さんが得意としているのはどのような手段ですか。

野呂 経理業務や不動産の有効活用を通じて資金繰りの改善を行います。私はもともと不動産の仲介をしていたため、物件の売買や運用などに知見があります。その後、中小企業の経営再生を手がけるコンサルティング会社に転職し、その時の業務としても不動産売却を担当していました。現在も資金繰りや経営改善の具体的な手段として不動産の売却や有効活用を提案します。

中小企業庁などの定義によると、国内の企業の99.7%は中小企業です。数の面から見て中小企業の経営状態が国内経済に及ぼす影響は大きいと言えますが、景気はどうなっていますか。

野呂 決して良くはありません。私は主に資金繰りの改善を支援しますので、その視点から見ても中小企業にお金が回っていない実態がよくわかります。企業の倒産件数などについて調べた統計を見るとリーマンショックのころから回復傾向にあるように見えます。しかし、実は自己破産するためにも手続きや予納金などのお金がかかります。そのようなお金を払える企業では倒産件数が減っていますが、そのお金さえ払えない企業は調査対象に含まれていないことも多く、数字上の見た目より厳しい状況が続いていると考えられます。

中小企業の経営が厳しくなる原因はどのようなものがありますか。

野呂 原因はいくつか考えられますが、放漫経営、売上の伸び悩み、税金や社会保険料の支払い負担が大きいことなどが挙げられます。

放漫経営はどのようなケースなのでしょうか。

野呂 私が携わった会社を例にすると、問い合わせを受けて最初に会社に伺った時に、社長の机の上に電気や水道の請求書が山積みになっていたことがありました。社長は30年くらい工場を経営しているベテラン経営者だったのですが、景気が良かったころを忘れられず、経営方法も過度な浪費も変えることができなかったのです。状況を整理してみたら、工場の運転資金はすでに底をついていて、融資の担保に入れていた工場と社長の自宅も差し押さえ寸前まで来ていました。

もはや手の打ちようがない状態だったのですか。

野呂 はい。結果から言うと、社長の自宅だけ差し押さえから守り、会社は倒産することになりました。同業他社とのコネクションなどを駆使し、なんとか社員たちの転職先は確保できたのですが 、最初に社員を集めて会社の状況を話した時は「何やってるんだ」「だからお前の経営はダメなんだ」と、社長に掴みかかる社員がいたほどでした。

売上の伸び悩みにはどんな理由がありますか。

野呂 例えば、取引先が大手企業で、力関係の差があって値上げできないケースがあります。私が担当した例だと、テレビ番組の制作会社がこのケースにあたります。大手のテレビ局から仕事を受けるのですが、テレビ局も経費を抑えようとしますので、結果として下請け会社に払う金額が増えないわけです。社会的な変化という点では、例えば、自動車の販売店はカーシェアの普及や車に乗らない若者が増えたことなどによって新車販売の売り上げが伸び悩んでいますし、車の生産技術が上がり、壊れない車が増えたことにより、修理の需要も減っています。

そのような会社はどのように経営再生するのですか。

野呂 支援の施策はいくつかありますが、効果が大きいのは資金繰りの改善です。つまり、いつ、どれくらいの額の入金があり、いくらの支払いがあるかをきちんと把握し、常に先を予測しながら資金繰りの計画を立てるということです。

計画を立てることによってどんな点が変わるのでしょうか。

野呂 資金繰りに問題がある会社に共通しているのは、「あるから払う」という無計画な出金パターンが慣習化していることです。「あるから払う」を繰り返していると、入金が減ったり滞った時などに運転資金が不足します。前述した制作会社などのように入金額のばらつきが大きいところは、手持ちのお金が足りなくなる可能性がさらに大きくなります。出入金を計画的に管理することは、そのようなリスクを抑えることに繋がるのです。

出入金の管理が経営改善のカギなのですね。

野呂 出入金の管理は経営改善に向けた最初の一歩なのだと思います。請求書が届いたら、いつ払うのが良いか考えます。請求書を出す場合は、いつ入金されるか確認します。大きい支払いがあるなら、「あるから払う」ではなく、分割して払えるかどうか検討します。それだけのことで手元の運転資金を確保することができます。運転資金が足りなくなりそうなら、例えば、不動産を売却するなどして資金を作ることができます。出口と入り口をしっかり押さえることで資金繰りは変わりますし、先手、先手で施策を打っていけば、資金不足によって会社が潰れるリスクは小さくできるのです。

著者紹介

不動産投資塾編集部
不動産投資塾編集部

投資への関心が高まる中で、高い安定性から注目を集める不動産投資。しかし不動産業界の現状は残念ながら不透明な部分が多く、様々な場面で個人投資家様の判断と見極めを要します。一人ひとりの個人投資家様が正しい知識を身に付け、今後起こり得るトラブルに対応していくことが肝要です。私たち一般社団法人首都圏小規模住宅協会は、投資用不動産業界の健全化を目指す活動の一環として本サイト「不動産投資塾新聞社」を介し、公平な情報をお送りいたします。

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